ITRは業務自動化に向けた技術選定のポイントを解説したホワイトペーパー「業務自動化に向けた国内企業の現状と展望」を公開した。APIによる自動化を基本としつつ、局所的にRPAによる自動化を取り入れることがベストプラクティスだとしている。
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アイ・ティ・アール(ITR)は2022年8月18日、ホワイトペーパー「業務自動化に向けた国内企業の現状と展望」を公開した。国内企業の業務自動化に向けた取り組み状況と、技術選定のポイントを解説した。
年商500億円以上の国内大企業に勤める部長職以上の役職者を対象にITRが実施した調査(2022年3月実施)によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)における最重要課題は、「コミュニケーション/コラボレーションの高度化」(47%、複数回答、以下同)だった。次いで「業務の自動化」(45%)だ。
DXは単に情報をデジタルデータに置き換えるだけではなく、より迅速で多角的に処理することで初めて実現への道筋が開かれるとITRは指摘する。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による働き方の変化や、人口減少に起因する就労者不足などの課題も折り重なっているとしている。そのため、同社は、業務の自動化を重視する傾向は今後もより強まっていくとみている。
国内企業が自動化に取り組む業務領域は主にバックオフィス業務だ。トップ3は「人事/給与」「IT/エンジニアリング」「財務/会計」だった。
それに対して、今後に向けて準備や検討を進めている業務領域のトップは「営業/マーケティング」。顧客接点の強化やビジネスの差別化につながるフロントオフィス業務も、自動化の対象と考えられるようになっていると、ITRは分析している。
ITRによれば、業務自動化の手段を選定する際には、目指す自動化の水準を重視すべきだという。例えばRPA(Robotic Process Automation)やマクロといった自動化ツールは、個人や部門内に閉じた場合には効力を発揮する。部門横断的または人による意思決定との組み合わせが必要となる業務プロセスでは、APIによるシステム間連携がより適していると指摘する。
ITRでシニア・アナリストを務める舘野真人氏は次のように述べている。
「絶えず変化が求められるこれからの業務環境では、新しいアプリケーションが次々に採用されることが想定される。そうした異種混在環境では、単一の技術で高度な自動化を持続させることは困難だ。特に、部門を横断して自動化を推進する際には、各アプリケーションの仕様変更の影響を受けにくいAPI連携は利用価値が大きい。今後はAPIによる自動化を基本としつつ、局所的にRPAによる自動化を取り入れることがベストプラクティスになる。企業のDX推進を手掛ける担当者は、自動化を巡る市場動向や技術トレンドを注視し、自社の目的に適した実現手段の構想化に着手することを強く推奨する」
なお、「業務自動化に向けた国内企業の現状と展望」は同社のWebサイトから、無償でダウンロードできる。
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