成功するDXリーダーの特性トップ5Gartner Insights Pickup(281)

CIO(最高情報責任者)がデジタルトランスフォーメーション(DX)をリードし、結果を出すには、5つの重要な特性を備える必要がある。

» 2022年11月18日 05時00分 公開
[Lori Perri, Gartner]

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 CIO(最高情報責任者)は、職務上の役割がますます拡大する中で、不確実性や変化に効果的に対処していかなければならない。デジタル化はビジネスにディスラプション(創造的破壊)をもたらすだけでなく、リーダーシップの在り方も変革する。Gartnerの調査は、デジタルビジネスの取り組みを成功させるには、技術リーダーシップのパラダイムシフトと、課題に対する新しい考え方や取り組み方が必要になることを示している。

 「ダイナミックに変化する世界で成功するには、CIOは柔軟かつアジャイル(俊敏)に任務を遂行しなければならないことを理解している。ディスラプションが起こっている職場、ビジネスモデルの変革、業務モデルの変化、ITデリバリーモデルの変化といった現実は全て、CIOが担う職務と責任を根本的に変える」。Gartnerのプリンシパルアナリストのアプールヴァ・チャブラ(Apoorva Chhabra)氏はそう指摘する。

 「その一方で、これらは全て、CIOが経営陣の一員としてのリーダーシップを拡大する機会も生み出す」(チャブラ氏)

デジタルリーダーとして成功するには――持つべき5つの特性

 ビジネストランスフォーメーションは、リーダーがいかに効果的に自己変革を遂げるかによって、加速もすれば頓挫もする。経営幹部レベルの技術リーダーシップには、デジタル化がもたらす機会と脅威の予測、技術の活用による状況変化への適応、ディスラプションの利用方法と価値の発見が含まれる。有能なデジタルCIOになるには、以下の5つの特性を理解し、備えることが重要だ。

(出所:Gartner)

1.新しいもの好き:新しいものは何でも好む傾向、斬新さ、新奇さ、物珍しさへの愛着

 新しいもの好きは、生まれつき好奇心が強く、新しいものに魅力を感じる。価値を創造する新しい方法を探求し、見つけようとする。

 新しいもの好きは、他の人が生み出した、これまでとは異なるさまざまなアイデアを歓迎する。こうしたアイデアは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させる重要な要素だ。「これまで何を得たか」ではなく、「何を達成したいのか」を自問し、既存の仮説を受け入れない。最終目標を設定することで、一見複雑な問題でも、解決策を見いだせる。

 有能なデジタルCIOもイノベーションを受け入れる。高度な創造性を備えている場合が多く、こうした創造性は、一見関連のない領域に関連性を見いだす能力として定義されている。

2.新しい機会を開発する:考案するが、模倣もする

 デジタルリーダーは、常に考案やイノベーションをするとは限らない。実のところ、成功するデジタルリーダーは「自社が変わるべき部分」「模倣できる部分」「即時に対応すべき部分」を正確に認識している。

 成功するデジタルリーダーは、より大きな優位性、スピードアップ、または価値貢献を実現する特定の領域を選択的に強化する。また、明確な優位性を見いだせない領域では、既に確立された方法を基に模倣や当座しのぎの対処で良しとする。非効率なリーダーは焦点を絞れておらず、至る所でイノベーションを試みる傾向がある。

3.新しい機会を開拓する:業界の枠にとらわれない

 Gartnerは、このリーダーシップ特性を体現する人物を「デジタルドラゴン」と呼んでいる。デジタルドラゴンは特定の業界を超えて積極的に価値を追求し、自らが携わる業界の価値を再定義する中で、全く新しい業界を生み出す。多くの場合、戦略やデジタル導入計画は、市場のディスラプションを目指した結果として初めて策定される。

 有能なデジタルリーダーは、必ずしも明確ではない脅威を見抜き、業界を静的な、あるいは不変なものと考えるのではなく、業界の将来に関する明確なビジョンを描きながら意思決定をする。

4.新たな価値創造の機会を求める:決してデジタルを成果として見なさない

 成功するデジタルリーダーは、デジタルは手段であり目標ではないこと、そして単に何かをデジタル化しても、必ずしもその価値が高まるわけではないことを理解している。実際には、価値が下がる可能性もある。

 デジタル技術ツールは商品のライフサイクルを延ばしたり、商品やサービスにデジタル機能を追加したり、商品をサービスとして提供したりすることで、人々の働き方を変えるか、提供する商品やサービスを変える。

 デジタルツールを実装する前に、商品やサービスの価値提案を支える論理を考える必要がある。デジタル商品やサービスが、ビジネス上の成果(顧客本位の徹底、市場シェアの拡大、収益の向上など)を、どのように促進するかが明確でなければならない。デジタルを活用し、オンデマンドサービスやハイパーパーソナライゼーション、ダイナミックプライシング、リアルタイムアプリケーションなどの価値提案を強化することが重要だ。

5.技術がもたらす機会にフォーカスする:技術を追い求める

 成功するリーダーは、ビジネスの基盤技術を深く理解している。技術でできることとできないことを理解していなければ、技術から価値を引き出すことは難しい。

 CIOは、充実した技術環境を実現し、カスタマイズした刺激的な学習を協調的に行えるようにする必要がある。技術を情熱の対象として、そしてライバルがひしめく競争の激しいビジネスにおいて、自社が革新性を維持し、存在感を発揮し続けるために不可欠な方法として追い求めなければならない。

要約

  • CIOは、デジタルリーダーとしての自らの役割を見直す必要がある。職場におけるディスラプションやビジネスモデル、業務モデル、ITデリバリーモデルの変革が進んでいることがその背景にある
  • CIOは、不確実性や変化に対応することで、より有能なビジネスリーダーになる
  • DXを進めるには、技術リーダーは単にビジネス要件に対応または対処するのではなく、そのアプローチを変革する必要がある

出典:Top Five Characteristics of Successful Digital Transformation Leaders(Smarter With Gartner)

筆者 Lori Perri

Content Marketing Manager


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