Azure Traffic Managerを使っていて、いまどのサーバ(エンドポイント)にトラフィックが振り向けられているか、すぐ確認したいと思ったことはないだろうか? Traffic Managerに標準装備されているメトリックを活用して、ダッシュボードを見れば振り向け先がすぐ分かるようにする方法を説明する。
対象:対象: Azure Traffic Manager、Azureポータル
Azureの「Traffic Manager」を使って複数のサーバにアクセスを分散させている場合、いまこの瞬間に、どのサーバに「トラフィック」が振り向けられているのか、確認したいと思ったことはないだろうか?
例えばメンテナンスのためにサーバを1台停止する場合、Traffic Manager側でバックアップのサーバへと変更したトラフィックの振り向け先を、復旧した元のサーバに戻す必要がある。当然、その作業後に、実際に振り向け先が変わったかどうかを確認すべきだろう。怠ると、メンテナンス後もずっとバックアップのサーバにトラフィックが向いていた、なんてミスを見逃しかねない(実話)。
しかし、これが簡単なようで意外と手間がかかる。複数あるサーバそれぞれでトラフィックの変動を確認するのは面倒だ。かといってTraffic Manager側では、直接トラフィックが通らないため、各サーバに振り向けられているトラフィックそのものを直接計測できない。
そこで本Tech TIPSでは、Traffic Managerの「メトリック」を活用して、いまどのサーバ(Traffic Managerでは「エンドポイント」と呼ぶ)にトラフィックが振り向けられているかを、Azureポータルのダッシュボード上に図示する方法を紹介しよう。
Traffic Managerプロファイルに登録されているエンドポイントのうち、どれにトラフィックが振り向けられているかを確認するには、「Queries by Endpoint Returned」(エンドポイント別の返されたクエリ数)というメトリックが利用できる。
これはTraffic Managerプロファイルが処理したDNSクエリの応答数を表している。この値が大きいエンドポイントほど、アクセス元のクライアントに対して、トラフィックがより多く振り向けられていることを意味する。また、応答していないエンドポイントの場合、このクエリ応答数は「0」になる。
そのため、エンドポイント別にこのメトリック値を計測し、最も多いエンドポイントを見つけ出せば、それにトラフィックが向いていると言える。
そこで上記の手順で「Queries by Endpoint Returned」メトリックのエンドポイント別合計値のグラフを作成すれば、エンドポイントごとにトラフィックの量(正確にはクエリ数だが)を簡単に比較できる。
上記の手順でメトリックのグラフを作成しただけでは、Azureポータルで別の画面に遷移するとグラフが消えてしまう。ダッシュボードに登録して、いつでも参照できるようにしよう。
Azureポータルのメニューで「ダッシュボード」を開いてから、追加したダッシュボードを選ぶと、前述の手順で用意したメトリックのグラフが表示されるはずだ。
以後は、このダッシュボードにあるこのグラフを見るだけで、簡単にTraffic Managerのトラフィック振り向け先を確認できるようになる。
なお、測定期間中にクエリ応答数が「0」、つまりDNSクエリで1回も名前解決されなかったエンドポイントは、グラフ枠からも凡例からも省略されてしまうことがある。もちろん、エンドポイントそのものが消失したわけではないので、あわてないようにしたい。
もう1つ注意したいのは、グラフ内で各エンドポイントに割り当てられた色が、クエリ応答数によって変動する場合があることだ。各エンドポイントのクエリ応答数が変動して、その順位が変わると色も変わることがあるようだ。エンドポイントをグラフの色で識別していると、変わったときにエンドポイントを間違えて認識する可能性があるので気を付けよう。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.