AIで不適切会計を検知 トーマツが不正検知モデルを開発「不正スコア」の算出理由も説明可能

トーマツはAIを使って、会社と勘定科目の単位で不正を検知する不正検知モデルを開発した。2022年1月に本格導入を開始する。「さまざまな企業監査事案に網羅的に対応可能な手法を確立した」という。

» 2022年01月11日 08時00分 公開
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 トーマツは2022年1月7日、AI(人工知能)を使って会社と勘定科目の単位で不正を検知する「不正検知モデル」を同年1月に本格導入を開始すると発表した。

画像 不正検知モデルのイメージ図(提供:トーマツ

 トーマツは「これまで利用してきた『仕訳分析モデル』や『異常検知モデル』と組み合わせることで、さまざまな企業監査事案に網羅的に対応可能な手法を確立した」としている。

「不正リスクが高い企業」と似ている企業も参照できる

 不正検知モデルの学習には、2005年以降に公表された有価証券報告書や訂正報告書に含まれる財務諸表と為替レート、物価指数などの市況データを使った。複数の財務指標から不正企業と正常企業との相違性を見いだし、不正企業との近似度を不正スコアとして算出。このスコアによって、不正リスクが高い会社や勘定科目、財務指標を識別可能だという。

 不正スコアに影響している指標や会社別の各指標の時系列推移、指標値の算定に使用した勘定科目の実数値を確認できるため、スコアの裏付けが可能だ。「不正リスクが高いと評価された企業」と似ている、過去の不正企業を参照することもできる。

 トーマツによると、従来、監査先の財務データに対して「異常と見なす“基準値”を設ける」「予算と比較する」「前期からの動向を調べる」といった方法で重点的に監査すべき会社や勘定科目を選別していたという。

 「不正検知モデルを利用することで、監査人は不正リスクを効率的に分析できるだけでなく、従来は識別できなかった不正パターンも識別可能になる。不正検知モデルが検知した不正の兆候に基づいて監査人が監査先企業との議論をより深化させることで、企業のガバナンス向上に役立てられる」(トーマツ)

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