MicrosoftはMicrosoft Azureだけでデプロイおよび実行可能なWindows Server 2022のAzure Editionに、Azure Editionだけの「ホットパッチ」機能を提供しています。これまでは、Server CoreインストールベースのAzure Edition Coreだけに提供されてきましたが、2023年4月からデスクトップエクスペリエンスベースのAzure Editionでもプレビュー提供が始まりました。
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本連載第161回で説明したように、Microsoftは2022年2月から「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Core」に対して「ホットパッチ(Hotpatch)」機能を一般提供しています。
ホットパッチ機能は、数カ月に一度(現在は3カ月に一度)の再起動が必要なベースラインの更新プログラムと、その間の月ごとに提供される再起動不要な「ホットパッチ」の組み合わせで、更新プログラムのインストールに伴う再起動数を削減し、長期運用を実現するものです。
ホットパッチのリリース情報は、以下のサイトで確認できます。表1に、通常の「Windows Server 2022」向けの毎月の品質更新プログラム(累積更新プログラム)と、Azure Edition向けのホットパッチのリリース履歴と今後の予定をまとめました。Azure Edition向けのホットパッチベースラインはWindows Server 2022向けの累積更新プログラムと共通であり、インストール後の再起動が必要です。その後の2カ月は、再起動が不要なホットパッチが提供されます。
Windows Server 2022 Standard/Datacenter | Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition | |
---|---|---|
2023年1月 | KB5022291(ビルド20348.1487)[要再起動] | ホットパッチベースライン(同左)[要再起動] |
2023年2月 | KB5022842(ビルド20348.1447)[要再起動] | ホットパッチKB5022921(ビルド20346.1544) |
2023年3月 | KB5023705(ビルド20348.1607)[要再起動] | ホットパッチKB5023786(ビルド20346.1602) |
2023年4月 | KB5025230(ビルド20348.1668)[要再起動] | ホットパッチベースライン(同左)[要再起動] |
2023年5月 | 5月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチ |
2023年6月 | 6月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチ |
2023年7月 | 7月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチベースライン(同左)[要再起動] |
2023年8月 | 8月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチ |
2023年9月 | 9月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチ |
2023年10月 | 10月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチベースライン(同左)[要再起動] |
2023年11月 | 11月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチ |
2023年12月 | 12月の累積更新プログラム[要再起動] | ホットパッチ |
表1 Windows Server 2022向け更新プログラムと、Azure Edition向けベースラインとホットパッチの実績と今後の予定 |
Microsoftは2023年4月から、これまでAzure Edition Coreに対してのみ提供してきたホットパッチを、デスクトップエクスペリエンスのAzure Editionに対してもプレビュー機能として利用可能にしました。プレビューであるため、運用環境では利用できませんが、インストールされているOSコンポーネントが多く、GUIを前提とした何らかのアプリケーションが稼働するデスクトップエクスペリエンス環境の更新管理において、ホットパッチでうまく運用できるのかどうか、一般提供までに評価するのに利用できます。
プレビュー提供中は、Azure Marketplaceの通常の「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition」オファーでは、ホットパッチを有効にすることはできません(画面1)。
ホットパッチのプレビューを利用するには、Azure Marketplaceで「Hotpatch Preview」を検索し、「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Hotpatch Preview」オファーをデプロイして、「仮想マシンの作成」ウィザードの「管理」タブで「ホットパッチを有効にする」がオンに、「パッチオーケストレーション」が「Azure調整済み」になっていることを確認します(画面2)。
デスクトップエクスペリエンスのAzure Edition向けのベースラインとホットパッチは、おそらくAzure Edition Coreと共通であり、プレビュー提供が開始された2023年4月のイメージは、2023年4月の累積更新プログラムを含むビルド(20348.1668)です(画面3)。2023年5月と6月はホットパッチが提供され、次に再起動が必要なベースラインの更新は7月の予定です。
2023年7月18日(米国時間)、「Windows Server 2022 Datacenter: Azure Edition Hotpatch Preview」オファーのプレビューが終了し、「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Hotpatch」オファーの一般提供が開始されました。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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