「Apple Vision Pro」でどんなアプリを使えるのか? どんな開発ツールを使えるのか?「Xcode」「ARKit」「Unity」など既存ツールも使える

「Apple Vision Pro」のアプリを作れる開発者ツールが利用可能になった。Appleのプラットフォームを利用する開発者は、「visionOS」のソフトウェア開発キット(SDK)によってどのようなアプリを開発できるのかの例と、Vision Pro用のアプリの設計、開発、テストに役立つ情報を紹介する。

» 2023年07月08日 08時00分 公開
[@IT]

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 Appleは2023年6月21日(米国時間)、開発者が「Apple Vision Pro」向けのアプリを開発できるようにするソフトウェアツールと、アプリの想定ユースケースを発表した。

 Appleが「空間オペレーティングシステム」と表現する「visionOS」を搭載したVision Proを使うと、ユーザーは、目や手、声などで直感的な入力を使用して、物理空間内のデジタルコンテンツを操作できる。

Apple Vision Pro用アプリの開発イメージ(提供:Apple)

 Vision Proには、ユーザーがアプリやコンテンツを発見できるアプリストアがある。

Vision Pro/visionOSの「Vision Pro App Store」(提供:Apple)

 開発者は「visionOS SDK」を使うことで、Vision ProとvisionOSの機能を利用して、デジタルコンテンツと物理世界を融合させた体験を可能にする「空間コンピューティング」アプリを開発できる。

Vision Pro/visionOSアプリ、4つの事例

 既にアプリを開発している企業のコメントは以下の通り。

 「Vision Proを使用する『Complete HeartX』は、超現実的な3Dモデルとアニメーションを使用して、心室細動などの医療問題とその知識を患者に適用する方法を理解して視覚化するのに役立つ、医学生による臨床実習の準備を支援する。Vision ProのComplete HeartXを通じて学習することで、医学教育が変革されて将来の医療専門家が実践に向けて準備できるようになる」(Elsevier Health 社長のヤン・ヘルツホフ氏)

Elsevier HealthのComplete HeartXアプリ(提供:Apple)

 「Vision Proの『djay』アプリは、フル機能のDJシステムをユーザーの指先ですぐに使えるようにする。再考された空間インタフェースによって、誰でも目と手だけを使ってお気に入りの音楽をミックスし、リアルタイムのエフェクトを適用できる。初心者でも経験豊富なプロフェッショナルでも、Vision Proのdjayはユーザーの周囲を、ミックスに自動的に反応する素晴らしい環境に変え、これまで不可能だった方法で音楽を体験し、音楽と対話できるようにする」(Algoriddim CEOのカリム・モルシー氏)

Algoriddimのdjayアプリ(提供:Apple)

 「JigSpaceとVision Proは、人々や企業が新しい方法でアイデアや製品を簡単に伝達できるようにする。企業が既に所有している高解像度のCADファイルを使うことで通常かかる時間よりもほんのわずかな時間で、マーケティングや営業、製品、サポートチームは、世界中のどこにいても同僚や顧客と安全に共同で作業できる。このレベルの高速で効果的なコミュニケーションは、以前は不可能だった」(JigSpace 共同創設者 兼 CEOのザック・ダフ氏)

JigSpaceアプリ(提供:Apple)

 「メーカーは、単一の製品から生産ライン全体に至るまで、PTCのAR製品を使用してインタラクティブな3Dコンテンツを現実世界に導入することで、重要なビジネス上の問題に共同で取り組める。Vision Proを使うと、部門や場所を超えた関係者が同時にコンテンツをレビューして、設計と運用に関する決定を下せる。この機能により、これまで不可能だったレベルのコラボレーションが可能になる」(PTCのAR/VR最高技術責任者、スティーブン・プリドー=ギー氏)

PTCの「Stages」アプリ(提供:Apple)

visionOSアプリを作るには

 開発者は、「Xcode」「SwiftUI」「RealityKit」「ARKit」「TestFlight」といった、他のAppleプラットフォームと同じ基本的なフレームワークを使用して、Vision Proの機能を活用する新しいアプリを開発できる。これらのツールを使うことで、奥行きがあって3Dコンテンツを表示できる「Windows」、あらゆる角度から見えるユーザー体験を生み出す「Volumes」、境界のない3Dコンテンツのある環境にユーザーを没入させることができる「Spaces」を含む没入型アプリを開発できる。

 Xcodeで利用できる「Reality Composer Pro」というツールを使うと、3Dモデルやアニメーション、画像、サウンドをVision Proでプレビューして準備できるので、開発者はVisionOSアプリやゲームの3Dコンテンツを最適化でき、見栄えを良くできるという。

 開発者は、新しいvisionOSシミュレーターでアプリを操作して、さまざまな部屋のレイアウトや照明条件を調査およびテストすることもできる。全ての開発フレームワークには、Appleのアクセシビリティー機能のサポートが組み込まれており、誰もが空間コンピューティングとvisionOSアプリにアクセスできるようになるという。

 Appleは2023年7月にクパチーノ、ロンドン、ミュンヘン、上海、シンガポール、東京に開発者ラボを開設する。開発者はVision Proでアプリをテストしたり、Appleのエンジニアからサポートを受けたりすることができる。開発チームは、Vision Pro上で迅速に構築、反復、テストするのに役立つ開発者キットを申請することもできる。

 また2023年7月から、Unityのオーサリングツールを使用して3Dアプリやゲームを構築している開発者は、UnityアプリをVision Proに移植し、その機能を活用できるようになる。

 「Apple Developer Program」のメンバーは、visionOS SDK、更新されたXcode、Simulator、Reality Composer Proを、Webサイト「developer.apple.com」で入手できる。このサイトに登録されたApple開発者は、広範な技術文書、新しい設計キット、visionOS用の更新されたヒューマンインタフェースガイドラインなど、Vision Pro用アプリの設計、開発、テストに役立つリソースにアクセスできる。

 Appleは「Vision Pro用アプリの設計について詳しく知りたい場合、または2023年7月から提供開始される開発者キットを申請したい場合は、『visionOS - Apple Developer』にアクセスしてほしい」としている。

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