Google Cloud、生成AI活用を支援する「Vertex AI」の強化と「Generative AI App Builder」を発表数分から数時間で生成AIを組み込んだアプリを構築できる

Google Cloudは、生成AIアプリケーションを簡単に構築できるツールを求める企業のニーズに応え、Google Cloudの機械学習プラットフォーム「Vertex AI」での生成AIサポートと、新ツール「Generative AI App Builder」を発表した。

» 2023年03月20日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Google Cloudは2023年3月15日(米国時間)、生成AI(人工知能)を利用したアプリケーションを簡単に構築できる新世代ツールを求める企業のニーズに応え、Google Cloudの機械学習(ML)プラットフォーム「Vertex AI」での生成AIサポートと、新ツール「Generative AI App Builder」を発表した。

 生成AIは、新しいテキスト、画像、コード、動画、音声などを生成するAIや、これらを組み合わせて生成するAIを指す。Vertex AIでは、MLモデルやAIアプリケーションのトレーニングやデプロイ(展開)ができ、モデルの構築、デプロイ、スケーリングを高速化することが可能だ。

 Google Cloudは、「これまで企業が生成AIにアクセスしたり、カスタマイズしたりすることは難しく、生成AIが、信頼を損ないかねない不正確な情報を生成することもあった」と指摘し、今回発表した2つの技術により、開発者はエンタープライズレベルの安全性、セキュリティ、プライバシーを確保しながら、生成AIを利用して責任ある開発を行えるようになると述べている。

 この2つの技術の概要は以下の通り。

Vertex AIで基盤モデルの構築、調整、デプロイが可能に

 Vertex AIの生成AIサポートにより、データサイエンスチームは、Googleなどが提供する基盤モデルに簡単にアクセスし、自社開発のMLモデルやMLOpsと同じプラットフォームを使って、こうした基盤モデル上での構築やカスタマイズを行えるようになる。これにより、以下のようなメリットを享受できるとGoogleは述べている。

  • Vertex AI上のPaLM(Pathways Language Model)APIに簡単にアクセスできるようになり、コンテンツ生成、チャット、要約、分類などのユースケースにすぐに対応できる
  • オプションとして、Google ResearchとDeepMindが発明した最新の基盤モデルを選択できる他、テキスト、画像、動画、コード、音声など、さまざまなデータ形式がサポートされる
  • Vertex AIは今後、オープンソースやサードパーティーのモデルをサポートしていく予定であり、さまざまなモデルから選択できるようになる
  • プロンプトの調整、カスタマイズ、最適化の方法を選択し、ビジネスデータを使用して、データ主権とプライバシーを確保しながら、基盤モデルの出力の関連度を高め、コストを管理できる
  • ノートブック、API、対話型プロンプトなど、さまざまなツールによって、生成AIアプリケーションや、カスタマイズされたモデルの構築に貢献できる

 テストユーザーは2023年3月15日から、Vertex AIの生成AIサポートにアクセスできるようになった。

数分から数時間でアプリケーションを構築できるGenerative AI App Builder

 Generative AI App Builderにより、開発者はbot、チャットアプリ、カスタム検索エンジン、デジタルアシスタントなどの生成AIアプリケーションの作成を、限られた専門知識でも迅速に開始できる。Googleは、以下のことが可能になるとしている。

  • 目的のユースケースに対応した基盤モデルやすぐに使えるテンプレートに直接APIでアクセスできるため、すぐに作業を開始できる。事前に用意されたコネクターを用いて、データを非公開に保ちながら、基盤モデルのインテリジェンスと統合できる
  • ユーザーの質問の意図を推測し、基盤モデルからの関連情報とともにプロプライエタリデータを表示し、必要な引用とデータの帰属を含む回答を提供するアプリケーションを、データの分離と主権を確保しながら構築できる
  • ユーザーは対話時にテキスト以外にも、音声入力、タップ、画像送信を行うことができ、bot、アシスタント、その他の生成AIアプリケーションは、テキスト、音声、メディアで応答できる
  • きめ細かな制御により、開発者は基盤モデルの出力と、ステップ・バイ・ステップの会話のオーケストレーションを融合させ、エンゲージメント期間にかかわらず、顧客に適切な答えを提供できる
  • デジタルアシスタントやbotは、単にコンテンツを提供するだけでなく、購買システムやプロビジョニングシステムに接続し、状況に応じて顧客との会話を人間のエージェントにエスカレーションできる

 テストユーザーは2023年3月15日から、Generative AI App Builderにアクセスできるようになった。

開発者、企業、政府を支援――生成AIの活用構想は?

 Google Cloudとともに生成AIの活用を目指している企業では、以下のような構想が検討されている。

  • 幅広いコンテンツ生成の自動化
  • AI体験およびアシスタントの多種多様なタスクへの適用
  • 多数のソースにまたがる大規模な社内データセットの検索と把握
  • 生成AIを手掛けるスタートアップ(新興企業)を後押しする基盤の提供

 Google Cloudは、新しいAI技術を製品に導入する際の必達目標として、変革的な機能の提供と、組織、ユーザー、社会に対する適切な保護を掲げている。今回の発表でも、以下の観点を重視している。

  • 透明性と説明可能性
  • プライバシーとデータ主権
  • データの事実性と鮮度
  • 決定論的なワークフロー制御を備えた確立モデル
  • さまざまな要件に対応する選択肢

 Google Cloudは同日、オープンなAI開発アプローチを実践するコミットメントの一環として、スタートアップ、開発者、企業によるAIプロジェクトの推進を加速させる、新しいAIパートナーシップとプログラムも発表した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。