Azure仮想マシンの「トラステッド起動」は、2021年11月から一般提供されているセキュリティオプションです。このオプションが数カ月前からAzureポータルでのAzure VMデプロイ時の既定になっていましたが、2023年8月末に一般提供開始が発表されました。
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Azure仮想マシン(Azure VM)の「トラステッド起動(Trusted Launch)」は、VMのハードウェアのセキュリティ仕様を左右するオプションであり、第2世代(Gen2)のセキュリティのベースラインを向上させるものです。
トラステッド起動を利用すると、そのハードウェアとゲストOSが備えるセキュリティ機能の組み合わせによって、高度で永続的な攻撃手法から多層で保護することができます。トラステッド起動はAzure VMのデプロイ時に選択する必要があり、デプロイ後のAzure VMで後から有効化することはできません。
このトラステッド起動のオプションが、Azureポータルを使用したAzure VMデプロイ時の既定の選択になりました(画面1)。つまり、第2世代(Gen2)が既定になったということもできます(ゲストOSがGen2対応のWindowsおよびLinuxに制限されます)。従来の既定である第1世代(Gen1)のAzure VMをデプロイする場合は、セキュリティの種類として「Standard」を明示的に選択する必要があります。
トラステッド起動が有効なAzure VMは、UEFIベースのGen2のAzure VMであり、以下のセキュリティ機能が利用可能です。
上記(1)〜(3)の機能は既定で有効になり、ゲストOS側で追加の設定は必要ありません。「整合性の監視」は、デプロイ時に選択するか、デプロイ後に有効化することもできます。トラステッド起動の各機能の有効化状態は、Azure VMの「概要」ページで確認できます(画面2)。ゲストOS側では、「システム情報(msinfo32.exe)」や「Windowsセキュリティ」の「デバイスセキュリティ」で確認できます(画面3)。このハードウェア仕様は、「Windows Server 2022」のセキュアコアサーバの要件の多くを満たすものであり、「Windows 11」のハードウェア要件を満たすものでもあります(Azure Virtual DesktopのAzure VMとして)。
トラステッド起動が有効なAzure VMでは、ゲストOS側のオプションで以下の機能を利用できます。
VBSを有効にするには、ゲストOSに「Hyper-Vの役割」をインストールする必要があります。ただし、Azure VMの全てのシリーズがHyper-Vに対応しているわけではありません。「Nested Hyper-V」(入れ子になった仮想化)をサポートするAzure VMのシリーズについては、以下のAzureコンピューティングユニット(ACU)の一覧で、***(ハイパースレッド化されており、入れ子になった仮想化を実行できます)マークが付いているシリーズを選択してください。
HVCIを有効にするには、VBSを有効にした上で「Windowsセキュリティ(Windows security)」の「デバイスセキュリティ(Device security)」を開き、「コア分離(Core Isolation)」の「メモリ整合性(Memory Integrity)」を有効にします。
なお、ゲストOSがWindows Serverの場合、トラステッド起動を有効にしてAzure VMをデプロイし、さらにVBSおよびHVCIを有効にすることで、セキュアコアサーバの6つの要件のうち、4つを満たすことができました(画面4)。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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