需要が急増するAIエンジニア、どんなスキルが必要なのかGartner Insights Pickup(389)

生成AIの非決定論的な性質と固有の課題に対処するには、特別な専門知識やノウハウが必要となる。AIエンジニアリングは米国で最も急増している役割の一つだ。本稿では、AIエンジニアの役割と、AIエンジニアに不可欠な主要な技術的スキルについて紹介する。

» 2025年03月07日 05時00分 公開
[Arun Chandrasekaran, Gartner]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Insights」などのグローバルコンテンツから、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 AIエンジニアリングは、米国で最も急増している役割の一つだ。生成AIアプリケーションの導入が進んでいることが背景にある。企業が生成AIユースケースの実現の複雑さへの対処に追われる中、今後ますます高スキルのAIエンジニアの需要が増えるのは間違いない。

 生成AIの非決定論的な性質と固有の課題に対処するには、特別な専門知識やノウハウが必要になるため、AIエンジニアは不可欠な存在だ。Gartnerは、AIエンジニアの求人数は2028年までに、データサイエンティストの求人数の3倍に達するとみている。AIエンジニアは、AIワークロードの妥当性、精度、スケーラビリティを向上させるために欠かせない継続的なフィードバックループにおいて、極めて重要な役割を果たす。

AIエンジニアの役割とは?

 AIエンジニアの役割は、ほとんどの企業ではまだ広く認識されておらず、データサイエンティストやデータエンジニアなどの役割と混同されることが多い。データエンジニアは、主にデータインフラやツールの構築とメンテナンスを担う。データサイエンティストはデータを分析、解釈して洞察を引き出し、意思決定を支援する。

 これに対し、AIエンジニアは、AIソリューションの開発、実装、モニタリングを担当し、本番環境の整備と継続的な改善に尽力する。生成AIのコンテキストでは、AIエンジニアはアプリケーションの包括的な実験とスケーリングにおいて、極めて重要な役割を果たす。

 こうしたAIエンジニアは、幅広い技術的スキルと非技術的スキルを求められる。多くの場合、それらは多面的で、短期間で習得するのは難しい。AIエンジニアに不可欠な主要な技術的スキルには、以下のようなものがある。

  • プログラミングとコンピュータサイエンス:ソフトウェアプログラミングの確固たる基礎が必須であり、機械学習ではPythonが最もよく使用される言語だ。R、Java、Julia、C++、C#も、精通していると有利だ
  • ソフトウェアエンジニアリングとDevOps:AI開発にはアジャイルの原則と「ModelOps」と呼ばれるDevOpsアプローチが含まれる。これはAIアプリケーションの継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)を目的としている。そのため、リライアビリティエンジニアリングの原則に関する知識が不可欠だ
  • 分散システム/ビッグデータ:AIプロジェクトでは、分散システム上の大規模データセットが使用されることが多い。AIエンジニアは、GPUなどのAIハードウェアに関する実践的な知識を持ち、「Apache Spark」や「Apache Kafka」などのシステムを経験している必要がある。パブリッククラウドのIaaS/PaaSやハイブリッド/マルチクラウドアーキテクチャに精通していることも重要だ

 AIエンジニアは技術的な専門知識、ノウハウに加え、成功に不可欠な幾つかの重要な非技術的スキルも必要だ。

  • コラボレーション:このスキルは何よりも重要だ。AIエンジニアはビジネス、データサイエンス、ITのさまざまな担当者と密接に連携する必要があるからだ。これらの担当者との円滑な関係は、AIソリューションを自社のプロセスに効果的に統合するために欠かせない
  • コミュニケーション:口頭と書面の両方のコミュニケーションスキルも必須だ。AIエンジニアはさまざまな関係者に、展開可能なソフトウェアをユースケースシナリオからどのように構築するかを明確に示し、並列化やチューニングなどの最適化手法を説明する必要がある
  • 継続的学習:これも重要なスキルだ。AIの導入は継続的なプロセスであり、市場の最新動向を常に把握しておくことが不可欠だ。AIエンジニアは継続的学習を重視するマインドセットにより、技術進歩の最前線に立ち続け、進化する業界のニーズに対応できる

 AI技術の活用によって競争優位の獲得を目指す企業が増える中、AIエンジニアのニーズは短期的に急増し続ける見通しだ。テクノロジーイノベーションのリーダーは、このポストの新設を社内で提唱し、AIエンジニアを置くことに関するビジネスケース(投資対効果検討書)を作成すべきだ。

出典:AI Engineers: The High-Demand Skills That Set Them Apart(Gartner)

※この記事は、2025年1月に執筆されたものです。

筆者 Arun Chandrasekaran

Distinguished VP Analyst


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。