CIOは「攻めの姿勢」に転じ、経営トップに対する戦略的パートナーへの転換を果たさなければならない。では、何を指針として行動すればいいのか。3つのポイントを紹介する。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
「Gartner 2020 Board of Directors Survey」によると、取締役の3分の2はデジタルおよびテクノロジーにおける“ディスラプション(創造的破壊)”を、最大のビジネス課題と考えている。さらに、取締役の過半数は、デジタルプロジェクトを今後2年間で最も優先順位の高い取り組みの一つと位置付けている。
だが、こうしたデジタルプロジェクトを誰が引っ張るのかははっきりしない。現在、デジタルプロジェクトはIT部門が支えている。取締役の約18%は、CIO(最高情報責任者)を「デジタルプロジェクトのかじ取りや取締役への助言ができる、信頼できるアドバイザー」と考えている。しかし、取締役の31%が「問題が生じなければCIOに相談しない」と回答しており、半数近くは、デジタルプロジェクトに関してCIOとは時々連絡を取るだけだという。
「CIOはリーダーシップの観点から見て、政治的に最も微妙かつ強力な位置を占める」と、Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントのティナ・ヌノ(Tina Nunno)氏は、2019年10月に米国で開催されたGartner IT Symposium/Xpoで語った。
「リーダーとしての采配次第で、CIOは『心強い味方』とも『お飾り役員』とも評価される」(ヌノ氏)
ほとんどのCIOは、自身を類型化するなら「積極的」「攻めの姿勢」ではなく、「受け身」「守りの姿勢」だと考えているという調査結果がある。だが、今日の企業が直面するさまざまな転機を勝機に変えるには、CIOはより戦略的なリーダーシップの発揮につながる3つのポイントに重点を置き、攻めに打って出る必要がある。
既存の土俵で物事を行うか行わないかを決めるのではなく、エンゲージメントの条件をリセットする。これは、全社的な観点に立って守りを敷くことでもある。トルコの最大手行の一つであるIsBankで、16時間に及ぶ停電のために業務が大混乱していたとき、同行のCIOはビジネス部門への対応の在り方を見直し、「業務の正常な遂行を目的に、当面、新しいビジネス要求は最小限に制限する」といった原則を導入すべき時だと判断した。
「正確を期せば、この銀行のIT部門はITに関する期待に応えなかった。だが、それに応えるのは、サービスプロバイダーがすることだ。このIT部門はエンゲージメントの条件をリセットし、攻めの態勢に入った。真のパートナーは、関係を築く条件をそれぞれが設定する」(ヌノ氏)
技術と業務の両方のリーダーを擁するアジャイル(俊敏)なチームを作る。Gartnerは、こうしたチームを「フュージョンチーム」と呼んでいる。カナダの金融サービス企業であるDesjardinsは、「BizTechOps」を掲げるフュージョンチームを構築、運営している。BizTechOpsはビジネス、技術、業務のリーダーが連携することを指している。こうしたチームがビジネスを成長させるだけでなく、守る上でも鍵を握る。
取締役会にとって耳に心地良い報告は、デジタル投資によって売上高と粗利が伸び、自社のセキュリティが担当部署によって維持されているというものだ。つまるところ、取締役会の関心事は売上高とコスト、リスクの3つに尽きる。これは、CIOはこれらに焦点を当てて、取締役会とコミュニケーションを取るべきであることを意味する。IT部門が1株利益にどれだけ貢献しているかを取締役会に説明するとよい(政府機関であれば、IT部門が主要ミッションの達成にどのような影響を与えているかを所管当局に説明するとよい)。
出典:Why CIOs Need to Move From Defense to Offense(Smarter with Gartner)
Brand Content Manager at Gartner
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