前回はWindows 11に標準で組み込まれている「Microsoft Defender Antivirus」の「オフラインスキャン」が役に立たないかもしれないという問題を取り上げました。今回は、日本語版Windows 11でちょくちょく目にする「変な日本語訳」を取り上げます。
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Windowsは英語(en-us)ベースで作成されており、言語パックによって日本語を含む各国語のローカライズに対応しています。特に「Windows 10」以降、ローカライズは自動翻訳とWindows Insider Program(「フィードバックHub」を通じた翻訳クエストや誤訳のフィードバック)への依存度が高まったようで、とても日本語をネイティブに利用している人が開発者に含まれているとは思えない表現や誤訳を目にすることがあります(Insiderビルドならまだしも、正式リリースされた製品でさえもです)。
「Windows 11」の正式リリース時には、毎月のWindows Update後の再起動時に「あなたはそこにXX%です。」という意味不明な表現を目にした人は多いと思います(画面1)。
この問題は既に解消されていますが(「XX%完了。」に修正)、アップグレードや新規インストール後の最初(あるいは数回の)Windows Updateのための再起動で目にするかもしれません。
この問題を解消するには、リリース後の累積更新プログラムだけでなく、Microsoft Store経由で最新の「日本語ローカルエクスペリエンスパック」に更新する必要もあります(2022年3月に更新されたインストールメディアでは最初から解決されているかもしれません)。
「あなたはそこにXX%です。」の問題は、Insiderビルドのときからのもので、正式リリース後にようやく修正されたわけですが、フィードバックの賛成票が多くないと、修正対象としての優先度は低くなってしまい、この問題のように数カ月かかることもあれば、放置されることもあるかもしれません。
2022年3月までの累積更新プログラムと日本語ローカルエクスペリエンスパックの時点で放置されている変な日本語を、修正されることを期待して、修正される前に記念としてスクリーンショットに残しておきました(既にフィードバックされているものや、Windows 10以前からのものも含まれます)。では始めましょう。
変なところ、気が付きましたか(画面2)? 「設定」のどこかにあります。場所はご自分で探してみてください。
こちらも「設定」から(画面3)。これは機械翻訳の問題ではなく、キータイプミスですね。
またまた「設定」から。「日付と時刻」を開いても、「予定表の表示」に対応する設定は見当たりません(画面4)。
前画面の「予定表の表示」は、「タスクバーに追加のカレンダーを表示します」の設定に対応するものと思われます。ただし、簡体字または繁体字の中国語で旧暦を表示することを追加できるだけです(画面5)。和暦はありません。
ちなみに、「地域」コントロールパネル(intl.cpl)の「形式」タブにある「追加設定」で「カレンダーの種類」を「和暦」に変更すれば、西暦から和暦表示に変更できます(元号が令和になったときに話題になりました)。
続いて、標準インストールされているユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリから。「電卓」アプリの「コンバーター」にある「累乗」(画面6の左)は、「Power」を略したもの。Windows 10の「電卓」アプリでは「電源」となっています(画面6の右)。古い方がまだマシですが、「電力」であってほしいです。
2022年3月末、それまで「スマホ同期」という名前だったアプリの名称が、「電話リンク」に変更されました。しかし、その変更を知らせる新着情報には、「スマホ連携リンクへようこそ、スマートフォンがスマホ連携リンクになりました。」とあります(画面7)。
ちなみに、日本語環境では「スマホ同期」(もっと前に「同期電話」だったこともありました)から「電話リンク」への名称変更ですが、英語環境では「Your Phone」から「Phone Link」への変更です。過去のアプリの日本語名と英語名の違いも影響して、ワケの分からない新着情報が出来上がりました。
Windowsのサービスの表示名は、なぜか無理に日本語化されることがありますよね。例えば、「Microsoft Windows SMSルーターサービス。」の「。」(画面8)。
“「。」を付けると運気が上がる”的なアレでしょうか。ちなみに、エクスプローラーで「SmsRouterSvc.dll」のファイルのプロパティを見ると、ファイルの説明は「Windows SMSルーターサービス」で「。」は付いていません。英語版のサービス表示名はというと、「Microsoft Windows SMS Router Service.」でした。「.」終わりだと目立たないのであまり気になりませんが、やっぱり余計な「.」です。
これは、パスワードのないユーザーの資格情報で、リモートデスクトップ接続をしようとしたときのエラーメッセージです(画面9)。筆者が知る限り、「Windows 8.1」のころから既にこのエラーメッセージでした。
最後は日本語訳の問題ではなく、フォント指定の問題と思いますが、ファイルのプロパティの「互換性」タブの中だけ、フォント指定が他と違っている気がして気持ち悪いです(画面10)。
まだまだありそうですが、見つけたら、フィードバックHubを通じて報告しましょう。既に類似のフィードバックがあれば、積極的に賛成票を投じましょう。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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