「AI=チャット」時代を終わらせたClaude CoworkがM365 Copilotに Excel/メール操作はどう変わる?Frontierプログラムで提供開始

Microsoftは、M365 Copilotの新機能「Copilot Cowork」をFrontierプログラム経由で提供開始した。従来のチャットによる回答生成にとどまらず、ユーザーに代わってタスクを自動実行する。

» 2026年04月17日 13時00分 公開
[@IT]

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 Microsoftは2026年3月9日(米国時間)、AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の新機能「Copilot Cowork」を発表し、3月30日にFrontierプログラム経由で提供開始した。

 従来のCopilotが主にチャットによる回答生成を中心としていたのに対し、Copilot Coworkはタスクの完了やワークフロー(業務手順)の実行など、ユーザーに代わって作業の遂行を目的とするエージェント型AIだ。

Anthropicとの連携でマルチモデルアプローチを採用

 MicrosoftはAnthropicと緊密に連携し、「Claude Cowork」の技術をMicrosoft 365 Copilotに統合した。Microsoft 365 Copilotは複数のAIモデルを用途に応じて使い分けるマルチモデルアプローチを採用し、タスクに最適なモデルを自動選択するのが特徴だ。

Copilot CoworkでExcelやメールの操作はどう変わる?

 Copilot Coworkでは、ユーザーが求める成果を説明すると、メール、会議、メッセージ、ファイル、データなどに基づいて作業を自動的に実行する。「Microsoft Outlook」「Microsoft Teams」「Microsoft Excel」など、オフィススイート「Microsoft 365」(以下、M365)全体の利用データを活用する「Work IQ」をインテリジェンス基盤としており、ユーザーの状況を理解して行動できるという。

 カレンダー管理やデーリーブリーフィングといった「Claude」とMicrosoftのスキルが組み込まれており、単発のタスクから月次予算レビューのような繰り返しワークフローまで対応する。

 タスクを委任すると、Copilot Coworkはリクエストを実行計画に変換する。この計画はバックグラウンドで進行し、明確なチェックポイントが設けられるため、ユーザーは進捗(しんちょく)確認、変更、実行の一時停止がいつでも可能だ。

Copilot Coworkのメイン画面。タスク提案と進捗トラッキングパネルが表示されている(提供:Microsoft

 Copilot Coworkが不明点を検知した場合はユーザーに確認を求める他、推奨アクションを提示した上で、実行前に承認を得る仕組みを備えている。ユーザーは途中で方向修正する機会も得られる。

4つの活用シナリオ

 Microsoftは、Copilot Coworkの主な利用シナリオとして以下の例を挙げている。

1.カレンダー管理の最適化

 Outlookのスケジュールを分析し、優先事項を確認した上で、競合スケジュールや重要度の低い会議をフラグ付けする。ユーザーの承認後、会議の承諾・辞退・再スケジュールや集中時間を確保するためのフォーカスブロックなどを実行する。

2.会議資料の作成とチーム連携

 メールや会議、ファイルなどから関連情報を抽出し、準備時間をカレンダーに設定する。ブリーフィング資料や分析資料、顧客向けプレゼン資料を作成する。

3.企業調査の実施

 決算報告書、SEC(米国証券取引委員会)への提出書類、アナリストコメント、関連ニュースなどの情報を収集し、引用付きで整理する。エグゼクティブサマリー、調査メモ、Excelのワークブックを作成する。

4.製品ローンチ計画の作成

 競合比較をExcelで作成し、差別化ポイントを価値提案文書にまとめる。顧客向けプレゼンテーション資料の生成に加え、マイルストーンや担当者、次のアクションステップなどの計画を立案する。

エンタープライズ向けのセキュリティとガバナンス

 Copilot CoworkはM365のセキュリティおよびガバナンス境界内で動作する。ID管理やアクセス権限、コンプライアンスポリシーがデフォルト(既定)で適用され、AIが実行したアクションや生成した成果物は監査可能だ。

 保護されたサンドボックス(隔離された実行環境)化されたクラウド環境で実行されるため、ユーザーがデバイス間を移動してもタスクは安全に進行し続けるという。

「Researcher」のマルチモデル機能

 Microsoftは2026年3月30日にM365 Copilotの調査エージェント「Researcher」の新機能も発表した。Researcherは複数のソースから情報を統合し、引用付きの包括的な分析を生成する機能だ。業界標準のベンチマーク「DRACO」(Deep Research Accuracy, Completeness, and Objectivity)において他モデルより13.8%高いスコアを記録したという。

Researcherのマルチモデル構成。複数のAIモデルが役割分担して生成、評価、統合を行う(提供:Microsoft

 Researcherのデフォルト機能「Critique」は、AnthropicやOpenAIなどのフロンティアモデルを組み合わせ、生成と評価を分離する。1つのモデルがタスクの計画と初稿を作成し、別のモデルが専門家レビュワーとして改善を行ってから最終レポートを生成する。Researcherのモデル選択で「自動」を選択した場合に利用できる。

 もう一つのマルチモデル機能「Council」は、Researcherのモデル選択ツールで「Model Council」を選択すると利用可能になり、AnthropicモデルとOpenAIモデルを同時実行する。両方のレポートが生成されると、専用の審査モデルがレポートを評価し、主要な調査結果の要約を作成する。また、モデルが意味のある一致または相違を示す箇所(規模、フレームワーク、解釈の違いなど)を指摘する。

 これらの機能は、M365 Copilotの進化段階「Wave 3」の一部として提供される。Wave 3は、業務のコンテキスト(背景情報)を理解するインテリジェンスと、AI活用を全社的にスケールさせるための信頼の両方を備えた段階と位置付けられている。

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