エッジコンピューティングとエージェント型AIが変革する運用の将来Gartner Insights Pickup(388)

エッジコンピューティングの活用事例とエッジデータが増加し続ける中、企業はアプリケーションの高度化とエッジAIの導入に動いている。インフラとオペレーション(I&O)のリーダーは、これらのAIシステムをサポートするための堅牢(けんろう)なデータ管理と、リアルタイム分析機能の重要性を認識する必要がある。

» 2025年02月28日 05時00分 公開
[Tom Coshow, Gartner]

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 エッジコンピューティングは著しい成長を遂げている。エッジコンピューティングのユースケースとエッジデータが増加を続ける中、当然のことながら、企業はアプリケーションの高度化とエッジAIの導入に動いている。インフラとオペレーション(I&O)のリーダーはこうした移行をサポートするために、目指すユースケースを特定し、プラットフォームベースの戦略を通じて、この移行を容易にするための積極的なアプローチを取らなければならない。

 Gartnerは2028年までに、エッジコンピューティングを導入した環境の15%がエージェント型AIを使用するようになると予測している。2024年には、この割合はほぼ0%だった。

 Gartnerはエージェント型AIを「2025年の戦略的テクノロジーのトップトレンド」の一つとして挙げている。エージェント型AIは、自律的に計画を立ててアクションを起こし、より高速かつ正確な意思決定プロセスに貢献するという点で、極めて重要だ。I&OリーダーはこれらのAIシステムをサポートするために、堅牢(けんろう)なデータ管理とリアルタイム分析機能の重要性を認識する必要がある。

オペレーション効率の向上

 AI駆動のエッジ展開により、増大するデータをより効果的に処理できるようになる。企業は、これによってオペレーション効率とスケーラビリティが向上する可能性を認識しなければならない。

 エージェント型AIは、ネットワークや電力網、物理的施設にますます不可欠になる。人間の介入の有無にかかわらず、これらがアクションを計画し、実行することを可能にするからだ。

 これらのマルチエージェントシステムは、エッジデバイスから得られる最新データを分析し、情報に基づいて意思決定を行い、パフォーマンスの最適化や潜在的な問題への対処を図る。

 エッジコンピューティングとAIの統合の進化に関する見通しは、以下の通り。

  • エッジデバイスは小規模言語モデルを使用して、AIエージェントのユーザーとの音声コミュニケーションを実現する
  • エッジにおけるデータの生成とデジタルインタラクションが増加するにつれて、人間が関与するのではなく、エージェント型AIが自律的にアクションを計画し、実行する必要性が増す
  • 複雑なエッジデータ生成を行う企業は、人間の承認を得て、さらには承認なしで、エッジデバイスからの最新データを基にアクションを計画して実行するエージェント型AIを、環境全体に展開したマルチエージェントシステムを通じて使用するようになる

将来への備え

 将来に備えるには、セキュリティ対策とガバナンスフレームワークを強化し、こうしたAIシステムの自律的な性質を管理する必要性を認識しなければならない。I&Oリーダーは、エージェント型AIの既存インフラへの統合に重点を置き、互換性を確保するとともに、この変革的技術のメリットを最大限に引き出す必要がある。企業はエージェント型AIの効果的な導入準備と管理をするために、以下の施策を検討すべきだ。

  • エージェント型AIへの投資:競争力を維持し、進化するユーザーの期待に応えるために、エージェント型AIの能力を開発し、統合する
  • シームレスなインタラクションの準備:将来、エッジにおけるシームレスで効率的なインタラクションが一般化し、人間が頻繁に介入する必要性が低下することを想定する
  • セキュリティとガバナンスの強化:エージェント型AIシステムを管理できるように、より強力なセキュリティ対策とガバナンスフレームワークを設計する

出典:Edge Computing and Agentic AI Revolutionize The Future of Operations(Gartner)

※この記事は、2024年12月に執筆されたものです。

筆者 Tom Coshow

Sr Director Analyst

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