グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前回に引き続きAiritechのKhine Zar Thwe(カイザー・トウエ)さんにお話を伺う。マネジャーとして最初の仕事は中国、ミャンマー、ベトナム、日本という多国籍のメンバーと日本語でやりとりすることだった?
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回も引き続き、Airitech(エアリテック)のKhine Zar Thwe(カイザー・トウエ)さんにご登場いただく。ミャンマーで育ち、日本で学び、ミャンマーに戻った後、再び来日を決めたカイザーさん。教育の機会に恵まれない子どもたちを支援する活動に携わる同氏の原動力とは。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 長岡技術科学大学(以降、長岡技科大)卒業後にミャンマーに戻られましたが、キャリアを広げるため再来日されたということでした(前編URL)。Airitechに入社したいきさつを教えていただけますか。
Khine Zar Thwe(カイザー・トウエ 以降、カイザーさん) 実は長岡技科大を修了したとき、Airitechで働いている友人から「一緒に仕事をしないか」と誘われていたんです。ただ当時はミャンマーに戻ることに決めていたので、その話はなしになりました。
その後、日本にもう一度戻ることになったとき、その友人にも連絡したところその話が再開してAiritechで仕事ができるようになりました。2019年に入社し、現在3年目です。
阿部川 今はどのような業務をしているのですか。
カイザーさん エンジニアとしては、顧客にサービスを提供するためのワークフローの中間進行管理をしています。マネジャーとしては7人のチームメンバーの取りまとめをしています。
阿部川 7人のグループは決して小さくありませんよね、コミュニケーションは簡単ではないでしょう。
カイザーさん おっしゃる通りです。メンバーの国籍は中国、ミャンマー、ベトナム、日本と多様です。ミャンマー出身者とはミャンマー語で話しますが、いわゆる「社内公用語」は日本語です(笑)。
阿部川 そんな多国籍なのに日本語が公用語なんですね(笑)。さまざまな国籍のメンバーと日本語でコミュニケーションするのは大変ではないですか。
カイザーさん 最初は本当に大変でした(笑)。ミャンマーの日系企業で働いたことはありましたが、社内ではミャンマー語が通じたので、日本語で仕事をするのは初めてでした。日常会話はもちろん、技術的なことや開発に関することであっても、日本語でしっかりと説明しなければならないので苦労しました。
大変でしたが、チームメンバーや上司、そして夫のサポートがあって少しずつですができるようになりました。日本の方々は、たとえ私が間違った日本語を話しても、伝えたい意味を分かってくれます。「それはこう言うのだよ」とも教えてくれて、徐々にではありますが話せるようになりました。とても「やさしい」(と日本語で)です(笑)。
阿部川 それは何よりでした。今、仕事で一番楽しいことは何ですか。
カイザーさん ダイバーシティー(多様性)が尊重された環境で仕事ができていることでしょうか。全員が異なるバックグラウンドや文化を持ち、互いがその違いを理解していることです。これがもし同一だったら、他のバックグラウンドを持つ人のことを理解できないと思います。
国籍が違うと、問題の捉え方も違ってきます。そのような環境で一丸となって問題が解決できたときは、とてもうれしくなります。違うことによってかえって1つの統合された答えを生み出すことができます。
言葉も十分に伝わらない、その人のこともまだ分かっていない状態で仕事をしなければならないなんて、めっちゃくちゃ大変です。日本人同士であっても難しいんですから。ただ、以前インタビューしたエンジニアの方もそうでした、「そもそも違うんだから、お互いがお互いを認め合わないと」という発想で心理的安全性が下がればメンバーの国籍が異なるということは強みになり得ると感じました。
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