グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前回に引き続きBFTのUmme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム)さんにご登場いただく。憧れの日本で働き始めたもののコロナ禍に突入し、仕事を失ったウッメさん。そこで巡り会った天職とは。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回もBFTのインフラエンジニア、Umme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム)さんにご登場いただいた。ウッメさんが「自分にはできない」と感心する、日本のエンジニアの意外な特技とは。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 日本に来る前にJICA(国際協力機構)ではどういったことをされたのですか。
Umme Habiba Mim(ウッメ ハビバ ミム、以降ウッメさん) 仕事ももちろんありましたけど、ITと日本語、ビジネスマナーなどの授業がありました。朝の8時から夜7時くらいまで。日本語は難しかったけれど、先生と結構仲が良くて、日本語で会話する、ストーリーを話すのが楽しかったです。だからITの授業より、日本語の授業の方が好きでした。
阿部川 いい先生に巡り会えて良かったですね。JICAでいろいろなことを学び、いよいよ来日されます。入社されたのはBeydersという会社ですね。どんなお仕事をされたのですか。
ウッメさん Webサイトの開発で、10カ月くらい働きました。でも、コロナで仕事がなくなって……。
阿部川 いきなり生々しいですね。
ウッメさん それでJICAの人たちに連絡をしたらBFTの人を紹介していただいて、面接を受けました。
阿部川 縁があったのですね。コロナがきっかけになったと。
ウッメさん はい。当時は「これからどうなるのか」と不安でしょうがなかったんですけど、今はこの(インフラに関わる)仕事ができてよかったと思います。Webサイトの開発も好きですけれど「物理的に見えないし、触れないなあ……」といった気持ちがありました。今は目に見えるものが相手なのでコーディングよりも楽しいと感じます。機器を動かしたりケーブルを結線したり、現地作業が大好きです。まぁ現地作業は疲れるので帰ったらすぐ寝ますけど(笑)。いろいろなデータセンターに行きたいです。
私が初めてデータセンターに行ったときに「自分がシステムを守っているんだ」と強く意識したことを覚えています。やっていることはラックにサーバをはめたりケーブルをつないだりしたくらいですが「手で触れられる」「目視できる」というのは大切な経験だと思います。データセンターは寒いし、駆動音がうるさいので作業後に眠くなるのもよく分かります(笑)。
阿部川 小学校、中学校のときと同じように実際にやってみることが好きなのですね。コロナがもう少し落ち着いたら、いろいろな“現地”に行けるんじゃないですか。お話に出たように「こういうふうにやると、こうなったな」と結果が出るのが、ウッメさんにとって今一番、楽しいんでしょうね。バングラディシュに戻って仕事をしたい、といった考えはありますか。
ウッメさん 里帰りはしていますけど、ずっとバングラディシュで仕事をするということは、今はあんまり考えていません。日本が好きなので日本にいたい。あとバングラディシュの会社で働いた経験がないので(不安というのも理由です)。
阿部川 いきなり日本に来ちゃいましたもんね。バングラディシュで仕事した経験がないバングラディシュ人ですね。10年後ぐらいは、どんな仕事をしたいと考えてますか。
ウッメさん まだ知らない技術や分からない技術があるので(それを覚えて)プロのエンジニアになりたいです。技術はどんどん変化するのでずっと勉強は続けないといけません。
阿部川 特にITの業界はずっと勉強し続ける力がないと駄目ですよね。ウッメさんはそれが楽しいと思っているので、絶対プロになれますよ。それから宇宙飛行士にもならないといけないですからね。
ウッメさん NASA(米国国家航空宇宙局)で宇宙飛行士になるには米国国籍が必要ということでそちらはちょっと諦めています。
※編集注:NASAの宇宙飛行士になるには以下の条件を全て満たす必要がある。
阿部川 そうなんですね……。ただ宇宙飛行士自体を諦めることはありません。何か方法あると思いますよ。空手の選手として行くという手もあるかもしれませんしね。
ウッメさん せっかくなので空手よりも居合道がやりたいですね。
阿部川 ぜひやってください。私、外国の方とお話しして「居合」ではなく「居合道」とおっしゃる方に初めて会いました。「道」がつかないと本当は間違いなんですよ。ウッメさんが居合道とおっしゃって、ちょっとだけびっくりしてうれしく思ってます。居合道ができる宇宙飛行士、夢があっていいですねぇ。
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