IDCによると、2025年までに、アジア(日本を除く)に拠点を置く企業2000社の65%で、クラウドがオンプレミスインフラに代わって、運用データを保存、管理、分析する主要な場所になる見通しだ。
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IDCは2023年2月16日(シンガポール時間)、アジア太平洋地域(日本を除く)におけるIT運用の未来に関する予測レポートに含まれる10の予測の一つとして、「2025年までに、アジアに拠点を置く企業2000社の65%で、クラウドがオンプレミスインフラに代わって、運用データを保存、管理、分析する主要な場所になる」との見通しを明らかにした。
IDCはこの予測レポートの中で、「Future of Operationsフレームワーク」を用いて、企業が「データ主導の運用」(DDO:Data-Driven Operations)を採用することで、意思決定のプロセスや有効性をどのように改善できるかを説明している。クラウドはDDOにおいて中心的な役割を担っており、これはIDCが2022年に世界規模で行ったIT運用の未来に関する調査の回答にも示されている。
回答者の80%は、企業がオペレーショナルエクセレンス(運用の効率、効果の向上による競争優位の構築)とオペレーショナルレジリエンス(運用における強靭《きょうじん》性や回復力の構築)を達成するのに役立つという観点から、クラウドが重要または不可欠であると回答している。効率的で最適化された運用を実現するために必要な他の主要技術には、ロボティクス、複合現実ツール、エッジコンピューティング、5G、サイバーセキュリティが含まれる。
「アジア太平洋地域の企業は、データ主導の運用を実現するために、重要な技術に投資する必要性を理解している。企業は新しいデジタル機能を必要としており、クラウドや次世代接続などの基盤技術を確立する必要がある」と、IDC Asia/PacificでFuture of Operations担当アソシエートリサーチディレクターを務めるラケッシュ・パトニ氏は述べている。
「だが、企業が怠ってはならないもう1つの重要な側面がある。それは、雇用やサービスプロバイダーとの提携、あるいは既存従業員のスキルアップや再教育などを通じて、人材を育成することだ。人材と技術が適切な戦略と組み合わされて初めて、企業は最適化された効率的な運用を実現できる」(パトニ氏)
アジア太平洋地域(日本を除く)におけるIT運用の未来に関する予測レポートに含まれる10の予測は、以下の通り。
2026年までに、アジアに拠点を置く企業2000社(A2000)の40%が、経済性とサステナビリティのバランスを考慮したリアルタイムの意思決定を行うようになり、企業全体でそれぞれの指標をいずれも5%向上させる。
2026年までに製品中心の企業の30%が、ライフサイクルを通じてカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を測定するデジタルツールを使用するようになり、PLM(製品ライフサイクル管理)と運用データのより良い統合が必要になる。
2024年までに人材不足と運用パフォーマンス向上への圧力を背景に、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)のアプローチを見直す必要に迫られ、その結果として外部サービスの利用が増加する。
2027年までに拡張現実技術(AR/VR/MRツールなど)の利用が40%増加し、新タイプのデジタルワーカーが登場する他、オペレーターやフィールドワーカーのミスが30%削減される。
2027年までに非伝統的な分野(特に、リモート検査やメンテナンス)におけるロボットの利用が25%増加し、検査ミスが40%減少する。
2024年までに5G接続によるデジタルファーストの運用で労働者の安全性が向上し、休業災害が20%減少する。
2027年までにリモート運用の40%で、衛星利用のAI/ML(人工知能/機械学習)技術を用いてエッジでのデータ収集、分析が行われるようになり、天然資源分野でコストが削減され、歩留まりとエネルギー利用率が向上する。
2025年までにA2000の65%で、クラウドがオンプレミスインフラに代わって、運用データを保存、管理、分析する主要な場所になる。
2024年までに企業の30%が、運用に関する洞察を誰もがいつどこでもリアルタイムで利用できるようにすることで、競合他社よりもスリムでアジャイル(俊敏)になる。
2026年までに企業の40%が、エッジにおけるIoTとOT(オペレーションテクノロジー)のサイバーセキュリティソリューションの利用を拡大し、OTのサイバーセキュリティ侵害を半減させる。
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