Webブラウザでページを開いた際、ページに「このサイトでは、Cookieを使用してコンピュータに情報を保存しています」といった表示を見かけたことはないだろうか。この「Cookie」とは何なのだろうか。Cookieとはどのような仕組みなのか、いまさらながら解説しよう。
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Webブラウザでページを開いた際、ページに「このサイトでは、Cookie(クッキー)を使用してコンピュータに情報を保存しています」といった表示を見かけることが多くなったのではないだろうか。この「Cookie(クッキー)」という仕組みは、Webでは古くから使われている技術なのだが、突然、多くのWebサイトで、Cookieの使用許諾を求めるようになったため、「これって何?」と思う人も増えているようだ。そこで、この「Cookie(クッキー)」とは何なのか説明していこう。
Cookieとは、Webサイトを初めて訪れた際にWebブラウザに保存されるもので、ユーザーの識別子(「Cookie ID」と呼ばれる)や有効期限などで構成されたものだ。
名前や住所などを登録する必要がない、お店の会員カードやポイントカードのようなものと思えばよい。名前などの個人情報を登録していないので、個人が特定されることはないが、お店側は顧客のカードを見ることで、過去に何を買ったのかなどが分かり、新製品などが勧めやすいといったメリットがある。
同様にCookieでも、Webサイトがユーザーを認識し、サイト内で閲覧したページの情報などから、ユーザーの嗜好(しこう)に合わせた情報の提示が可能になる。特に広告などでは、Cookieから得られるユーザーの情報を使って、より購買可能性が高いものを表示するといったことに利用している。
また、入力フォームに入力した情報を一時的に保存して、修正のために前のページに戻っても、ユーザーが入力した情報が失われないようにする、といったユーザーの利便性を高める用途で使われることも多い。
オンライン通販サイトなどでは、過去に閲覧した商品や買い物かごに入れた商品が次回Webサイトを訪問した際でも同じように表示するために、Cookieを利用していることが多い(ログインしたIDでサーバ側に保存しているケースもある)。
一度、ログインしたWebサイトでは、Webブラウザを閉じても、次回に開いた際にログインした状態なのも、Cookieを利用してログイン情報を保持しているためだ。
このようにCookieは、Webサイト側とユーザー側の双方にメリットをもたらす一方で、便利ゆえに注意しなければならないこともある。
まず、上述のようにCookieにはさまざまな情報を保存することが可能なため、一時的に保存されていたクレジットカード番号やパスワードなどの情報が漏えいすることが懸念される。
次に、Cookieにはユーザー識別子として、個人をある程度特定可能な情報が記録されているため、この情報とWebサイトでの購買履歴などを合わせることで、場合によっては年収や家族構成、居住地などが推定できてしまう可能性がある。
特に「3rd Party Cookie(サードパーティークッキー)」と呼ばれる、Webサイト内に表示されている広告などが保存するCookieの場合、Webサイトをまたがって閲覧履歴などを取得できるため、より個人を特定しやすいとされている(3rd Party Cookieについては、Tech Basics/Keyword「『サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)』って何?」を参照のこと)。
前述のようにさまざまな用途でCookieは使われている。こうした情報が集められるのを好まないという人もいるだろう。
ほとんどのWebブラウザでは、設定でCookieを受け入れるレベルが指定可能なので、Cookieの受け入れをブロックすることも可能だ。ただし、Cookieを完全にブロックしてしまうと、Webページが表示できなかったり、Webサービスが利用できなかったりすることもあるので注意してほしい。
ここでは、主なWebブラウザでCookieの設定を変更し、ブロックする方法を紹介しておこう。
iOS(iPhone)のSafariの場合、iOSの[設定]アイコンをタップして、[設定]画面を開き、ここの[Safari]をタップして設定を行う。
Safariの設定画面が開いたら、「プライバシーとセキュリティ」欄まで画面をスクロールする。ここの「すべてのCookieをブロック」のスイッチを「オン」にすればよい。警告ダイアログが表示されるので、[すべてブロックする]をタップする。これで、全てのCookieがブロックされるようになる。
Android上でGoogle Chromeを起動し、アドレスバーの右側にある[︙]アイコンをタップし、表示されたメニューで[設定]を選択する。
[設定]画面の「詳細設定」欄にある[サイトの設定]をタップする。[サイトの設定]画面が開くので、ここの[Cookie]をタップして[Cookie]画面を開く。
この[Cookie]画面にある「Cookieをすべて受け入れる」「シークレットモードでサードパーティのCookieをブロックする」「サードパーティのCookieをブロックする」「すべてのCookieをブロックする」の4つから選択する。デフォルトでは、「シークレットモードでサードパーティのCookieをブロックする」が選択されているが、「すべてのCookieをブロックする」に変更することで、全てのCookieがブロックできる。
Microsoft Edgeを起動し、アドレスバーの右側にある[…]アイコンをクリックし、表示されたメニューで[設定]を選択する。[設定]画面が開くので、左ペインで[Cookieとサイトのアクセス許可]を選択する。[保存されたCookieとデータ]画面に切り替わるので、ここで[Cookieとサイトデータの管理と削除]をクリックし、[Cookieとサイトデータ]画面を開く(アドレスバーに「edge://settings/content/cookies」と入力すると、直接この画面を開くことができる)。
[Cookieとサイトデータ]画面にある「Cookieデータの保存と読み取りをサイトに許可する」のスイッチを「オフ」にすると、全てのCookieがブロックできる。
Google Chromeを起動し、アドレスバーの右側にある[︙]アイコンをクリックし、表示されたメニューで[設定]を選択する。[設定]画面が開くので、左ペインで[プライバシーとセキュリティ]を選択する。[プライバシーとセキュリティ]画面に切り替わるので、ここで[サードパーティCookie]をクリックし、[サードパーティCookie]画面を開く(アドレスバーに「chrome://settings/cookies」と入力すると、直接この画面を開くことができる)。
Google Chromeの場合、「サードパーティのCookieを許可」「シークレットモードでサードパーティCookieをブロックする」「サードパーティのCookieをブロックする」の3つから選択可能となっている(バージョン115の場合、以前のバージョンではAndroidのGoogle Chromeと同様、「すべてのCookieをブロックする」があった)。デフォルトでは、「シークレットモードでサードパーティのCookieをブロックする」が選択されているが、「サードパーティのCookieをブロックする」に変更することで、サードパーティーCookieがブロックできる。デスクトップ版のGoogle Chromeでは、全てのCookieをブロックすることができなくなってしまったようだ。
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