プロジェクトメンバーが非協力的、上司がデジタルの民主化に難色を示す――困難な状態に陥った情シスを救ったのは、共に戦うチームの仲間だった。
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市民開発(デジタルの民主化)における情報システム部門(以降、情シス)の役割を説く、連載「情シスがリードする『幸せな』デジタルの民主化組織の作り方」。前回までは、情シスと現場との役割分担や情シスは具体的にどのような立ち位置でプロジェクトに参画すればよいのかなど、「デジタルの民主化への情シスの関わり方」を紹介した。
しかし、デジタルの民主化は一筋縄ではいかない。山登りには、天候、体調、ルートなどといった登頂成功のための要素がいくらでもあるように、デジタルの民主化にも数え切れないほどの成功要因が存在する。
今回はデジタルの民主化成功に欠かせない「チーム作り」の重要性を、事例とともに紹介する。
交通インフラを支えているA社は、「紙業務のデジタル化」を目的として、ノーコード・ローコード開発プラットフォームを導入することになった。
経営企画と情シスがタッグを組み、手始めに人事総務領域のデジタル化から取り組むことにした。体制が整い、社内の役割分担も決まり、良いスタートを切れたが、プロジェクト開始から1カ月くらいたったころから徐々に暗雲が立ち込めてきた。人事部のモチベーションが目に見えて落ち始めてきたのだ。
人事部メンバーに理由を聞くと、「直近で困っていることはないのに、目の前の業務に追加して新しいツールの使い方を覚えないといけない」と、そもそもプロジェクトに乗り気ではなかったことが分かった。
このままではプロジェクトが頓挫してしまうと考えた情シスと経営企画は、作戦を練り直した。
まず、プロジェクトの仲間探しだ。人事部メンバーの説得はいったん脇に置いて、新たなメンバーを探すことにした。ターゲットは「現状の業務に課題を持っていそうな人」だ。
そこで社内チャットスペースの「お悩み相談室」で展開されているコミュニケーション内容を詳細にチェックすると、課題を持っていそうな事業所が2つ見つかった。そこのメンバーにデジタル化プロジェクトの話をしたら、「課題解決につながるなら」と参加を快諾してくれた。
情シスメンバーは新プロジェクトチーム発足に当たり、働く拠点も関わる事業も異なるメンバーたちが関係を強固にし、何でも言い合える仲になるために、以下の取り組みを実施した。
意欲のあるメンバーを集め、情シスがチーム作りを積極的に行った結果、「どうやったら経営層を巻き込めるだろうか」「どうやったら他の社員に使ってもらえるだろうか」といった議論が活発に飛び交うチームが出来上がった。
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