ハイブリッドワークに対する期待のピークは、非常に長く続いてきた。だが、いよいよ次の段階に動き出しつつある。今後ハイブリッドワークを成功させるにはどうすればよいのだろうか。
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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Insights」や、アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」などから、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
ハイブリッドワークは長らく、Gartnerのハイプサイクルで言うところの「『過度な期待』のピーク期」にあった。
その間に、企業はこう考えるようになっていた。「リモートワークを成功させたツールが、ハイブリッドワークも成功させる。オフィス環境はニーズを満たすだろうし、ハイブリッドワークの成功とはどんなものかビジョンを持っている」
ハイブリッドワークは「『過度な期待』のピーク期」に、非常に長くとどまっていた。だが、いよいよ次の段階に動き出しつつあり、正直ほっとしている。
2021年7月のことを思い出していただきたい。9月にはオフィスに戻ることができるだろうと思っていた。だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ型がそれを押し戻した。2021年11月にも、2022年1月の復帰を予想した。だが、間もなくオミクロン型が猛威を振るい、この予想も外れた。
その後、COVID-19の感染拡大がようやく落ち着き、テレワークからハイブリッドワークへの移行が進んできた。もっとも、この取り組みが始まってまだ日が浅かったことから、ハイブリッドワークへの期待は高止まりしていた。
だが、「上昇したものは必ず低下する」といわれる。顧客からは次のような問い合わせを頻繁に受ける。「他の組織や企業はどうしているのか。同じ業界内では? 国内では? 他の部門では?……」
それでも、Gartner のハイプサイクルで言うところの「幻滅期」にこそ、ベストプラクティスが生まれるということを、私たちは忘れがちだ。他社から学ぶことで、自社のプロセスをスピードアップできる。私は、Gartnerの最近のカンファレンスで行った講演で、新たに登場してきた2つのベストプラクティスを紹介した。
資産運用会社Schrodersの従業員主導の柔軟な働き方の事例は、企業がどうすれば従業員の自律と責任を両立させられるかを浮き彫りにしている。同社は、この目的のために「従業員の欲求/ニーズ」「チームの成功に必要な事」「自社が顧客や市民のために実現する必要がある事」を調和させる原則を策定した。
義務に納得性を持たせ、個々人の選択が混乱を引き起こさないようにするには、どうすればよいか。パターンを考え出す必要がある。だが、最大のチャレンジは、最もよく見られるパターンが、1週間当たりの日数や特定の日を指定して義務を課すというものだ。これが不評な理由はすぐ分かるし、理屈にも合わない。例えば、火、水、木曜日の方が月、金曜日よりも、全員が出社するのに適しているだろうか?
より明確な意図に基づくアプローチでは、仕事の慣行を用いて、全員が出社する日を定義する。アジャイルチームを例に取ると、以下のようなやり方が考えられる。
リモートワークを成功させたアプリケーションは、必ずしもハイブリッドワークを成功させるのに役立つとは限らない。多様な市場のベンダーが、企業、リーダー、従業員にとってハイブリッドワークをより容易にするアプリケーション機能を開発している。
その1つが、同僚、マネジャー、チームの出社計画や、その調整をサポートする機能だ。外出先でも使えるユーザーインタフェース(UI)を提供するとともに、従業員が最も多くの時間を費やすコラボレーションアプリに組み込む。
さらに、出社を容易にする機能や、従業員に適切な行動を促したり、リマインドしたりする機能、出社の動機付けとなるアメニティーやイベントを従業員に宣伝する機能などが新たに開発されている。
Gartnerは、顧客がミッションクリティカルな優先事項を実行できるように、専門家によるガイダンスとツールを提供することを基本方針としている。先日行った講演の後で受け取ったフィードバックはとてもうれしいものだった。
「このカンファレンスに来る直前に、私は出社の義務付けを行うつもりであることを経営チームにメールで伝えた。だが講演を聞いて、月曜の朝は、新しく得たデータと知見を生かして議論し直そうと思った」
出典:Getting Hybrid Right(and the Impact of Getting it Wrong)(Gartner Blog Network)
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