IBM、AIプラットフォーム「watsonx」を発表 日本での展開はいつ?「Red Hat OpenShift AI」や「Watson Code Assistant」を提供へ

IBMが企業向けのAIプラットフォーム「watsonx」を発表した。2023年7月に一般提供を予定しているwatsonxは、基盤モデルや生成AIのための新しいプラットフォームで、スタジオツールやデータストア、ガバナンスツールキットを提供する。

» 2023年05月29日 13時00分 公開
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 IBMは2023年5月9日(米国時間)、年次で開催するカンファレンス「Think」で、新しいAI(人工知能)およびデータプラットフォーム「watsonx」を発表した。watsonxは基盤モデルや生成AI向けの新しいプラットフォームで、スタジオツールやデータストア、ガバナンスツールキットを提供する。

 IBM会長兼CEOのアービンド・クリシュナ氏は「クライアントがAIで優位性を獲得できるように、企業のニーズに合わせてwatsonxを構築した。watsonxを使用することで、クライアントはデータを完全にコントロールしながら、ビジネス全体にわたってカスタムAI機能を迅速にトレーニングし、展開できる」と述べた。

日本での展開はいつ? 日本IBMが説明

日本IBM 常務執行役員 テクノロジー事業本部長 村田将輝氏 日本IBM 常務執行役員 テクノロジー事業本部長 村田将輝氏

 同製品について、日本IBMは2023年5月24日、日本国内での展開を説明した。

 日本IBMの村田将輝氏(常務執行役員 テクノロジー事業本部長)は「AIが当たり前、前提になる世界が広がっている」と指摘した上で、「日本のお客さまにはAIのユーザーになるだけではなく、AI価値創造企業になっていただくことが重要。日本IBMはwatsonxを、AIとデータのプラットフォームを戦略の中心と位置付けて加速させていく」と述べた。

IBMが提供するAIプラットフォームの全体像(提供:日本IBM) IBMが提供するAIプラットフォームの全体像(提供:日本IBM)

 watsonxプラットフォームは3つの製品セットで構成する。AIを構築するためのツールや機能群をまとめた企業向けスタジオを提供する「IBM watsonx.ai」と、全てのデータを配置できるデータストアの「IBM watsonx.data」、AIガバナンスツールキットである「IBM watsonx.governance」の3つだ。aiとdataは2023年7月、governanceは2023年後半に提供開始予定だ。

 日本IBMの二上哲也氏(執行役員 IBMフェロー IBMコンサルティング事業本部 CTO〈最高技術責任者〉)は、現在注目されている生成AIではビジネスの利用に関して正確さや透明性、データの出自などに懸念があると指摘。watsonxは「業種やお客さまごとのAI環境を構築できる」という。

watsonx.ai

 watsonx.aiは、従来の機械学習と、基盤モデルを適用した生成AI機能の両方を学習、検証、調整、導入できるオープンなツール。日本IBMの田中 孝氏(テクノロジー事業本部 Data and AIエバンジェリスト)はIBM独自の基盤モデルとしてコード生成、大規模言語モデル(LLM)、地理空間データの3種を用意すると説明した。Hugging Faceとの提携によるオープンソースモデルの利用もできるという。「PyTorch」などとのコミュニティーとも協力する。

watsonx.data

 watsonx.dataは、オープンレイクハウスアーキテクチャで構築したデータストアで、オンプレミス環境とマルチクラウド環境のワークロードについて「一元的なデータ管理を可能にする」(田中氏)。「Presto」「Spark」など複数のクエリエンジンを使い分けることもできる。

watsonx.governance

 watsonx.governanceは信頼できるAIワークフローを実現するためのAIガバナンスツールキット。「従来の機械学習モデル、基盤モデルにおいて、誰が作ったのかなどのメタデータを管理する」(田中氏)。

Red Hat OpenShiftと統合

 IBM製品へのwatsonxの組み込みも始める。watsonのツール群をオープンソース化して「Red Hat OpenShift」に統合する。また、ユーザー基盤のAI利用を加速するためNVIDIAと協業し、GPUサービスを「IBM Cloud」で提供する。自然言語に基づきコードを生成する「Watson Code Assistant」も2023年後半には利用可能にする。まずはAnsibleのコード生成からサポートする予定だ。

watsonxをIBM製品に活用(提供:日本IBM) watsonxをIBM製品に活用(提供:日本IBM)

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