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» 2021年10月06日 05時00分 公開

ミャンマーではエンジニアは女性の仕事Go AbekawaのGo Global!〜Mintzu Hnin Khat編(後)(3/3 ページ)

[取材・文:阿部川久広(Go Abekawa), 構成:鈴木麻紀,@IT]
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いまは自分のために働いているけれど

阿部川 日本のエンジニアにアドバイスはありますか?

ミンズさん いま新卒のOJTもやっています。彼らは勉強したいという気持ちが強くて、新しい言語を「あれも勉強したい、これも勉強したい」と言うのですが、いまITの世界で全ての言語を得意になるのは難しいじゃないですか。だから、まずは自分が興味深いと思う1つの言語を中心にして学んだ方がいいと思います。1つの言語をよく把握してプログラミングのロジックなどを考えるようになったら、新しい言語の勉強も簡単になると思います。

阿部川 おっしゃる通りですね。1つの言語を集中して深く勉強すると、他の言語の学習にも絶対使えますから。ミンズさんご自身の経験があるので、説得力がありますね。いま目の前にある言語をしっかり勉強した方がいいということですね。いまミンズさんの目の前にある言語は何ですか?

ミンズさん チームメンバーは「Swift 5」で開発しています。最近は私が実際に開発することはあまりないのですが、メンバーが困ったらサポートしないといけないので勉強はしています。

阿部川 勉強は一生続けられるエンターテインメントですからね。ところで、日本は女性エンジニアの比率が少ないのですが、ミャンマーはいかがですか?

ミンズさん ミャンマーは逆で、女性の方が多いです(一同驚き)。ミャンマーの男性は力仕事が好きで、女性はITの仕事が好きです。

阿部川 ミャンマーの方はITエンジニアが女性に向いている仕事だと考えているのですね。日本で女性エンジニアを増やすためにはどのようなことをしたらよいと思いますか?

ミンズさん (しばらく考え込んで、慎重に言葉を選びつつ)日本の女性は、エンジニアの仕事にあまり興味がないように見えます。興味のある仕事に進んだ方がいいとは思うのですが、触ってみないとソフトウェアやプログラミングに興味があるかどうか分からないので、ちょっとぐらい触ってみれば、それがきっかけで興味を持つ人はいっぱいいると思います。高校生ぐらいから1つの授業としてソフトウェアの基礎を学校で教えてあげればいいのにな、と思います。

阿部川 10年後は、どんなことをやっていたいですか?

ミンズさん 恐らく10年後はミャンマーにいると思いますが、ITに関わる仕事を続けていたいです。いまは自分のために働いていますが、10年後は国のためにも頑張りたいと思います。10年後なら私も経験を積んでいると思うので、私が身に付けた知識をミャンマーの若者たちに共有して、若者の育成に貢献できたらいいな、と思っています。

阿部川 ブライセンミャンマーの社長になったらいいじゃないですか! いや、あながちない話ではないですよね。日本で学んだことをミャンマーに持ち帰って貢献したい、というのをかなえる方法の一つだと思います。ミンズさんが起業するというのもアリでしょうけれど、既に会社があるわけですし。そのときは、私が推薦状を書きますよ(笑)。

社内のメンバーとミンズさん(右列後ろから2番目)

インタビューを終えて 〜Go’s thinking aloud〜

 1人で絵を描くことが好きな少女は、何かを「思い描く」ことは共通していると直感的に感じて、コンピュータ技術を大学で専攻した。しかし当時はPCを自由に使えず、4年生まで理論のみで、最初にコンピュータに触れたのは大学を卒業してからだった。

 実務に携わってからJava、PHPを自力で学び、日本語も英語も同時に勉強し始めた。日本語能力試験、BJTビジネス日本語能力テスト、TOEIC、技術ではJSTBQ認定テスト、とこれまでの5年で、実務に必要なスキルはほぼ身に付けた。現在はチームリーダー。ここからはマネジメントやリーダーシップ、チームワークに関する能力を涵養(かんよう)する段階だ。

 仕事に向き合う真摯(しんし)な姿勢の源は、祖国に戻り「ミャンマーの人々の生活を少しでも便利にしたい」という思いだ。恐らく10年後は現地法人の代表となっているだろう。思い描く力が明確であれば、そこまで到達する道のりを思い、必ずいまの自分の未熟さが浮き彫りになる。だからこそ止まらず技を磨く。だからこそ、次に描く作品がより明確になる。その覚悟の強さが、仕事の質を左右する。しのごの言わず歩き続けろ、それ以外に道はない。そう言われた気がした。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、インタビュアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行うほか、作家、翻訳家としても活躍中。

編集部から

「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。

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