ウイングアーク1stは、「インボイス制度に向けた企業間取引の電子化に関する対策調査」の結果を発表した。「Peppol」に対応予定の企業は全体の4分の1、約3割が適格請求書発行事業者の登録申請に向けて動いていることが分かった。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
ウイングアーク1stは2022年9月9日、「インボイス制度に向けた企業間取引の電子化に関する対策調査」の結果を発表した。この調査は、売上額100億円以上の企業に所属する請求書関連業務に携わる会社員509人を対象に実施したもの。それによると、電子インボイスの標準仕様「Peppol」に対応予定の企業は全体の4分の1、約3割が適格請求書発行事業者の登録申請に向けて動いていることが分かった。
インボイス制度への対応状況を見ると、「対応に向けてすでに具体的に動いている」と回答した企業の割合は35.8%、「対応方法を検討している」が19.3%。「まだ何も動いていない」は11.0%だった。Peppolへの対応状況については「対応する予定」が24.4%、「対応しない予定」が10.8%で、「分からない」(50.9%)との回答が過半数を占めた。「適格請求書発行事業者」の登録申請状況を見ると、「登録申請に向けてすでに具体的に動いている」が27.7%、「登録申請を検討している」が13.9%だった。
インボイス制度に対応するため情報システム部門と連携しているかどうかについて聞くと「すでに連携している」と回答した企業の割合は38.2%、「まだ連携していないが取り組む予定」は22.8%だった。
情報システム部門と連携してインボイス制度に対応しようとしている企業が過半数を占めたものの、課題もあるようだ。情報システム部門と連携するに当たっての課題として、「部門横断の業務プロセスの再設計」(54.7%、複数回答、以下同)や「ITスキル人材の不足」(48.6%)、「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進体制の構築」(40.2%)、「部門間の連携を阻む制度や風土の存在」(20.1%)が挙がった。
インボイス制度への対応について社内のDX関連部門との連携状況について聞くと「すでに連携して取り組んでいる」企業が28.1%、「まだ連携していないが取り組む予定」は25.2%で、過半数がDX関連部門と連携しているか連携予定ということが分かった。ただここにも課題はあり、最も多いのは「ITスキル人材の不足」(55.6%、複数回答)、「部門横断の業務プロセスの再設計」(45.4%)、「DX推進体制の構築」(42.4%)と続いた。
インボイス制度の推進体制について、社外と連携が取れている企業はまだ少ない。インボイス制度の社外を含む推進体制について、「すでに連携が取れている」企業は20.6%、「連携したいと思っているが連携が取れていない」は31.0%だった。免税事業者の取引先に課税事業者への移行を「すでに依頼した」は13.6%、「まだ依頼していないが依頼する予定」は26.5%だった。
こうした状況にもかかわらず、取引先である免税事業者が課税事業者へ転換をしなかった場合、今後の取引に「非常に影響があると思う」と回答した企業の割合は22.7%、「やや影響があると思う」は56.6%で、大半が今後の取引への影響を不安視していた。
ただ多くの企業は「取引先が免税事業者のまま」でも取引を継続する意向を持っていた。取引先が免税事業者のままでも、「1年間は取引を継続する」と回答した企業の割合は13.6%、「2〜3年間は取引を継続する」が38.0%、「3〜4年間は取引を継続する」が13.2%、「4〜5年間は取引を継続する」が5.4%、「5年後以降も取引を継続する」が9.1%だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.