ガートナージャパンは日本企業のアプリケーションの近代化に関する調査結果を発表した。企業がアプリケーションの近代化に取り組む理由で最も多いのは「複雑性の解消」だった。
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ガートナージャパンは2022年4月7日、日本企業のアプリケーションの近代化に関する調査結果を発表した。それによると、企業がアプリケーションの近代化に取り組む理由は「複雑性の解消」で、特にコスト削減効果を期待していることが分かった。
調査結果によると、レガシーアプリケーションの近代化に取り組む企業のほとんどで取り組みが道半ばとなっており、「完了までに、さらに数年を要する」ことが明らかになった。近代化が必要になった理由で最も多かったのは「アプリケーションの複雑性を解消すること」だった。
ガートナージャパンの飯島公彦氏(アナリスト シニア ディレクター)は、次のように述べている。
「アプリケーションの複雑性を解消することは容易ではなく、時間がかかる上にコストも膨大となる。そのため多くの企業では、レガシー資産の近代化と新規アプリケーションの構築を並行して進める取り組みが加速している」
一方で、「アプリケーションの近代化は既存コストを削減する手段として捉えられ、ビジネスの成長手段としての視点が盛り込まれていないケースが多く見られる」とガートナージャパンは言う。調査結果によると、近代化によって期待する効果については多い方から順に「稼働環境/インフラコストの削減」(47.9%、複数回答、以下同)、「業務コストの削減」(44.0%)、「アプリケーション保守コストの削減」(41.2%)だった。
「ビジネスモデルや業務の前提が大きく変化しているにもかかわらず、多くの企業でアプリケーションの近代化が業務の現状維持を前提として進められている。その結果、アプリケーションをビジネス視点で見直さず、本来必要であるはずのアーキテクチャの変革が不十分だ」(ガートナージャパン)
飯島氏は「DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるためには、新しい発想で技術を駆使してビジネス価値を実現する必要があり、『ビジネスを支えるアプリケーション』は変化に迅速に対応できなければならない。だが、日本企業が現在利用しているアプリケーションの多くはそれができていない」と指摘している。
「近代化は『一度実施すればよい』というわけではなく、複数年にわたって継続的に取り組む必要がある。ITリーダーは、変化や状況を即座に正しく把握し、最適なアーキテクチャに基づくアプリケーション構築を段階的に進めるべきだ。それと同時にこうしたアプリケーションを構築できる人材を事業部門に増やすことが重要だ。ITリーダーには、ビジネス成長を担う当事者として直接的に関わるという、大きな意識変革と行動が求められている」(飯島氏)
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