Microsoftは、新しい.NET AIチャットWebアプリのテンプレートのプレビュー版をリリースした。Visual Studio、Visual Studio Code、.NET CLIで、.NETを用いたAI開発を容易にするために実施している継続的な取り組みの一環だ。
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Microsoftは2025年3月6日(米国時間)、新しい.NET AI(人工知能)チャットWebアプリのテンプレートのプレビュー版をリリースした。「Visual Studio」「Visual Studio Code」(以下、VS Code)、「.NET CLI」で基盤要素とガイダンスの提供により、.NETを用いたAI開発を容易にするために実施している継続的な取り組みの一環だ。
.NET AIチャットWebアプリのテンプレートは、カスタムデータとチャットできるAI Webアプリを素早く作成できるように設計されている。「Microsoft.Extensions.AI」および「Microsoft.Extensions.VectorData」の抽象化セットを使って構築されるBlazorベースのWebアプリに焦点を当てている。チャットアプリによく使われるRAG(検索拡張生成)パターンを使用している。
Microsoft.Extensions.AIとMicrosoft.Extensions.VectorDataは、小規模言語モデル(SLM)、大規模言語モデル(LLM)、エンベディング、ベクトルストア、ミドルウェアなどのAIサービスを操作するためのC#の統合抽象化レイヤーを提供する。
このテンプレートにより、RAGパターンを使ってサンプルPDFや独自のデータと対話できるチャットベースのユーザーインタフェース(UI)を作成できる。
このテンプレートは、プロトタイピングのためのローカルベクトルストアと、より高度な構成が可能な「Azure AI Search」の両方をサポートしている。
生成されるコードには、チャットインタラクション、引用追跡、フォローアップ提案のためのUIコンポーネントが含まれている。必要に応じて、これらのコンポーネントをカスタマイズしたり、削除したりできる。
このテンプレートには、データの取り込み、キャッシング、処理のためのコードが含まれており、これらはさまざまなデータソースやフォーマットを扱える。
テンプレートのプレビュー版を使用するには、ターミナルから以下のコマンドを実行し、Microsoft.Extensions.AI.Templatesをインストールする。
dotnet new install Microsoft.Extensions.AI.Templates
インストールが完了したら、テンプレートはVisual StudioとVS Codeで利用できる他、「dotnet new aichatweb」を実行して作業ディレクトリに作成できる。VS Codeでは、テンプレートを使用する前に、まず「C# Dev Kit」拡張機能をインストールしておく必要がある。
Visual StudioでもVS Codeでも、デフォルト(既定)ではAIモデルプロバイダーとして「GitHub Models」を、ベクトルストアとしてローカルベクトルストアを使って、新しいプロジェクトを作成することになる。追加のオプションについては、.NET AIアプリテンプレートのドキュメントで解説されている。
テンプレートには、2つのサンプルPDFファイルと、PDFを処理するためのデータ取り込みコードのサンプルが含まれている。このデータ取り込みコードは柔軟であるため、サンプルPDFを独自のPDFに置き換えることができる。こうして独自データとチャットするには、次の手順を実行する。
テンプレートのコードはMicrosoft.Extensions.AIを使って作成されており、カスタムの動作を簡単にプラグインできる。任意のC#関数を呼び出すアクセス権をチャットbotに与えることが可能だ。これにより、追加データの取得やアクションの実行など、機能を拡張できる。
Microsoftは、テンプレートに関するユーザーのフィードバックを取り入れながら、今後のリリースでAI Consoleテンプレート、Minimal APIテンプレート、.NET Aspireのサポート、.NET SDKにデフォルトでテンプレートを含めるなど、テンプレートの提供を拡大する計画だ。また、「Azure AI Foundry」のサポートも検討する他、「Semantic Kernel」ユーザー向けのテンプレートオプションの拡張も予定している。
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