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Androidのプロセス間通信を自由自在にするAIDLAndroidで動く携帯Javaアプリ作成入門(32)(3/3 ページ)

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ParcelableとSerializable

 今回のサンプルでは、機能紹介目的でParcelableとSerializableを使用しています。

 Parcelableについては、前回の「バイト配列/インスタンスのインターフェイス『Parcelable』」を参照してください。

 Serializableクラスを実装する際には特に考慮する点はありません。

public class CalculatorElement implements Serializable {
    private static final long serialVersionUID = 5415786969637871274L;
    public static final int NUMBER = 0;
    public static final int OPERATOR = 1;
    public int mKind;
    public int mValue;
}

 ParcelableもSerializableも、その実装クラスがサービス側とクライアント側に、それぞれ含まれる必要があります。「サービス側は新しい実装クラスを期待しているのに、クライアント側は古い実装クラスを使用していた」などが起こる可能性があり、プロセス間通信で独自クラスを受け渡しするのは、メンテナンスを含めて考えると意外と面倒です。

 どのようにするのが正解というのはありませんが、自身でAIDLインターフェイスを定義する際に、避けられるのであれば独自クラスは避けた方が無難であると思います。

AndroidManifest.xmlにサービスを定義

 AndroidManifest.xmlには、サービスを定義する必要があります。

<service
    android:name=".CalculatorService"
    android:process=":calculator" >
  <intent-filter> <action android:name="com.example.android.service.ICalculatorService" /> </intent-filter>
</service>

 今回のサンプルでは以下のようになっています。

 このサービスには「android:process」という属性が定義されています。これを定義することで、サービスを独立したプロセスで実行させることが可能になります。

図4 サービスが独立したプロセスで実行している様子
図4 サービスが独立したプロセスで実行している様子

 android:processに指定する値がコロンで始まる場合、独立したプライベートプロセスになり、アルファベットの小文字で始まる場合はグローバルプロセスになるという規則があります。

 今回のサンプルアプリは、この属性が付いている状態であればbinder経由のプロセス間通信になり、付いていない状態であればローカルサービスの呼び出しになります。

 なお、AndroidManifest.xmlには以下のように「Exported service does not requre permission」という警告が出ています。

図5 AndroidManifest.xmlの警告
図5 AndroidManifest.xmlの警告

 これはインテントフィルタを定義したサービスは、ほかのアプリから呼び出すことが可能だけど、パーミッションが定義されていないため、どんなアプリからも呼び出せてしまうけど、それでよいのか、ということを警告しています。

 この警告をなくすにはandroid:permission属性を追加し、呼び出し元もそのパーミッションを宣言する必要があります。ローカルサービスではインテントフィルタが必要ありません。そのため、ほかから呼び出される心配もないので、やはりローカルサービスは簡単です。

Intentを内部にキューイングし逐次処理「IntentService」

 前回の解説で少しだけ触れたIntentServiceについて説明します。

Service IntentService
Intentの処理 並行処理 逐次処理
抽象メソッド onBind(Intent) onHandleIntent(Intent)
表 ServiceとIntentServiceの差異

 IntentServiceは受け取ったInetntを内部にキューイングし、逐次処理を行うという特徴を持ちます。そして、キューから処理がなくなったら自動的にサービスが終了します。

 例えば、アプリ終了時のデータ保存処理をIntentServiceで行うことで、アプリは即座に終了し、バックグラウンドでデータ保存処理が行えます。AsyncTaskや別スレッドではこうした処理は行えません。

 IntentServiceを実装する際の注意点として、onCreate()、onDestory()、onStart()、onStartCommand()をオーバーライドしないことです。どうしてもそのタイミングで何か処理を行いたいのであれば、必ずスーパークラスの同一メソッドを呼び出すようにします。そうしなければ期待通りに動作しなくなります。

 筆者個人としては、Toastを表示するサービスとしてIntentServiceを使用することを試みましたが、Toast表示とIntentServiceは相性が悪く、Toastが表示される前にIntentServiceが終了してしまい、Toastは表示されませんでした。IntentServiceから他のサービスを呼び出す際には注意が必要です。

秀逸なAIDLで斬新なアプリを

 前回と今回でプロセス間通信を行うサービスに関して掘り下げて解説しました。サービスは「バックグラウンドで動作する」という特徴があり、バックグラウンドで動作しているサービスを呼び出すために、それが異なるプロセスであり、AIDLでインターフェイスが定義されていれば、「プロセス間通信でサービスの提供するメソッドが呼び出せる」ことを学びました。

 サービスには、AIDLを定義しなくてもよい「ローカルサービス」と、AIDLを定義する「リモートサービス」があり、ほとんどのケースではローカルサービスで足りることでしょう。しかしながら、AIDLの仕組みは秀逸であり、この仕組みを利用して斬新なアプリが出てくることを期待しています。


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