Anthropicは、先進的な企業がどのようにAIエージェントを活用して業務を変革しているかを紹介するガイド「Building AI agents for the enterprise」を公開した。
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Anthropicは2026年4月30日(米国時間)、先進的な企業が現在、どのようにAIエージェントを活用して業務を変革しているかを紹介するガイド「Building AI agents for the enterprise」を公開した。同社の自律実行型AIエージェント「Claude Cowork」を組織の全チームで業務に役立てる方法も解説している。
Anthropicが2025年9月に公開した「Anthropic Economic Index」によれば、米国では、「職場でAIを利用している」と回答した従業員の割合が、2023年の20%から40%に倍増している。
AIを用いて持続的な優位性を獲得している企業もあれば、AIの活用成果が漸進的な改善にとどまり、1四半期で頭打ちになる企業もある。新しいガイドは、AIを単なる個別製品として導入する段階を超え、AI活用によって業務を変革し、競争力向上につなげるための指針を、企業リーダーに示すことを目的としている。
このガイドは、「従業員のスキル向上」「業務プロセスの高速化」「製品開発の変革」という3つの柱を軸に構成されており、楽天、L'Oreal(ロレアル)、 Lyftの成功事例を紹介している。さらに、Claude Coworkを6カ月で導入するための実践的なフレームワークも提示している。
Claude Coworkは、「コラボレーション向けAIインタフェース」と位置付けられており、エンジニアではないナレッジワーカーも「プラグイン」を用いて、Claude Coworkのエージェント機能を業務に活用できる。プラグインは、組織やチーム、役割に合わせてスキル、コネクター、スラッシュコマンド、サブエージェントといった技術要素を組み合わせ、Anthropicの大規模言語モデル(LLM)「Claude」をカスタマイズするための既成パッケージだ。
電子コマース、旅行、フィンテック、通信など70を超える事業を展開する楽天は、グループ全体で推進する「AI-nization」(エーアイナイゼーション:「AI化」の意)戦略の一環として「チャットベースのAIを超えてエージェントを機能させるには、永続的なコンピュート(計算基盤)、メモリ、ストレージが必要だ」と早くから認識していた。
当初、エンジニアはこの実行基盤を自前で構築した。だが、そのために、本来はビジネスの差別化に取り組むべき人材が投入されてしまった。その反省から、楽天は実行基盤の展開、運用の負担を軽減するために、Anthropicが管理するインフラ上で動作し、構成が可能なエージェント実行基盤「Claude Managed Agents」を採用し、エンジニアがエージェント体験そのものの開発に集中できるようにした。
楽天は現在、エンジニアリング、製品、営業、マーケティング、財務などの専門エージェントを1週間で展開している。これらのエージェントは「Slack」「Microsoft Teams」、楽天独自のカンバン方式のタスクシステムと統合されている。長時間稼働するエージェントは、個別タスクではなく目標そのものを委任される。エージェントメモリによって過去の失敗が繰り返されず、個人の学習が即座に組織の学習に生かされる。
主な成果は以下の通り。
楽天が「Galileo」と呼ぶパワーユーザーは、本来の役割を超えた領域でも貢献している。例えば、あるプロダクトマネジャーは、複数のパブリッククラウドにまたがるFinOpsパイプラインを単独で構築し、同社において前例のないペースでの製品展開を統括している。
化粧品大手のL'Orealは、15以上の専門エージェントから成るClaudeベースの社内プラットフォームを構築し、自然言語の質問によるデータ照会結果をデータインサイト(洞察)に変換できるようにした。
現在、月間4万4000人のユーザーが利用し、同250万件のメッセージが生成されている。会話型分析の精度は、従来の生成AIによる90%から、Claudeでは99.9%にまで向上したという。
ライドシェア大手のLyftは、顧客がサポート担当者につながるまでに30〜40分かかるという課題に直面し、Claudeを顧客サポートアシスタントに採用した。
その結果、解決時間は87%以上短縮され、判断精度は30%以上向上した。これによって数百万ドル規模のコストが浮き、サポート担当者の処遇改善や、高齢ライダー向けのプログラム「Lyft Silver」などに再投資されている。
ガイドは、以下の3フェーズからなる6カ月のClaude Cowork導入フレームワークを推奨している。
Anthropicによると、組織固有のコンテキストをAIに教育し、再利用可能なインフラとして構築することが、AIによる変革を成功させる鍵となる。
Anthropicは、「企業によって、エージェントに対する考え方の分断が見られる」と指摘。「AIをチャットbotとして導入し、単発の質問に回答させているだけの企業と、複雑なタスクを推論し、マルチステップのワークフローを実行するエージェント型AIを業務の根幹に据えている企業では、大差がついている」と強調している。後者の企業は、競合他社が容易に追随できない優位性を築いていくという。
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