パーソル総合研究所は、「ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査」の結果を発表した。現在学び直しを実施している人は14.4%。3年以上学び直しを実施していた場合は個人年収が30万円高いという推計結果が出た。
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パーソル総合研究所は2023年8月31日、産業能率大学の齊藤研究室と共同で実施した「ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査」の結果を発表した。高齢化が進む日本の労働市場で就業人口のボリュームゾーンでもあるミドル・シニア層に着目し、35〜54歳をミドル、55〜64歳をシニアと定義。学び直しの実態と効用、学び直しの促進、抑制要因について定量的に分析した。
それによると「学び直し」(業務時間外に実施するキャリアに関する継続的な学習)をしている人の割合は14.4%。そのうち、自ら学び直す意欲を持っている人は全体の12.7%、自ら学び直す意欲はなくやむなく学び直している人は同1.7%だった。また、趣味に関してのみ学習している人の割合は8.2%、まったく学習していない人は77.3%だった。
希望する就業終了年齢(働くことを終えたい年齢)別に学び直している人の割合を見ると、希望就業終了年齢が高いほど学び直している人の割合が高い傾向があった。就業終了年齢が60歳では12.5%、61〜65歳では12.1%、66〜70歳では15.4%、70歳以上では19.3%だった。
学び直しの効果を見ると、学び直しをしている人の60.7%が「仕事のパフォーマンスを高められた」と回答した。「将来、本業に生かされる」との回答は69.2%、「自分の転職市場での価値が高まった」は46.3%だった。
年収を見ると、20歳代に業務外の学習や自己啓発に取り組んだ経験がある人は、現在の個人年収が高い傾向にあった。そして、学び直しをしていないミドル・シニアの正社員と同質のグループが、学び直しをしていたと仮定した場合の個人年収の差をパーソル総合研究所が推計したところ、12万円高くとの結果が出た。さらに、3年以上学び直しを実施していた場合は、30万円高い」と推計された。
パーソル総合研究所の井上 亮太郎氏(上席主任研究員)は、「学び直しは中長期的に年収が高まるなど、労力に見合うことが確認された。自分の興味、関心や仲間との語らいなど、学びを楽しむ自分なりのポイントを見いだし、継続することが大切だ」と述べている。
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