GitHub、テキストからマイクロアプリを自動生成する新サービス「GitHub Spark」など年次イベントで複数の発表GitHub Universe 2024

GitHubは2024年10月29日〜30日に開催された年次イベント「GitHub Universe」で、GitHubやGitHub Copilotに関する新機能や新サービス、アップデートを発表した。主な発表内容をまとめた。

» 2024年10月30日 01時10分 公開
[石川俊明@IT]

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 GitHubは2024年10月29日〜30日(米国時間)に開催された年次イベント「GitHub Universe 2024」で、GitHubやAI(人工知能)コーディングアシスタントの「GitHub Copilot」に関する新機能、新サービスを発表した。

 GitHubの発表内容は以下の通り。

GitHub Spark

 「GitHub Spark」は、生成AIを活用してテキストからマイクロアプリを自動生成する新たなサービスだ。あらゆるスキルレベルの開発者がテキストから「spark(スパーク)」と呼ばれるマイクロアプリを開発し、アイデアを実現できる。

GitHub Spark(提供:GitHub) GitHub Spark(提供:GitHub)

 GitHubによると、クラウドリソースの管理は不要で、AIや外部データソースとの統合のみでマイクロアプリを構築できるようになるという。

マイクロアプリの例マイクロアプリの例2 マイクロアプリのイメージ(提供:GitHub)

 「OpenAIやAnthropicのモデルを使用して、プロンプトからアプリを開発し、リアルタイムでアプリのプレビューを確認できる。各バージョンが自動保存されるため、途中経過を比較しながら開発を進めることも可能だ。経験豊富な開発者は、コードを直接変更可能であり、一般ユーザーや初心者は、完全に自然言語で反復してアプリを改善できる。生成されたアプリは、デスクトップ、タブレット、モバイルデバイスで自動的に実行でき、すぐに価値を得られる。アクセス権をカスタマイズすることでアプリを共有したり、他のアプリと統合したりすることも可能だ」と、GitHubは述べている。

GitHub Sparkのエディタ画面(提供:GitHub) GitHub Sparkのエディタ画面(提供:GitHub)

GitHub Copilot

マルチモデル対応

 GitHub Copilotが、Anthropicの「Claude 3.5 Sonnet」、Googleの「Gemini 1.5 Pro」、OpenAIの「GPT-4o」「o1-preview」に対応した。「Visual Studio Code」(以後、VS Code)とGitHub.comでGitHub Copilotを使用する開発者は、これらのモデルにアクセスできるようになった。

GitHub Copilot Extensions

 GitHub Copilotの機能を拡張し、「GitHub Copilot Chat」から直接サードパーティーのツールやサービスのアクションを実行できる「GitHub Copilot Extensions」の正式版を2025年初頭にリリースする計画だ(関連記事)。

マルチファイル編集

 VS CodeのGitHub Copilotにマルチファイル編集機能が追加された。ユーザーはVS CodeのCopilot Chatでプロンプトを使用し、プロジェクト内の複数ファイルを同時に編集できる。

XCode向けGitHub Copilot(プレビュー)

 Appleが提供する統合開発環境(IDE)「XCode」で、GitHub Copilotのコード補完機能のプレビュー版が利用可能になった。

新しいコードレビュー

 Insiders版のVS CodeまたはGitHub.comでPull Requestを作成する際に新しいコードレビューをリクエストできるようになった。新しいコードレビューでは、GitHub Copilotが30秒でコードに関するフィードバックを提供し、ユーザーは人間のレビュアーを待つ間にコードを改善できる。

GitHub Copilotの新しいコードレビュー(提供:GitHub) GitHub Copilotの新しいコードレビュー(提供:GitHub)

GitHub Copilotのカスタマイズ

 Copilot Chatの応答を、好みのツール、組織のナレッジ、コーディング規約に基づいて指示できるようになった。開発者は、リポジトリ、Pull Request、Issues、ディスカッションおよびBingとの統合を通じて、追加のコンテキストを利用することもできる。

Copilot Chatの応答をカスタマイズ(提供:GitHub) Copilot Chatの応答をカスタマイズ(提供:GitHub)

GitHub Copilot Workspace

 「GitHub Copilot Workspace」は、「GitHub Codespaces」をベースとした生成AI対応のクラウド開発環境だ(関連記事)。

 ビルドおよび修復エージェント、実装に必要な変更の検出、コマンド実行によるエラー修正機能など、100以上の変更が反映された。他にも、ブレインストーミングモード、VS Codeとの統合、高度なAIサポート、パーソナライゼーションの向上が含まれる。

GitHub Copilot Workspaceのブレインストーミングの画面(提供:GitHub) GitHub Copilot Workspaceのブレインストーミングの画面(提供:GitHub)

GitHub Models

 「GitHub Models」は、数クリックで人気の大規模言語モデル(LLM)を試せるPlaygroundやAPIを提供するサービスだ(関連記事)。GitHub Modelsの機能を拡張し、モデルを並べて比較したり、プロンプトやパラメーターを保存して共有したりすることが可能になった。

モデルを並べて比較(提供:GitHub) モデルを並べて比較(提供:GitHub)

GitHub Copilot Autofix

 「GitHub Copilot Autofix」は、AIを用いてコード内の脆弱(ぜいじゃく)性を自動修正するサービスだ(関連記事)。同サービスは「GitHub Advanced Security」(GHAS)機能の一部として提供されており、「GitHub Enterprise Cloud」のエンタープライズアカウントで利用できる。

 GitHub Copilot AutofixにSecurity Campaigns機能(パブリックプレビュー)が追加され、一度に最大1000件のアラートをトリアージし、アラートの種類、深刻度、リポジトリ、チームごとにフィルタリング可能になった。また「ESLint」「JFrog SAST」などサードパーティーのセキュリティツールとの連携も可能になり、コードスキャンツールと組み合わせてセキュリティワークフローを効率化できるという。

Security Campaignsの画面(提供:GitHub) Security Campaignsの画面(提供:GitHub)

GitHub Octoverse 2024 Reportのハイライト

 GitHubは、5億1800万以上のプロジェクトのアクティビティーや、2023年にGitHubで行われた52億のコントリビューションを分析し、次の3つのトレンドを明らかにした。

  • PythonがGitHub上で最も使われる言語:AIの普及とともにオープンソース活動が従来のソフトウェア開発の枠を超えて広がりを見せている
  • グローバルで生成AIアクティビティーが急増:GitHub上のパブリックな生成AIプロジェクトの総数は前年比で98%増加している。その多くはインド、ドイツ、日本、シンガポールなどの国々からの活動だ
  • 世界規模での開発者数の急増:アフリカ、ラテンアメリカ、アジアで開発者数が急増している。100万人以上の学生、教師、オープンソースメンテナーがGitHub Copilotの無償アクセスプログラムを通じてAIを活用しており、AIがより多くの人々を開発者の道へと導いている

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