ユーザー企業の度重なる仕様変更や非協力的な態度が原因でITプロジェクトが頓挫した際、責任を問われるのはベンダー、ユーザー企業、どちらなのか。「IT訴訟動画解説」第4弾は、徹底して「お任せ」を貫き、プロジェクトを崩壊させたユーザー企業の判例をピックアップし、紛争解決のプロが核心を解説する。
アイティメディアが運営するYouTubeチャンネル「TechLIVE」は、テキストだけでは読み解きにくいIT訴訟の核心を、動画で分かりやすくお届けしています。
IT訴訟動画解説シリーズ第4弾となる今回は、東京地裁で争われた「在庫管理システム開発」を巡る裁判(令和3年3月17日判決)を解説します。
本件のユーザー企業(寝具の販売代理店)は、既存システムの仕様説明を拒み、設計書の確認は「分からないからパス」、運用テストも「代わりにやっておいて」と、プロジェクトへの関与を徹底して避ける態度を取り続けました。その一方で、予定外の追加機能を要求し、契約締結も先延ばしにするという、まさに「やりたい放題」の状況でプロジェクトは破綻を迎えました。
解説を務めるのは、連載「『訴えてやる!』の前に読むIT訴訟徹底解説」の筆者細川義洋氏。TechLIVE編集部の鈴木記者と共に、なぜベンダーの「完全勝利」とも言える判決が出たのかを読み解きます。
通常、専門家であるベンダーには重い「プロジェクト管理義務」が課せられますが、本件では「社会通念上、常識的に考えてひど過ぎる」として、ユーザー企業の責任が厳しく問われました。細川氏は、こうした「シャム猫のように気まぐれな」ユーザー企業に当たった際、ベンダーがプロジェクトを成功に導く(あるいはリスクを回避する)ためのポイントを挙げます。
窓口の担当者が非協力的な場合は、現場のさまざまな担当者に話を聞き、総合的に判断して情報の食い違いや欠落を埋めていく。
プロジェクトが混乱しても、ベンダーとして約束通り納品できる部分を明確にし、着実に進めることで最低限の信頼関係を維持する。
ユーザー企業の協力が得られず、進行に支障が出る場合は、粘り強くアプローチしつつも「これではできません」とクレームを入れるべきところはしっかり入れる。
番組冒頭では、細川氏と鈴木記者がユーザーとベンダーに扮(ふん)した「フルーツ寸劇」を披露。「めんどくさいんだよねー」「プロの知見でいい感じにしてよ」と丸投げする、本件のユーザー企業をユーモラスに再現しています。
「レストランで『食べられない食材は?』と聞かれても答えず、『適当に作れ』と言っているようなもの」と例えられた本件。不毛な訴訟を避け、システムを完成させるという本来の目的を達成するために、ベンダーとユーザー企業双方が持つべき自覚とは何か。IT実務者必見の内容です。
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