ABI Researchによると、データセンターのサイト数は年平均12%のペースで増加し、2030年までに2万4000を超え、総電力消費量も2477テラワット時に達する見通しだ。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
調査会社ABI Researchは2024年8月15日(米国時間)、データセンターのサイト数が年平均12%のペースで増加し、2030年までに2万4000を超えるとの見通しを発表した。これに伴い、データセンターの総電力消費量も2030年までに2477テラワット時(TWh)に達すると予測している。
ABI Researchは、データセンターの成長は加速していると述べ、その要因としてデジタル習慣の変化や、クラウドベースのサービス、AI(人工知能)、ML(機械学習)、暗号通貨など、企業が利益拡大と業務コスト削減のために使用するツールの普及拡大を挙げている。
企業はプロセスの最適化などのために生成AIにますます注目しているが、AIアプリケーションとトレーニングモデルの消費電力は現在、データセンターの総消費電力の10〜20%を占めていると推計されており、電力インフラの重要な懸念事項となっていると、ABI Researchは指摘している。
「電力を大量消費するGPUコンピューティングと冷却は、最もエネルギーを消費するプロセスであり、データセンターにおけるエネルギー需要の80%を占めている。新しい改良技術を既存のデータセンターインフラに統合し、責任あるコンピューティングを行うことは、電力網の負荷を軽減し、電力需要の急増を抑え、温室効果ガス(GHG)排出量を削減する上で極めて重要だ」と、ABI Researchの持続可能技術担当シニアアナリスト、リシカ・トーマス氏は説明する。
データセンターのグリーン化は、持続可能なデジタルトランスフォーメーション(DX)に不可欠であり、気候変動の緩和と適応の取り組みを支援する。データセンターの環境負荷を削減することで、各国はGHG排出量を抑制し、持続可能性目標を達成できる。政府は、政策やインセンティブ(動機付け)、規制を通じたグリーンデータセンターの建設実現に重要な役割を果たす。
「政府はグリーンビルディング基準の確立、再生可能エネルギー源の利用促進、冷却用冷媒の使用規制、効率的な電子廃棄物管理の実践支援により、持続可能なデータセンターの考え方による運用の最適化、コストの削減、気候リスクの軽減を後押ししている」(トーマス氏)
データセンター事業者は、電力網の強化と安定化、環境への対応、ESG(環境、社会、ガバナンス)パフォーマンスの強化、二酸化炭素排出量の削減、環境の持続可能性の推進など、さまざまな取り組みを積極的に進めている。
「データセンターのネットゼロ(GHG排出実質ゼロ)達成は、最終目的地ではなく、継続的な旅といえる。先見性のある事業者は、業界固有の持続可能性の枠組みを活用して、収益性を維持しながら、指標を監視し、気候目標を順守し、新たな戦略的ビジネスニーズに対応しなければならない」(トーマス氏)
ABI Researchは、こうした取り組みのための新興技術や戦略の例として、オンサイトマイクログリッド(小規模電力網)、PPE(エネルギー多年度計画)および負荷シフト、効率的な電力および気流管理技術、インフラの仮想化、資産ライフサイクル管理、熱回収、責任あるコンピューティングを挙げている。
Google、Microsoft、Intel、Meta、Amazon.comなどのハイパースケーラーは、Equinix、Schneider Electric、Johnson Controls、Danfoss、Siemensなどのデータセンター事業者や電力関連事業者と積極的に協力し、現在の業務改善と将来の責任ある電力消費への道筋作りに取り組んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.