IT部門の負担を減らす取り組みとして注目されるローコード/ノーコード開発ツール。だが、ガバナンスをどのように効かせるのか、事業部門をどのように巻き込むのかなど、気になることは多い。サイボウズのセミナー「kintone IT Special Seminar 2022」からその答えを探る。
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企業のITを支える縁の下の力持ちとして期待されているIT部門だが、その守備範囲は広い。経営の視点で“新しいビジネスを創出するための仕組み”を考えることはもちろん、事業部門の業務を効率化させるための施策の検討も必要だ。とはいえ、リソースには限界があり、手が足りない状況が増えてくる。
こうした背景もあり、「アプリケーション開発はIT部門がするもの」というこれまでの常識が見直されている。ローコード/ノーコード開発ツールなどを活用すれば事業部門が主体的にアプリケーションを開発できるからだ。
ただ心配なのはガバナンスだ。せっかくローコード/ノーコード開発の仕組みを導入したのに「トラブル対応に追われ、以前より忙しい」「問い合わせが多過ぎて業務が回らない」といったことになれば本末転倒だ。
そこで本稿は、kintone IT Special Seminar 2022のセッション「JALのIT部門が考えるkintone成功方程式『目的×仕組み×熱意』」を基に、ローコード/ノーコード開発の導入で注意すべき点を解説する。
日本航空(JAL)がkintoneを導入したのは2020年1月のことだ。当時、JALは課題を抱えていた。DX(デジタルトランスフォーメーション)の機運の高まりもあり、業務のデジタル化に向けたさまざまな取り組み、案件が動いていた。だが、当時のIT部門のリソースでその全てに対応することは難しかった。コストの問題もあった。現場の業務を効率化できるアイデアがあっても、規模が小さいため、システム化するほどコストをかけられなかったのだ。
これらの課題を解決するためには、開発をIT部門に任せきりにするのではなく「事業部門など限定的なITスキルしか持たない人材でもアプリケーションを開発できる仕組みが必要だ」とJALのIT企画本部は考え、ローコード/ノーコード開発基盤の導入を決めた。
kintoneを選んだ主な理由は「(kintoneが)ターゲットにしている領域がJALに合っていたこと」「一部門からのスモールスタートが可能なこと」「IT部門による開発が不要で、エンドユーザーコンピューティング(EUC)が可能なこと」だとJALの日高大輔氏(高は“はしごだか”、IT運営企画部IT運営企画部技術戦略グループ アシスタントマネジャー)は言う。
kintoneを導入するに当たって、日高氏をはじめとするIT企画本部のよりどころとなったのが「JAL kintone成功方程式」だ。
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