【 Set-AzureADUser 】コマンドレット――Azure Active Directoryユーザーの属性を変更するWindows PowerShell基本Tips(32)

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Set-AzureADUser」コマンドレットを解説します。

» 2022年05月27日 05時00分 公開
[国井傑株式会社エストディアン]

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「Windows PowerShell基本Tips」のインデックス

連載目次

 本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は「Azure Active Directory」(Azure AD)に作成されたユーザーの属性を変更する「Set-AzureADUser」コマンドレットです。

Set-AzureADUserコマンドレットとは?

 「Set-AzureADUser」は、PowerShellを利用してAzure ADユーザーの属性を変更するコマンドレットです。Azure ADユーザーの属性はブラウザ(Azure AD管理センター)からも変更できますが、複数のユーザーに対しては、Set-AzureADUserコマンドレットを利用することで簡単に一括変更できるようになります。

 なお、Set-AzureADUserコマンドレットは、本連載第30回で解説した「Connect-AzureAD」コマンドレットを利用してAzure ADに接続していることが前提条件になります。

Set-AzureADUserコマンドレットの書式

Set-AzureADUser [オプション]


Set-AzureADUserの主なオプション

オプション 意味
-ObjectId 属性変更するAzure ADユーザーを指定する
-AccountEnabled ユーザーの有効/無効を設定する。省略可能
-JobTitle ユーザーの役職属性を設定する。省略可能
-UsageLocation ユーザーの利用場所属性を設定する。省略可能


特定のユーザーを有効化する

 Set-AzureADUserコマンドレットでは、「-ObjectId」オプションで設定を変更するユーザー名(UPN)を指定し、さらに「-AccountEnabled」オプションを指定することで、無効なユーザーを有効化させることができます(画面1)。

 新しく入社するユーザーを事前に作成しておき、入社日に合わせてユーザーを有効化するといった運用で利用するケースが考えられます。

コマンドレット実行例

Set-AzureADUser -ObjectId <ユーザー名> -AccountEnabled $true

画面1 画面1 Set-AzureADUserコマンドレットでユーザーを有効化した


複数ユーザーをまとめて有効化する

 ユーザー有効化設定を複数のユーザーに対してまとめて行いたい場合もあるでしょう。その場合は、本連載第31回で解説した「Get-AzureADUser」コマンドレットで複数のユーザーを指定して、Set-AzureADUserコマンドレットで有効化します(画面2)。

 なお、Get-AzureADUserコマンドレットでユーザーを指定した場合は、「-ObjectId」オプションを指定する必要はありません。

コマンドレット実行例

Get-AzureADUser -Filter "JobTitle eq '新入社'" | Set-AzureADUser -AccountEnabled $true

画面2 画面2 Get-AzureADUserコマンドレットでJobTitle属性が「新入社」に設定されているユーザーを抽出して、それらのユーザーに対してまとめて有効化を設定した


特定の属性を変更する

 Azure ADユーザーの属性の中から役職属性に当たるJobTitle属性を変更する場合は、「-JobTitle」オプションを指定して、続けて新しい属性値を指定します(画面3)。

 なお、属性変更に利用できるオプションには、役職属性を変更する-JobTitleオプション以外にも、部署属性を変更する「-Deparment」属性、利用場所属性を変更する「-UsageLocation」属性などがあります。

コマンドレット実行例

Get-AzureADUser -Filter "JobTitle eq '新入社'" | Set-AzureADUser -JobTitle "正社員"

画面3 画面3 Get-AzureADUserコマンドレットでJobTitle属性が「新入社」に設定されているユーザーを抽出し、それらのユーザーに対してまとめて役職属性を「正社員」に変更した


ユーザーの利用場所を設定する

 Azure ADユーザーに「Microsoft Office 365」などのライセンスを割り当てる際、設定が必須となる属性に「利用場所」があります。この利用場所属性を設定する場合は、「-UsageLocation」オプションを利用します(画面4)。利用場所属性は「国/地域」を2文字のコードで表現します。

コマンドレット実行例

Get-AzureADUser | Set-AzureADUser -UsageLocation "JP"

画面4 画面4 Get-AzureADUserコマンドレットで全てのユーザーを指定し、続くSet-AzureADUserコマンドレットで利用場所属性を「JP」に設定した。「JP」は日本を表すコードとして指定している

筆者紹介

国井 傑(くにい すぐる)

株式会社エストディアン代表取締役。1997年からマイクロソフト認定トレーナーとして、Azure Active DirectoryやMicrosoft 365 Defenderなど、クラウドセキュリティを中心としたトレーニングを提供している。2007年からMicrosoft MVP for Enterprise Mobilityを連続して受賞。なお、テストで作成するユーザーアカウントには必ずサッカー選手の名前が登場するほどのサッカー好き。


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