転職するかどうか迷ったとき、何があれば思いとどまるのか PwCが意識調査の結果を発表前向きな変化でも、スピードが速過ぎると従業員はストレス

PwCコンサルティングは従業員意識/職場環境調査の結果を発表した。「職場で一度に起こる変化が多過ぎる」と答えた従業員は過半数を占めていることが分かった。

» 2024年09月10日 08時00分 公開
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 PwCコンサルティングは2024年8月22日、従業員意識/職場環境調査「希望と不安(Hopes and Fears)」の結果を発表した。これは、世界の50の国と地域で働く従業員を対象に、変化の激しいビジネス環境への意識について調査したもの。それによると、多くの従業員が仕事量の増加や雇用の安定性に関して不安を感じていることが分かった。

4割が「5年以内に生成AIが自分たちの仕事を変える」と回答

 調査結果によると、直近の変化によって「会社の将来に期待が持てるようになった」と回答した従業員の割合は、世界の約60%に対して日本はその半分の約30%にとどまった。PwCコンサルティングは「前向きな変化であっても、その変化のスピードがあまりに速ければ、従業員はストレスを感じることがある」と指摘する。調査では約30%の回答者が「チーム構造や日々の職務責任の変更など、過去1年間に職場で4つ以上の大きな変化を経験した」と答えた。

画像 過去1年間で経験した仕事上の変化(提供:PwCコンサルティング

 変化の代表例が生成AI(人工知能)をはじめとするAIの普及だ。生成AIが5年以内に自分たちの職業を根本的に変えるだろうと回答した従業員の割合は40%。日本でも32%が同様の回答をした。PwCコンサルティングは、このような意識を変革につなげるために「リーダーは従業員を将来のビジョンに巻き込む必要がある」としている。

 その1つの方法が、従業員が日々の仕事の中で新たなアイデアや働き方を提案して検証できるようにし、従業員が挑戦しやすいようにマネジメントが積極的に支援することだ。イノベーションを従業員の手に委ねることで、従業員が積極的に関与し、変化を推進する機会が提供されるという。一方で、「自らの職場で生成AIを活用する機会自体がない」と回答した従業員は日本で42%を占めており、先入観によって活用を最初から遮断しているケースがあるようだ。

画像 仕事で生成AIを利用したことがない理由(提供:PwCコンサルティング

必要なのは「スキルアップの機会」と「公正な報酬」

 調査では仕事への満足度についても聞いている。仕事に満足しているといった肯定的な回答をした従業員の割合は、2023年調査の56%から2024年は60%に増えており、日本でも、2023年の29%から2024年は36%に向上した。一方で、従業員の多くが“社外の機会”に目を向けているようで、29%が「今後1年間以内に転職する可能性が高い」と回答している。

 現在の会社にとどまるか別の仕事に就くかを決める際に「スキルアップの機会」を重視する傾向があるようだ。回答者のほぼ半数が「転職するかどうかは、その会社で新しいスキルを習得する機会があるかどうかが重要になる」と回答した。さらに、退職する可能性のある従業員の51%が、「自分の仕事に必要なスキルが今後5年間で変化する」と回答しており、一般の従業員よりも変化に敏感な傾向が見られた。

画像 転職における「スキルアップの機会」の重要度(提供:PwCコンサルティング

 では、現在の職場にとどまり、パフォーマンスを発揮するために従業員が重視しているものは何か。調査結果によると、最も回答が多かったのが「成果に対する公正な報酬」だった。公正な報酬を重要なものと回答した従業員の割合は82%。それに対して「現在の仕事で公正な報酬が得られている」と回答した人は52%にとどまった。日本でも傾向は同じで、公正な報酬を56%が重視しているのに対して、現在の仕事でそれが得られていると回答したのは23%だった。PwCコンサルティングは「重視するものが得られていないと感じる従業員はモチベーションが低下し、変化を受け入れにくくなる傾向があり、特に報酬はインパクトが大きく、企業は競争力のある報酬水準を確保することが重要だ」としている。

画像 従業員が重視していること(提供:PwCコンサルティング

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