再起動なしで長期運用を実現、Windows Server仮想マシンの「ホットパッチ」機能が正式版にMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(164)

Microsoftは2022年2月16日(米国時間)、これまでプレビュー機能として提供されていたAzure仮想マシンの「ホットパッチ」機能を正式にリリースしました。運用環境において、長期間運用のためにこのパッチ管理機能を利用できるようになりました。

» 2022年02月25日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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「Microsoft Azure最新機能フォローアップ」のインデックス

Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Azure Edition Coreだけのホットパッチ機能

 「ホットパッチ(Hotpatch)」は、現状、「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition」のServer Coreインストール環境でのみ利用可能なパッチ管理機能です。数カ月に1度のベースラインの更新プログラム(再起動が必要な通常の累積更新プログラム)と再起動が不要なホットパッチ対応のセキュリティ更新プログラムを組み合わせて、再起動なしで長期運用を実現します(画面1画面2)。

画面1 画面1 2022年1月は再起動が必要なベースラインの更新プログラムが提供された
画面2 画面2 2022年2月は再起動が不要なホットパッチのセキュリティ更新プログラムが提供された。インストールも極めて短時間(数分)で終わる

 ホットパッチ機能は、Microsoftがオファーする「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Core」と、「[smalldisk]Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Core」イメージからデプロイしたAzure仮想マシンで有効化できます(「Azure Stack HCI」でも利用可能になる予定です)。

 これらのイメージは英語版Windows Server 2022 Datacenter:Azure EditionのServer Coreインストールイメージです。Windows Server 2022 Datacenter:Azure Editionのデスクトップエクスペリエンスインストールや、DatacenterやStandardといった通常エディションのWindows Serverには対応していません(画面3)。

画面3 画面3 ホットパッチに対応しているのはWindows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Coreのイメージのみ

 ホットパッチは、Microsoft Azureによるパッチオーケストレーションと組み合わせることで、更新プログラムの評価とインストールのスケジューリングをAzureに任せ、自動運用することができます(画面4)。

画面4 画面4 ホットパッチとAzureオーケストレーションを有効化する

 ホットパッチの運用状況は、「Azureポータル」(ゲスト+ホストの更新プログラム|ホットパッチ)から参照できる他、手動で評価を開始し、手動で選択した更新プログラムのインストールを開始することもできます。

 また、ベースラインとホットパッチの更新プログラムは、Windows Updateと同じサービスで提供されるため、ゲストOSについては通常の更新プログラムのインストール操作(Server Coreインストールなので「Sconfing」ツールを使用)で検出、ダウンロード、インストールすることもできます(画面5)。

画面5 画面5 ベースラインとホットパッチの更新プログラムは、通常のWindows Updateで配信される

 なお、ホットパッチの対象はベースライン以降のWindows向けのセキュリティ修正のみです。アプリケーションのインストールや更新、.NET Frameworkなど、その他のMicrosoft製品の更新プログラムのインストールが必要な場合、その再起動要件に従う必要があります。

2022年のホットパッチのリリーススケジュール

 将来的にサイクルが拡張される可能性はありますが、現状は「3カ月に1度」のベースラインと、その間2回のホットパッチの組み合わせという運用になります。以下の≪表1>に、2022年のホットパッチの提供スケジュールを示します。最新情報は、以下のリリースノートを参照してください。

リリーススケジュール 更新プログラムの種類 再起動の必要性
2022年1月Bリリース ベースライン 必要
2022年2月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年3月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年4月Bリリース ベースライン 必要
2022年5月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年6月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年7月Bリリース ベースライン 必要
2022年8月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年9月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年10月Bリリース ベースライン 必要
2022年11月Bリリース ホットパッチ 不要
2022年12月Bリリース ホットパッチ 不要
表1 2022年の更新プログラムの提供スケジュール

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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