先を見通せない今、本当に必要なリーダーシップとはGo AbekawaのGo Global! ガネさん from スリランカ(1/2 ページ)

スリランカの古都キャラニア出身、愛称は「ガネさん」。来日して25年、現在エンジニアチームのリーダーとして活躍する彼は、なぜ、異国の地でリーダーシップを発揮するに至ったのか。

» 2026年01月20日 05時00分 公開

 グローバルに活躍するエンジニアを紹介するインタビュー連載「Go Global」。今回ご登場いただくのは、インフラ構築やソフトウェア開発、BPO(Business Process Outsourcing)サービスなどのアウトソーシングサービスを提供しているAKKODiSコンサルティングでエンジニアとして活躍中のガネゴダゲ・ダルシャナ・プラディプさん(通称:ガネさん)だ。

 ガネさんは、同社 Prime Account本部でプロジェクトを率い、かつチームリーダーとしてメンバーの育成や人事考課も担っている。さらに、キャリアプランナーとしてエンジニアのキャリア形成支援や、顧客ニーズに応じた人材提案にも力を注いでいる。

 ガネさんはなぜ「人」に関わる業務を選び、選ばれてきたのか。そこには確固たる信念と、それを裏付ける行動と実績があるはずだ。彼が現在の立場に至るまでに、どのような変遷を経てきたのか、いまリーダーとして大切にしている考え方は何か、その生きざまにせまる――。

仕事で大切にしたい「3つの余裕」

 「仕事をする時には3つの余裕を持たないといけません。心の余裕、仕事の余裕、時間の余裕。その3つを持てるように行動してください。そうすると事故を起こさずに自分の目標まで行けます」

 現在、Prime Account本部のチームリーダーとして7人の日本人メンバーを率いるガネさんは、自らの経験を次世代に伝えている。

 「失敗をすると固くなって仕事が先に進まなくなります。だから、『悪いことこそ、怖がらずに早めに報告してください』とメンバーには話しています。そうすることで、気持ちが楽になって、仕事に専念できると思うんです」

 この「余裕」の考え方は、真面目過ぎる日本人メンバーに対して有効に機能しているようだ。ガネさんは、日本人の働き方を「生真面目」という言葉で分析する。

 「日本人は一生懸命“そこだけ”を見ているところがあります。でも、システムが大きくなればなるほど、全体を把握しきれないときに事故が起きやすくなります。もっと気楽にコミュニケーションを取り合えばスムーズにいくのに、と感じることもあります」

 特にコロナ禍以降、テレワークで会話が減ったことを危惧し、ガネさんは出社と在宅のハイブリッド形式を採用して、意識的に仲間との対話を増やす工夫をしている。

AIは「家族との時間」を作るためのツール

 テクノロジーの進化についても、ガネさんは独自の視点を持っている。AI(人工知能)については、ドキュメント作成やデータ分析、プライベートではPTA会長としての活動(動画制作など)で幅広く活用しているが、その目的は「効率化」の先にある。

 「テクノロジーによって時間が余裕ができるようになったんですよね。その余裕を、いままで家族と一緒にいられなかった時間に充て、家族と生かせるようにシフトできる。自分のためにも時間を投資して、いろいろなことを学べるようになる。そういう心構えでいるといいと思います」

 日本に住んで25年。人生の半分を日本で過ごしてきたガネさんだが、そのアイデンティティーはどこにあるのだろうか。「いまガネさんは日本人ですか? それともスリランカ人ですか?」という問いに彼は、「スリランカ人です」と即答した。

 「自分が何人なのかを決めるのは『生きざま』ですね。自分がやりたい形で適応する能力は、元の生まれ育った環境に由来するので、私はスリランカ人なんです」

 すぐれたリーダーとしてメンバーを育成し、人間としての成長も支援するガネさん。彼はここに至るまでに、どのような道のりを歩んできたのだろうか。

生粋のリーダー、高校1年にして街を動かしスクールバスを走らせる



 スリランカの中央に位置する古都キャラニア。スリランカは仏教徒が非常に多く、キャラニアはお釈迦(しゃか)様が3回目に訪れたとされる由緒ある聖地である。この美しい街で、ガネさんは3人兄弟の長男として育った。

 「私は幼い頃からキャラニアお寺の近くで育ち、お寺の活動や祭りに参加していました。お寺は、悩みなどがあったら近くに行って、友達と雑談したり落ち着かせたりするところでもあります」

 生活の中に仏教が溶け込んでおり、家族もまたお寺との絆が深い。この環境が、後のガネさんの穏やかで、かつ周囲を巻き込むリーダーシップの土壌となった。

幼少期のガネさん かわいい!

 ガネさんは高校進学に当たり、将来を変える大きな決断をする。

 「最初は、商業高校みたいな学校で文系の経理、経営、ロジックなどの勉強をしました。ちょうど『Windows 95』が出始めた時期だったので、学校での学びにPCが入りました」

 ITという未知の技術が世界を変えようとしていた時代。ガネさんは商業から理系へと進路を変更し、専門学校でPascalやClipper、C言語といったプログラミング言語、そして「Lotus 1-2-3」などのソフトウェアを学び始めた。

 「ITがどんどん出始めてきていて、社会人になった時にITスキルがないと、どうにもならない時代になりそうだと思いました。国中で『ITの知識を学びましょう』という機運が高まっている時期でもありました」

 高校時代のエピソードとして、ガネさんはある“特殊な”活動を挙げる。彼が高校1年生の時のことだ。

 当時、学校までの通学はバスで1時間以上かかり、通勤、通学ラッシュは日本の山手線並みに混雑していた。そこでガネさんは、「自分たちが楽に学校に行けるようにしなければならない」と立ち上がった。

 「いとこや友人たちと共に地域の政府の方々と交渉して、バス1台をその時間帯に出してもらえるようにしました。私たちが学校に行く時間帯にバスを走らせる、いわばスクールバスみたいな形で出してもらえました」

 単に不満を漏らすのではなく、具体的に周囲を動かし、仕組みを変えて問題を解決する。この「現状を改善しようとする姿勢」こそ、エンジニアとしての資質の表れであった。

 だが、ガネさんの「いまの自分」を作ったものは、長崎での経験にあるという。

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