Dockerは、アプリケーション開発の現状に関する年次開発者調査「The 2024 Docker State of Application Development Report」の結果を発表した。開発者が使用するツール、アプリケーション開発プロセス、課題、業界動向に関する意見、開発者コミュニティーへの関与などを明らかにしている。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
Dockerは2024年6月11日(米国時間)、アプリケーション開発の現状に関する2回目の年次開発者調査の結果をまとめたレポート「The 2024 Docker State of Application Development Report」(Docker 2024 アプリケーション開発の現状レポート)を発表した。
Dockerユーザーを中心としたこの開発者調査は、2023年秋に世界中の1300人以上の開発者を対象にオンラインで実施された。
調査結果は、885人の回答に基づいており「アプリケーション開発の現状」「アプリケーション開発におけるAI(人工知能)の役割の拡大」「アプリケーション開発におけるセキュリティ」を主要テーマとして、開発者が使用するツール、アプリケーション開発プロセス、課題、業界動向に関する意見、Dockerの使用状況、開発者コミュニティーへの関与などを明らかにしている。
Dockerはこの調査結果のうち、開発者におけるAIの導入、利用状況を「Docker AI Trends Report 2024」としてまとめ、2024年4月に発表している。
調査結果のハイライトは以下の通り。
主な開発環境について尋ねたところ、回答者の約64%がローカル環境(デスクトップまたはノートPC)、36%以上がリモート環境(「GitHub Codespaces」「Gitpod」「Coder」など)を挙げた。
「これは、クラウドベースの開発環境の人気が高まっていることを示している。リモート環境における効率の向上、ビルド時間の短縮、市場投入時間の短縮、イノベーションの迅速化といったメリットが、このトレンドを後押ししている」と、Dockerは説明している。
開発プロセスのどの段階でチームが苦労しているかを尋ねたところ、「計画」(31%)、「見積もり」(24%)、「設計」(22%)を挙げた回答者が多かった(これらは、厳密には開発前のプロジェクトレベルのタスクに当たる)。また「デバッグ/トラブルシューティング」や「テスト」の段階で苦労していると答えた回答者も20%に達した。
より良いツールを求めている分野について尋ねた設問でも、「計画」(28%)、「テスト」(28%)を挙げる回答者が多かった。
マイクロサービスの継続的な台頭や、シフトレフトによるセキュリティアプローチへの不満も、注目すべきトレンドだ。
マイクロサービスの導入は増加傾向にあり、回答者がモノリシックからマイクロサービスに移行すると答えた割合(29%)は、マイクロサービスからモノリシックに移行すると答えた割合(11%)の3倍近くに上っている。
一方、セキュリティの「シフトレフト」アプローチは、開発者にとってフラストレーションの原因となっている。セキュリティ関連のタスクは、回答者が「困難」または「非常に困難」と答えた割合が34%で最も高かった。より良いツールを求めている分野として、「セキュリティ/脆弱(ぜいじゃく)性修復」を挙げた回答者も、25%と多かった。
オープンソースソフトウェア(OSS)は、開発者のエコシステムやコミュニティーにとって重要であり、回答者の59%が過去1年間にオープンソースに貢献したと答えている。貢献しなかった回答者のうち72%が、将来貢献することに関心を示している。
開発プロセスへのAI/ML(機械学習)の統合は大きなトレンドとなっている。既に開発者の過半数(64%)がコード作成、ドキュメント作成、調査などのタスクで、AIを仕事に使用していると答えている。この傾向は、特に若手/中堅の開発者とDevOps/プラットフォームエンジニアの間で進んでいる。回答者の多くが使用するAIツールには「ChatGPT」(46%)、「GitHub Copilot」(30%)、「Gemini」(19%)などがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.