Gartnerはデバイス上でAIタスクを実行できる「AI PC」と生成AIスマートフォンの世界出荷台数の予測を発表した。2023年の2900万台から2024年末までに合計2億9500万台に達するという。
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Gartnerは2024年2月7日(米国時間)、「AI PC」と生成AIスマートフォンの世界出荷台数に関する予測を発表した。2023年の2900万台から2024年末までに出荷台数は合計2億9500万台に達するという。
Gartnerは、AI PCを、デバイス上でAI(人工知能)タスクを最適化および高速化するように設計された、専用のAIアクセラレータまたはコア、「NPU(Neural Processing Unit)」「APU(Accelerated Processing Unit)」もしくは「TPU(Tensor Processing Unit)」を備えたPCと定義している。これにより、外部サーバやクラウドサービスに依存せずにAIおよび生成AIワークロードを処理する際のパフォーマンスと効率が向上する。
生成AIスマートフォンは、スマートフォン上での生成AI主導の機能とアプリケーションを効率的に実行できる機能を備えたスマートフォンのことだという。これらのスマートフォンは、生成AIモデルをローカルで実行できる。AIモデルの例としては、Googleの「Gemini Nano」、Baiduの「ERNIE」、OpenAIの「GPT-4」などが挙げられる。
Gartnerのシニアディレクターアナリストを務めるランジット・アトワル氏は、「オンデバイスの生成AI機能とAIプロセッサの急速な導入は、最終的にはテクノロジーベンダーの標準要件になるだろう」と述べている。「この遍在性は、ベンダーにとって競合他社との差別化に課題をもたらし、独自のセールスポイントを作り収益増加につなげることを難しくしてしまう」
Gartnerは、2024年末までに2億4000万台の生成AIスマートフォンと5450万台のAI PCが出荷されると推定している。これは、2024年における標準的および高性能なスマートフォンの22%、全PCの22%に相当する。
Gartnerによると、AIをPCに統合しても、予想される価格上昇を超えてエンドユーザーの支出が促進されることはないという。ビジネスデバイスの購入者は、投資するための説得力のある理由を要求するが、ソフトウェアプロバイダーがオンデバイスAIの力を活用し、強化されたメリットを明確に実証するには時間がかかるとGartnerは予測している。
PC市場は8四半期連続のマイナス成長を経て、2023年の第4四半期に成長に戻った。Gartnerは、2024年のPC全体出荷台数は2億5040万台となり、2023年から3.5%増加すると予測している。オンデバイスAIは、2024年までPCのマーケティングを活性させ、既存の予想される買い替えサイクルの維持に役立つという。
AI PCと同様に、生成AIスマートフォンも2027年までスマートフォン需要を拡大する要因にはならないとGartnerは予測している。「スマートフォンの機能強化により、カメラと音声の統合による現在のUX(ユーザーエクスペリエンス)が進化するが、これらの機能は新しい画期的な機能を実証するものではなく、ユーザーによって期待されているものだ。ユーザーはスマートフォン上の生成AI機能に対して同じ期待を持っている」とアトワル氏は述べる。「画期的なアプリケーションが利用できない限り、彼らは生成AIスマートフォンに割増料金を支払う可能性は低い」
UXにおける変革のきっかけは、スマートフォン向けに特別に調整された大規模言語モデル(LLM)の小規模バージョンの進歩にある。この進化により、スマートフォンは、人間の言語や視覚的な手掛かりを理解して応答できるようになり全体的なUXを引き上げる。
スマートフォン市場は、9四半期連続でマイナス成長した後、2023年第4四半期に成長を記録した。2024年には、世界のスマートフォン出荷台数は前年比で4.2%増加し、合計12億台に達すると予想されている。アトワル氏は「スマートフォン出荷台数の伸びを本格的な回復と解釈すべきではない」と述べた。「2022年よりも6000万人近く低い、下位レベルでの安定化と見るのがより正確だ」
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