【 New-NetIPAddress 】コマンドレット――ネットワークアダプターに静的IPアドレスを設定するWindows PowerShell基本Tips(34)

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「New-NetIPAddress」コマンドレットを解説します。

» 2022年06月23日 05時00分 公開
[後藤諭史@IT]

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連載目次

 本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、ネットワークアダプターに静的IPアドレスを設定する「New-NetIPAddress」コマンドレットです。

New-NetIPAddressコマンドレットとは?

 ネットワークアダプターに設定するIPアドレスは、通信を行う上で必要不可欠です。

 「Windows 10」や「Windows 11」では「コントロールパネル」→「ネットワークと共有センター」→「アダプターの設定の変更」からネットワークアダプターごとに設定できますが、New-NetIPAddressコマンドレットでもIPアドレスを設定できます。

 New-NetIPAddressコマンドレットを使用する際には、ネットワークアダプターを指定する必要があります(詳細は後述)。ネットワークアダプターの指定は、第33回で解説した「Get-NetAdapter」コマンドレットを利用できますので、併せてご確認ください。

New-NetIPAddressコマンドレットの書式

New-NetIPAddress [オプション]


New-NetIPAddressの主なオプション

オプション 意味
-InterfaceIndex IPアドレスを設定するネットワークアダプターの番号を指定する。省略可能
-InterfaceAlias IPアドレスを設定するネットワークアダプター名を指定する。必須だが「-InterfaceIndex」で代替可能
-AddressFamily 設定するIPアドレスのプロトコル(IPv4/IPv6)を指定する。省略可能
-IPaddress ネットワークアダプターに設定するIPアドレスを指定する。必須
-PrefixLength 設定するIPアドレスのサブネットマスクをbit長で指定する。省略可能
-DefaultGateway 設定するIPアドレスのサブネットで使用するデフォルトゲートウェイアドレスを指定する。省略可能


ネットワークアダプターにIPアドレスを設定する

 ネットワークアダプター名を指定して静的IPアドレスを設定するには、以下のようにNew-NetIPaddressコマンドレットを実行します。対象のネットワークアダプター名は「Wi-Fi」、設定するIPアドレスは「192.168.1.99/24」(サブネットマスクでは255.255.255.0)、デフォルトゲートウェイは「192.168.1.250」です(画面1)。

コマンドレット実行例

New-NetIPAddress -InterfaceAlias "Wi-Fi" -IPAddress 192.168.1.99 -PrefixLength 24 -DefaultGateway 192.168.1.250

画面1 画面1 New-NetIPaddressコマンドレットでネットワークアダプターにIPアドレスを設定する


ネットワークアダプターの設定済みIPアドレスを同じサブネットの異なるIPアドレスに変更する

 既に静的IPアドレスが設定されているネットワークアダプターにNew-NetIPaddressコマンドレットでIPアドレスを設定した場合、同じネットワークアダプターに2つ目のIPアドレスが設定されてしまいます(画面2)。

画面2 画面2 New-NetIPaddressコマンドレットで追加設定すると、IPアドレスが2つ設定されてしまう

 そのため、IPアドレスを変更する場合は「古いIPアドレスをいったん削除し、あらためてIPアドレスを設定する」という手法を取ります。

 設定済みのIPアドレスは「Remove-NetIPAddress」コマンドレットで削除します(画面3)。

コマンドレット実行例

Remove-NetIPAddress -InterfaceAlias "Wi-Fi" -IPAddress 192.168.1.99 -PrefixLength 24 -DefaultGateway 192.168.1.250
New-NetIPAddress -InterfaceAlias "Wi-Fi" -IPAddress 192.168.1.199 -PrefixLength 24 -DefaultGateway 192.168.1.250

画面3 画面3 Remove-NetIPAddressコマンドレットで古いIPアドレスを削除し、あらためてNew-NetIPaddressコマンドレットで新しいIPアドレス設定する

 Remove-NetIPAddressコマンドレットの実行内容を見ると分かるように、内部的にはIPアドレスを削除後、「Remove-NetRoute」コマンドレットでデフォルトルートを削除していることが確認できます。

 つまり、Remove-NetIPAddressコマンドレットで「-DefaultGateway」オプションを指定しない場合は、デフォルトゲートウェイが削除されないので注意してください。



MACアドレスを指定してネットワークアダプターのIPアドレスを設定する

 指定されたMACアドレス(Media Access Control address)を持つネットワークアダプターのIPアドレスを設定する場合は、Get-NetAdapterコマンドレットを併用する必要があります(画面4)。

コマンドレット実行例

Get-NetAdapter | Where-Object MacAddress -eq <Macアドレス> | New-NetIPAddress -IPAddress 192.168.1.99 -PrefixLength 24 -DefaultGateway 192.168.1.250

画面4 画面4 Get-NetAdapterコマンドレットで、MACアドレスでネットワークアダプターを指定してIPアドレスを設定する

 なお、DNSサーバの指定は、New-NetIPaddressコマンドレットではできません。DNSサーバの設定は「Set-DnsClientServerAddress」コマンドレットで行います。

筆者紹介

後藤 諭史(ごとう さとし)

Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2022)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。


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