デジタルファーストの世界で企業が追求すべき変革とはIDCが2022年以降のIT業界動向に関する10の予測を発表

IDCは2022年以降の世界のIT業界動向に関する10の予測を発表した。デジタルファーストの世界への移行が進む中、企業の競争環境の変化や必要となる変革を展望している。

» 2021年10月29日 16時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 IDCは2021年10月26日(米国時間)、2022年以降の世界のIT業界動向に関する10の予測を発表した。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)は世界のビジネスエコシステムに影響を与え続けているが、「“デジタルファースト”の世界への着実な移行という重要なトレンドは変わっていない」との認識を示した。

 「2022年までに、世界経済の5割以上はデジタルベースになるか、あるいはデジタルの影響を受ける」と予想しており、その理由として、ほとんどの商品やサービスが、競争力を維持するために、デジタルデリバリーモデルを利用するか、またはデジタル拡張を必要とすることを挙げている。

 さらにIDCは企業がデジタルファーストの世界で競争するには、物理空間や資産の高度化に向けたデジタルツール投資を優先させる必要があると指摘する。

 2024年までに情報通信技術(ICT)投資の5割以上が、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連して行われるようになる見通しという。

 「CIO(最高情報責任者)は『サービスとしての』『結果中心の』技術デリバリーモデルに対応した調達や開発、運用チームを確立する必要がある。一方、ICTプロバイダーの第1の仕事は、企業におけるデータの共有や利用、ガバナンス、価値向上を支援することだ」と、IDCのワールドワイドリサーチ担当グループバイスプレジデント、リック・ビラーズ氏は述べている。

 世界のIT業界動向に関するIDCの10の予測は次の通り。

1 デジタルファーストが顧客対応と運用で進む

 2024年までにデジタルファースト企業は、技術支出とサービス支出の70%を「サービスとしての」「結果中心の」モデルに振り向けることで、共感を得る顧客エクスペリエンスとレジリエントな(回復力の高い)運用モデルを実現する。

 多様な顧客エンゲージメントモデルとデータドリブン運用モデルをサポートするために、こうした投資が必要になる。

2 クラウド基盤の評価が変わる

 2023年までに「Forbes Global 2000」(G2000)企業の40%が、クラウド選択プロセスをリセットし、IT要件よりもビジネス結果にフォーカスするようになる。また、サービスプロバイダーのデバイスからエッジまで、データからエコシステムまでのポートフォリオへのアクセスを重視するようになる。

 さまざまなクラウドリソースとデータセットの管理や最適化、保護が、IT部門にとって最も重要なIT運用課題となる。

3 ガバナンスがITチームの主要タスクになる

 2023年までに企業の80%が、AIに支えられ、クラウドにリンクされたガバナンスサービスを利用して、さまざまなリソースとデータを管理、最適化、保護するようになる。だが、70%はITスキルのミスマッチにより、その真価を引き出せない。

 ほぼ全てのIT部門が、ガバナンスにフォーカスした自動化の全社導入を効果的に進めるには、能力的な制約が大きいことを認識させられる。

4 「サービスとしての」デリバリーモデルが広く浸透

 2022年までに大企業のIT予算の40%が、セキュリティやクラウドプラットフォーム、仮想ワークスペース、接続といった分野で、「サービスとしての」統合パッケージを導入するために、再配分される。

 アジリティーや迅速な機能向上、ビジネスでの実際の使い方との整合性といったメリットはよく認識されているものの、IT部門はポートフォリオがむやみに膨張しないように常にモニタリングしていく必要がある。

5 技術構造の変化が到来

 2026年までに業界リーダーは、構造変化や強制的な変化に直面し、新しい環境を実現するためのIT支出を3倍に増やす。IT運用効率を6倍に高めることが必要になるものの、その達成に苦労する。

 多くの業界のIT部門は、幾つかの構造変化(5Gや電気自動車、ブロックチェーンなど)が自社の技術計画や技術の優先順位にどのような影響を与えるのかを、今から検討し始めるのが賢明だ。

6 自動化が拡張する

 2024年までにG2000企業の70%が、従業員と顧客のアクティビティーを拡張する技術投資により、個々のプロセスを自動化する投資と比べて、2倍の有意義なリターンを得るようになる。

 顧客や患者、学生、ワーカーのエクスペリエンスや意思決定の拡張を重視した包括的な取り組みが、最もリターンを伸ばす。

7 データ管理が課題になるが、機会にもなる

 2025年までに、データのプライバシーやセキュリティ、配置・利用・開示義務に関する地域的な違いから、企業の80%が自動化基盤に基づいて、データガバナンスプロセスを再構築することを余儀なくされる。

 成功する企業はデジタル主権を、リソース・データ制御プレーンやIT自動化に関する新規投資の重要テーマと位置付ける。これらの投資は、サイバーセキュリティのような分野での信頼リスクを低減するとともに、新しい顧客エクスペリエンスや従業員エクスペリエンス、リモート業務の基盤を提供するために行われる。

8 デジタルエクスペリエンスの再検討が進む

 2023年までにG2000企業の50%が、新規の技術ハードウェアや接続支出の5割を、顧客と従業員のそれぞれ固有の居場所における対人エクスペリエンスのモダナイゼーションと再概念化に振り向けるようになる。

 仕事や娯楽、健康管理の場に、デジタルに最適化されたエクスペリエンスを提供する企業は、顧客ロイヤリティーの獲得と維持において、長期的な優位性を確立する。

9 サステナビリティー対応が本格化する

 2025年までにG2000企業の60%が、デジタルサステナビリティー(持続可能性)チームを置くようになる。このチームは、ビジネスやITのサステナビリティーデータと、ICTプロバイダーが提供する分析プラットフォームの評価、認定、利用の調整を担当する。

 今後数年間に新しいツールやデータ、分析によって、有意義なサステナビリティー目標の設定が容易になる。だが、ビジネス上および規制対応上のそうした目標をいかに達成するかは、引き続き課題となる。

10 データ管理が注視される

 2025年までに上場企業の価値評価は、データ中心型ソリューションへの支出増加を踏まえ、財務管理と同じように、データを適切に、効果的に利用するためのデータ管理の信頼性にも基づいて行われるようになる。

 ITリーダーは、最重要課題に対処する能力を基準に、技術およびサービスパートナーの選択を優先的に行う必要がある。


 IDCは、これらの予測の詳細を新しいレポート「IDC FutureScape: Worldwide IT Industry 2022 Predictions」と、ライブウェビナー「Worldwide IT Industry 2022 Predictions」で解説した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。