グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はAiritechのKhine Zar Thwe(カイザー・トウエ)さんにお話を伺う。「成功者といえば医者かエンジニア」という国で生まれた少女が日本への留学を決めたきっかけとは。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回はAiritech(エアリテック)でAI(人工知能)のリードエンジニアとして活躍するKhine Zar Thwe(カイザー・トウエ)さんにお話を伺った。人見知りで読書好きな少女は、ミャンマーと日本で「学び」と「仕事」の経験値を増やしていった。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) お生まれはどちらですか。
Khine Zar Thwe(カイザー・トウエ 以降、カイザーさん) 1990年に、ミャンマーのNyaungdon(ニャンドン)で生まれました。ニャンドンは、ヤンゴンから車で1時間半くらいの場所です。
阿部川 小さいころはどんなお子さんでしたか。
カイザーさん どちらかといえば内気な子どもだったと思います。というのもよく知らない他人と話すのが少し怖かったのです。少数の友人とおしゃべりするのは好きですが、初対面の人と話すのは苦手でした。だから学校では1人でずっと勉強しているような子どもでしたね。放課後も本を読んでいました。父が教師なので、漫画や推理小説など、面白そうな本をたくさん買ってきてくれました。
阿部川 静かな時間を過ごされていたのですね。勉強ではどの科目が好きでしたか。
カイザーさん 考えれば答えが出せる科目が好きだったので、数学が好きでした。ビジネスに応用できますしね。逆に、歴史や地理といった暗記が必要な科目は苦手でした。
阿部川 当時、将来の夢というかなりたい職業はありましたか。
カイザーさん ミャンマーで成功者といえば、医師かエンジニアです。ですから私もエンジニアを漠然と目指していました。ちなみにここでいうエンジニアは建設関連や機械関連、メカニックのエンジニアのことです。
阿部川 そうなのですね、ミャンマーでは女性がエンジニアになるのは普通のことですか。
カイザーさん はい、普通のことです。日本では違うかもしれませんが、女性でもエンジニアになることをためらいません。特に若い女性でエンジニアを志望する人はたくさんいます。
ベトナム、ミャンマーなど東南アジア圏では「女性で成功するなら医者かエンジニア」というのが共通認識なようです。それらの職業はいわば「一発逆転」が期待できる職業のため、そこにかける思いは非常に強いと感じます。一方で、カイザーさんをはじめ、東南アジア圏のエンジニアに話を聞くと、そのポジティブさに驚かされます。「これしかないんだ」といった悲壮感はなく、こんなことを実現したいというキラキラが溢(あふ)れている方ばかりです。
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