IT業界だけでなく、製造業でも「ソフトウェア開発」に対する要求が高まっている。生成AIへの期待が膨らむ中、三菱電機は「組み込みソフトウェア」開発の効率化に取り組んだ。
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急速に進化を続ける「生成AI(人工知能)」をいかに活用していくかは、今やあらゆる企業が検討すべき課題の一つだ。生成AIは、幅広い業界や業種に影響を及ぼすのは間違いないが、その中でも生成AIに寄せる期待が大きいのが「ソフトウェア開発」の領域だ。
近年、多くの製造業においてデジタル化が進行しており、ソフトウェア開発に対するニーズも高まっている。一方で、開発を担える人材は慢性的に不足しており、拡大するニーズへ十分に対応できないケースもある。2024年6月に開催された「AWS Summit Japan」では、ソフトウェア開発規模の増大に対応するため、生成AIを活用した「組み込みソフトウェア」開発の効率化に取り組んでいる三菱電機の事例が紹介された。
「生成AIを活用したソフトウェア開発の効率化」と題するセッションでは、三菱電機の田中昭二氏(AI戦略プロジェクトグループ兼DXイノベーションセンター、プロジェクトマネジャー 兼 副センター長)が「AI技術」に対する同社の取り組みを紹介した。
三菱電機は1980年代以降、AI関連の研究開発、社会実装に長年取り組んでいる。“AIワークステーション”と呼ばれた「MELCOM PSI」の製品化を皮切りに、AI/ファジー理論の応用による「エレベーター群管理」の実用化、画像処理に特化した人工網膜チップ、指紋認証装置などの開発、商品化を手掛け、2017年以降は同社統一のAI技術ブランド「Maisart」(Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technology)を展開し、AIによるモノの「スマート化」を目指している。
近年、社会的な認知と関心が高まっている生成AIについて、田中氏は「このムーブメントは、インターネットが出てきたときと同等以上のインパクトを、全ての産業に与える可能性があると認識しており、インターネットよりも、はるかに速いスピード感で普及、波及していくだろう」と予測している。
三菱電機の長峯 基氏(生産システム本部 生産システム企画・技術部ソフトウェア生産力強化グループ、グループマネジャー)はソフトウェア開発効率化に向けた、アマゾン ウェブ サービス(AWS)と同社の生成AI活用の取り組みついて説明する。長峯氏の所属する「生産システム本部ソフトウェア生産力強化グループ」は、グループ全社で利用するソフトウェアについての企画、ガバナンスを担当する部署だ。
長峯氏は、一般的な日本の製造業が抱えるソフトウェア開発の主な課題として「開発規模の拡大」「人材不足」「属人化」の3点を挙げた。
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