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Android NDKでJNIを使用してアプリを高速化するにはAndroidで動く携帯Javaアプリ作成入門(15)(3/3 ページ)

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ファイルやライブラリの情報を定義する「Android.mk」

 Android.mkは、$( APP_PROJECT_PATH)/jni/にあり、ファイルやライブラリの情報を定義します。下記は、今回使用するAndroid.mkの内容です。

LOCAL_PATH := $(call my-dir)
include $(CLEAR_VARS)
LOCAL_MODULE := FireEffect
LOCAL_SRC_FILES := FireEffect.c
LOCAL_LDLIBS := -llog
LOCAL_ARM_MODE := arm
include $(BUILD_SHARED_LIBRARY)

LOCAL_PATH

 これは、Android.mkの最初に定義しなければなりません。my-dirマクロで現在のディレクトリを指定しています。

include $(CLEAR_VARS)

 LOCAL_PATHを除くLOCAL_xxxの定義をクリーンアップします。複数のライブラリを使用する場合などに、「先に読み込んだAndroid.mkのLOCAL_xxxの値が不本意に使用されてしまう」という障害を防ぐためにも、定義しておくことを強く推奨します。

LOCAL_MODULE

 モジュール名を指定します。この名前はユニークでなければならず、スペースを含んではいけません。NDKのビルドシステムは、ここで与えられた名前にプレフィックスとサフィックスを自動的に付与します。

 今回の場合は、「libFireEffect.so」という共有ライブラリを生成します(もしここで、「libFireEffect」という名前を指定した場合、生成される共有ライブラリは「liblibFireEffect.so」ではなく、例外的に「libFireEffect.so」となることに注意してください)。

LOCAL_SRC_FILES

 C/C++のソースリストを指定します。ヘッダファイルは含めません。C++ソースファイルの拡張子は.cppがデフォルトです。

LOCAL_LDLIBS

 自身のライブラリにリンクするライブラリを指定します。今回は、ネイティブでもandroid.util.Log相当のログが出力できるlogライブラリをリンクしています。

LOCAL_ARM_MODE

 より高速なarmモードでコンパイルするように指定します。

include $(BUILD_SHARED_LIBRARY)

 共有ライブラリを作成する際に指定します。静的ライブラリを作成する場合は、BUILD_STATIC_LIBRARYを指定します。

定義一覧

 上記を含むすべての定義を、以下の表にまとめておきますので、参考にしてください。

定義 説明
LOCAL_PATH パスを指定(最初に定義しなければならない)
LOCAL_MODULE モジュール名を指定
LOCAL_SRC_FILES ソースファイルを指定
LOCAL_CPP_EXTENSION C++の拡張子を指定(デフォルトは.cpp)
LOCAL_C_INCLUDES
LOCAL_CFLAGS Cソースのコンパイルフラグを指定
LOCAL_CXXFLAGS C++ソースのコンパイルフラグを指定
LOCAL_CPPFLAGS C/C++両方のソースのコンパイルフラグを指定
LOCAL_STATIC_LIBRARIES BUILD_STATIC_LIBRARYで指定したモジュールでリンクしたいものを指定。共有ライブラリ作成時のみ指定可能
LOCAL_SHARED_LIBRARIES このモジュールが実行時に参照する共有ライブラリを指定
LOCAL_LDLIBS ライブラリビルド時に必要な追加リンクフラグ
LOCAL_ALLOW_UNDEFINED_SYMBOLS undefined symbolエラーを発生させたくない場合はtrueを指定
LOCAL_ARM_MODE armかthumbを指定(デフォルトはthumb)
include $(CLEAR_VARS) LOCA_PATH以外のLOCAL_で始まる定義をクリア
include $(BUILD_SHARED_LIBRARY) 共有ライブラリ作成を指示
include $(BUILD_STATIC_LIBRARY) 静的ライブラリ作成を指示
$(TARGET_ARCH) ターゲットのアーキテクチャを返す
$(TARGET_PLATFORM) ターゲットのプラットフォームを返す
$(TARGET_ARCH_ABI) CPUとABIの名前を返す
$(TARGET_ABI) 「$(TARGET_PLATFORM)-$(TARGET_ARCH_ABI)」という値を返す
表5 Android.mkの定義

JNIを使ったAndroidアプリを動かすには

ネイティブコードのコンパイル

 Application.mkとAndroid.mkの準備ができたら、コンパイルを行います。コンパイルは、NDKホームディレクトリで以下のように入力します。

make APP=LiveWallpaperSampleWithJNI -B

 「APP=」以降には、「apps」ディレクトリに配置されているプロジェクトを指定します。makeに渡せるオプションは以下の通りです。

オプション 説明
APP= プロジェクト名を指定(必須)
V=1 ビルド時に詳細な出力を行う
-B 必ずリビルドする
表6 NDKのmakeオプション

 今回のサンプルだと、ビルド時に以下のようなメッセージが表示されます。

Android NDK: Application LiveWallpaperSampleWithJNI targets platform 'android-7'

 Live Wallpaperはandroid-7の機能であるため、defalut.propertiesに「android-7」と定義されています。一方Android NDK r1は、android-4までしかサポートしていないため、コンパイルが実行できません。

 これを回避するには、NDKでコンパイルする際には、一時的にdefault.properties内部のandroid-7をandroid-4にします。

 コンパイルに成功すると、apps//libs/armeabiにライブラリが生成されます。

アプリのパッケージング

 ネイティブライブラリを.apkにパッケージングするのに、特別な作業は必要ありません。プロジェクトをビルドすれば、自動的にネイティブライブラリがパッケージングされ、特別なことをせずに実行可能です。

Android NDK/JNIを使用する際の注意点

 AndroidでJNI(NDK)を使用する場合、知っておくべきことがいくつかあるので、最後にお話しします。

Cのサポート

 AndroidのCライブラリは「libc」ではなく「Bionic」というAndroid独自の実装です。この実装はANSI C準拠ではないため、ANSI Cにあるはずのヘッダファイルや関数がないことがあります。

 NDKは、Cライブラリを自動でリンク対象にするため、LOCAL_LDLIBSにCライブラリを指定する必要はありません。

 また、<math.h>のために「-lm」を指定する必要はありません。NDKはpthreadを標準でサポートするため、「LOCAL_LDLIBS := -lpthread」は必要ありません。ただし、pthread_cancelはサポートされないので、注意してください。リアルタイム拡張も同様なので、「-lrt」も必要ありません。

 加えて、ワイドキャラクタがサポートされていません。ヘッダファイル <linux/*.h>およびは、将来的に変更される可能性があるため、これらを直接インクルードすることは推奨されません。

C++のサポート

 極めて小さなC++のAPIがサポートされます。提供されるヘッダファイルは以下の通りです。

  • <cstddef>
  • <new>
  • <utility>
  • <stl_pair.h>

 また、これらは完全なものではなく、標準として必要なすべての定義を含んでいません。特に、C++の例外とRTTIは使用できません

 NDKは、C++ライブラリを自動でリンク対象にするため、LOCAL_LDLIBSに「-lstdc++」を指定する必要はありません。

Android固有のログサポート

 は、ネイティブコードからカーネルにログメッセージを送るために使用できる定義を含んでいます。以下にリストします。

関数名 説明
__android_log_write 文字列出力
__android_log_print 文字列出力(printf相当)
__android_log_vprint 文字列出力(va_list版)
__android_log_assert アサート
表7 ログの定義

 JavaのLogクラスと同じく、プライオリティによる出力制御、タグ指定が行えます。


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