「Claudeより4割安い」 M365のExcel/メール操作を丸投げる「Copilot Cowork」“従量課金”の落とし穴Claude Opus 4.8/Sonnet 4.6、GPT 5.5で動作

Microsoftは、AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の新機能「Copilot Cowork」の一般提供を全世界で開始した。業務効率化に向けた実証が進んでおり、今後企業で本格的に活用されるかどうか注目されている。

» 2026年07月28日 13時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Microsoftは2026年6月16日(米国時間)、AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の新機能「Copilot Cowork」の一般提供を全世界で開始した。同社の「Frontier」プログラムによる3カ月間のプレビューを経ての正式リリースとなった。

 2026年7月27日(日本時間)にはNTTデータ先端技術が、Copilot Coworkを活用して営業事務業務の効率化に向けた社内実証を進めていると発表するなど、今後企業で本格的に活用されるかどうか注目されている。

「Claudeより4割安い」M365の操作を丸投げる「Copilot Cowork」とは?

 Copilot Coworkは、「Microsoft 365」環境でユーザーに代わって自律的にタスクを実行するエージェント型AIシステムだ。

 ユーザーが自然言語で作業内容を指示することで、「Microsoft Outlook」でのメールの作成、送信、会議のスケジュール設定やカレンダー管理、「Microsoft Word」文書、「Microsoft Excel」スプレッドシート、「Microsoft PowerPoint」プレゼンテーション、PDFの作成、「Microsoft Teams」への投稿、組織内のリソース横断検索などをこなす。

 複雑で長時間を要し、複数ツールにまたがるタスクも実行し、完成した成果物を返す。ユーザーはいつでもCopilot Coworkを中断し、追加のコンテキストを提供したり、要求を明確にしたりできる。Copilot Coworkは、重要なアクションの実行前に一時停止し、ユーザーの承認を求める。

 Copilot Coworkは動作する際、Word、Excel、PowerPoint、電子メール、スケジューリング、エンタープライズ検索、ディープリサーチなどの組み込みスキルを使用する。ユーザーは独自のカスタムスキルを最大50個まで作成することも可能だ。Copilot CoworkはWebブラウザの他、「Windows」「Mac」向けのデスクトップアプリ、「iOS」「Android」向けのモバイルアプリで利用できる。

 一般提供の時点で、Copilot CoworkはAnthropicのモデル(「Claude Opus 4.8」と「Claude Sonnet 4.6」を含む)上で動作する。FrontierプログラムではOpenAIの「GPT 5.5」を利用でき、Microsoftの最新モデル「Cowork 1」(安全性を確保したファインチューニング済みモデル)も近日中に提供開始される。

 Microsoftは、「Copilot Coworkは他の製品と比べ、より高い精度、より強固なセキュリティ、低コストでタスクを実行するように設計されている」と述べ、これらを可能にしている主な要素として、以下を挙げている。

  • クラウドでのホスティングにより、ファイルはローカルに保存されず、強固なセキュリティが適用される。ノートPCの電源がオフでも、タスクは継続して実行される。
  • Microsoft 365全体の利用データを活用できるインテリジェンス基盤「Work IQ」のネイティブサポートにより、タスクが既存の業務システムに基づいて実行される。このため、実業務のコンテキストを反映した作業が可能。
  • エンタープライズグレードのセキュリティとコンプライアンスにより、Microsoft 365の信頼境界内で動作し、組織の既存のポリシーやコントロールに沿った保護が適用される。
  • マルチモデル設計により、タスクに適したモデルを選択でき、今後新たなモデルが追加されるについて、対応できる能力も拡張される。
  • 必要な情報とツールを効率的に選定するランタイム、タスクごと最適なモデルを選択する仕組み、柔軟な従量制の料金体系により、低コストになるように設計されている。

 Microsoftによると、Copilot Coworkと、「Microsoft 365コネクタ」を用いたAnthropicの「Claude Cowork」のプロンプト当たりコストを比較した社内テストでは、Copilot Coworkの方が平均30〜40%低コストになることが確認されたという。

3つのタスク分類、4種類のユーザーペルソナで変わる料金モデル

 Copilot Coworkを利用するには、「Microsoft 365 Copilot User Subscription License」(USL)が必要だ。USLは、ユーザー当たり月額の固定料金で提供されている。

 その上で、Coworkの利用料金は、「Copilot Credits」(Copilotクレジット)を単位とした従量課金制となっている。各タスクの料金は、モデルの利用量、コンテキスト情報の取得量、ツール呼び出し回数、実行時間(ランタイム)の4つの要素に基づいて算出される。

Copilot Coworkの従量課金の仕組み(提供:Microsoft

 MicrosoftはCoworkタスクを、軽量(Light)、標準(Medium)、高負荷(Heavy)の3つのパターンに大別している。軽量タスクは少数のナレッジソースを参照し、限定的な推論を行い、生成する成果物は1件以下。標準タスクは複数のソースを活用して構造化された推論をした上で、2件以上の成果物を生成する。高負荷タスクは幅広い情報を集約し、高度な推論を実行するとともに、多くの成果物を生成する。

Coworkタスクの3分類(提供:Microsoft

 さらにMicrosoftは、これらのタスクタイプに対する利用傾向の違いから、4つの代表的なユーザーペルソナを特定している。

4種類のユーザーペルソナ(提供:Microsoft

 ユーザーペルソナごとの構成比と、軽量、標準、高負荷の各タスクの利用割合を組み合わせ、プロンプト単価を適用することで、組織は柔軟なコストモデルを構築できる。このモデルは、初期コストを見積もり、利用状況に応じて継続的に精度を高めることができるという。コスト試算用のシンプルなスプレッドシートもダウンロード配布されている。

“従量課金制”を考慮したコスト管理機能

 Copilot Coworkは従量課金制であることから、Microsoftは、「制御」「可視化」「効率化」に重点を置いたコスト管理機能を提供している。

 例えば、Copilot Coworkはデフォルト(既定)では無効(オフ)になっており、管理者はテナント、グループ、ユーザーの各レベルで利用上限と利用アラートを設定できる。利用状況レポートではユーザー、グループ、機能別の利用状況を確認できる。

 支払いオプションは「PayGo」と「P3」の2種類が用意されている。PayGoは従量課金型であり、Copilotクレジット1クレジット当たり0.01ドル。P3では、事前に利用量を確約することで割引を受けられる。

フィードバックを踏まえた新機能の導入

 Copilot Coworkでは、Frontierプログラムによるプレビュー期間に寄せられたフィードバックを踏まえ、幾つかの新機能が導入されている。例えば、Microsoft 365 Copilotアプリに追加されたトグルを使って、チャット画面からCopilot Coworkとの業務実行へ、スムーズかつ迅速に移動できるようになった。

 9種類のパートナープラグインなどをはじめ、プラグインの拡充が進められている他、FrontierプログラムでCopilot Coworkがローカルの「Microsoft Edge」ブラウザを介して、Webを閲覧できるようになる。Microsoft 365の管理、保護機能と連携するセキュリティおよびコンプライアンス機能も追加されている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

その「AIコーディング」は本当に必要か?
Microsoft & Windows最前線2026
4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。