アナリティクスとAIは相互に関連し、さまざまな分野に影響を与えている。これらがもたらす機会を活用しリスクを最小限に抑えるために、D&Aのリーダーはアナリティクスやデータサイエンスのエコシステム、ユーザーの行動などに対するAIの影響を考慮する必要がある。
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アナリティクスとAI(人工知能)は常に相互に関連し、さまざまな分野に影響を与えている。これらがもたらす新たな機会を活用し、潜在的なリスクを最小限に抑えるために、データとアナリティクス(以下、D&A)のリーダーは、アナリティクス、データサイエンスのエコシステム、ユーザーの行動、役割、意思決定に対するAIの影響を考慮する必要がある。
スプレッドシート(表計算ソフトウェア)はシンプルであり、広く普及していることから、データ分析の主要ツールであり続けている。このところ人気が急上昇しているWebやアプリベースのスタンドアロン生成AIチャットbotでは、ユーザーは基本的なタスクのために、スプレッドシートデータを簡単かつ直感的に分析できる。
この生成AIチャットbotは、従来のデータ入力と高度な分析の間の空白を埋める。専門的なアナリティクス/ビジネスインテリジェンス(ABI)ソフトウェアやデータサイエンス/機械学習(DSML)ソフトウェア、トレーニングは不要であり、ライセンスの購入も難しくない。
ユーザーは、従来のアナリティクスソフトウェアの制約を受けることなく、ビジネスプロセスの中でデータを分析できるようになった。だが、生成AIチャットbotに過度に依存するようになっている。その機能の拙速な導入により、ABIプラットフォームやアナリティクスサンドボックスの外で、あるいはセキュリティポリシーとは無関係にD&A作業が行われるケースが増えている。その結果、意図的かどうかにかかわらず、適切なガバナンスも回避されるに至っている。
Gartnerは、2025年までにABIプラットフォームユーザーの40%が、スプレッドシートから作成された分析コンテンツを生成AIチャットbotに読み込ませて共有することで、ガバナンスプロセスを回避するようになると予測している。
スプレッドシートは「アナリティクスツールのゴキブリ」と呼ばれることも多いが、市場で創造的破壊が起こってきたにもかかわらず、長年生き残っている。適切な条件が整えば、さらに普及が拡大する。生成AIチャットbotでスプレッドシートを直接分析できるようになったことで、スプレッドシートの利用は増える見通しだ。これに伴い、データサイロが急増すると予想されるため、それらを管理、統制するために、データアナリストとIT部門はより緊密に協力する必要がある。
Gartnerは、2026年までに独立系ソフトウェアベンダー(ISV)の70%以上は、自社のエンタープライズアプリケーションに生成AI機能を組み込むようになると予測している。この割合は、現在の1%未満から大幅に増加することになる。
ABIプラットフォームが不要で、AIに対応した自然言語クエリ(NLQ)が使える利便性により、D&Aリーダーが投資してきた従来のベンダーの製品は取って代わられるリスクがある。アナリティクスユーザーがNLQを用いて作業すれば、複雑でよく管理されたアナリティクスソフトウェアへの依存は減ると予想される。
AIがアナリティクスで新たな役割を果たすようになったことから、D&Aリーダーは、ABIプラットフォームを超えたD&Aエコシステムについて考えなければならなくなっている。以下の推奨事項を踏まえ、進化する状況に適応していく必要がある。
出典:How Artificial Intelligence Will Impact Analytics Users?(Gartner)
※この記事は、2024年3月に執筆されたものです。
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