NISTは、国際的に広く使用されているサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)の最新版となるバージョン2.0を発表した。
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米国国立標準技術研究所(NIST)は2024年2月26日(米国時間)、サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)の最新版となるバージョン2.0(以下、CSF 2.0)を発表した。
CSFは、サイバーセキュリティのリスクを軽減するためのガイダンス文書であり、国際的に広く使用されている。2014年に発表されたバージョン1.0(以下、CSF 1.0)、2018年に発表されたバージョン1.1(以下、CSF 1.1)は、日本語を含む13の言語に翻訳されている。
CSFは、米国の国家サイバーセキュリティ戦略(National Cybersecurity Strategy)を支援するものであり、CSF 1.0/1.1は、病院や発電所のような「重要インフラ」を担う組織向けに策定された。CSF 2.0は、あらゆる業種、規模の組織がサイバーセキュリティリスクを管理、軽減できるよう支援することを明確な目標として掲げている。
CSF 2.0では、ドラフト段階で寄せられた多くのコメントを受けて、CSFのコアガイダンスが拡張された。また、さまざまな組織がCSFを理解し、容易に実践して活用できるように、一連の関連リソースが作成された。
CSF 2.0では、組織がサイバーセキュリティ戦略に関して、情報に基づく意思決定をどのように行い、実行に移すかを包含するガバナンスに、新たに焦点が当てられている。
CSF 2.0のフレームワークのコアは、「Identify(識別)」「Protect(防御)」「Detect(検知)」「Respond(対応)」「Recover(復旧)」と、CSF 2.0で新たに追加された「Govern(ガバナンス)」の6機能を中心に構成されている。これらの機能を組み合わせることで、サイバーセキュリティリスク管理のライフサイクルを包括的に捉えることができると、NISTは述べている。
NISTは、ニーズがさまざまに異なり、サイバーセキュリティツールの導入経験もさまざまに異なる組織がCSF 2.0を使用することを想定し、多様な組織におけるCSF 2.0の活用に役立つ以下のようなリソースを用意した。
目的別に分類されたCSF活用の成功事例から学べる。
中小企業、企業のリスク管理者、サプライチェーンのセキュリティ確保を目指す組織など、組織のプロファイルに応じたCSF 2.0導入ガイドを利用できる。
組織がCSF 2.0を実践する方法を容易にする。ユーザーはCSFのコアガイダンスのデータや詳細を、人間が利用できる形式と機械が読める形式で閲覧、検索、エクスポートできる。
CSFのガイダンスと、関連付けられた50以上の他のサイバーセキュリティ文書を相互に参照できる。これらの文書には、「SP 800-53 Rev. 5」などNISTの他の文書も含まれる。SP 800-53 Rev. 5は、特定のサイバーセキュリティ成果を達成するためのツール(「コントロール」と呼ばれる)のカタログだ。
相互に関連付けられ、閲覧とダウンロードが可能なNISTの一連のガイダンス文書を提供する。
NISTは今後もリソースを拡充し、CSFをより広範なユーザーにとって、より有用なものにしていく考えだ。
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