AndroidアプリでNFCタグを読み書きするための基礎知識:Androidで動く携帯Javaアプリ作成入門(38)(3/3 ページ)
Android のAPIを使ってSuica/Edy/運転免許証などのIDmを読む方法、NFCタグに情報を読み書きする方法について解説します
AndroidアプリからNFCタグへ情報を読み書きするには
タグへの書き込みは「StickyNotes」というオープンソースで公開されているサンプルコードをベースに解説します。オリジナルは「NFC | Android Open Source」からダウンロード可能です。
このアプリでは以下の4つのメソッドを定義して、タグ読み込みとタグ書き込みの状態を制御しています。
private void enableNdefExchangeMode() { // 指定したアクティビティが起動している際に // 指定したメッセージをNFCにプッシュする。 // データを書き込むときに呼び出す。 // 終了時にdisableForegroundNdefPushを // 忘れずに呼び出さなければならない。 // なお、API Level 14からはこのメソッドは非推奨。 mNfcAdapter.enableForegroundNdefPush( this, getNoteAsNdef()); // タグが見つかった際にアクティビティへの // Intentのディスパッチを有効にする。 // 起動しているアクティビティが優先してIntentを受け取れる。 // 終了時にdisableForegroundDispatchを // 忘れずに呼び出さなければならない。 mNfcAdapter.enableForegroundDispatch( this, mNfcPendingIntent, mNdefExchangeFilters, null); }
private void disableNdefExchangeMode() { // NFCにメッセージをプッシュしないようにする。 // なお、API Level 14からはこのメソッドは非推奨。 mNfcAdapter.disableForegroundNdefPush(this); // NFCのディスパッチイベントが優先的に通知されないようにする。 mNfcAdapter.disableForegroundDispatch(this); }
private void enableTagWriteMode() { // アプリ内の状態を書き込みモードに変える。 mWriteMode = true; IntentFilter tagDetected = new IntentFilter(NfcAdapter.ACTION_TAG_DISCOVERED); mWriteTagFilters = new IntentFilter[] { tagDetected }; // ACTION_TAG_DISCOVEREDで // IntentFilterを作成しタグ検知時に // Intentを受け取るようにする。 mNfcAdapter.enableForegroundDispatch( this, mNfcPendingIntent, mWriteTagFilters, null); }
private void disableTagWriteMode() { // アプリ内の状態を読み込みモードに変える。 mWriteMode = false; // NFCのディスパッチイベントが優先的に通知されないようにする。 mNfcAdapter.disableForegroundDispatch(this); }
このように状態を変えることで、アクティビティ実行中にNFCタグを読み込んだ際に、以下のように読み出しと書き込みの動作を制御しています。
@Override protected void onNewIntent(Intent intent) { // NDEF exchange mode if (!mWriteMode && NfcAdapter.ACTION_NDEF_DISCOVERED .equals(intent.getAction())) { // Intentからメッセージを読み出して、 NdefMessage[] msgs = getNdefMessages(intent); // EditTextの内容を書き換えてよいか確認。 promptForContent(msgs[0]); } // Tag writing mode if (mWriteMode && NfcAdapter.ACTION_TAG_DISCOVERED .equals(intent.getAction())) { // Intentからタグを取得して、 Tag detectedTag = intent.getParcelableExtra(NfcAdapter.EXTRA_TAG); // タグにEditTextの内容を書き込み。 writeTag(getNoteAsNdef(), detectedTag); } }
タグに書き込むメッセージは、形式を指定して書き込むことが可能です。
private NdefMessage getNoteAsNdef() { byte[] textBytes = mNote.getText().toString().getBytes(); NdefRecord textRecord = new NdefRecord(NdefRecord.TNF_MIME_MEDIA, "text/plain".getBytes(), new byte[] {}, textBytes); return new NdefMessage(new NdefRecord[] { textRecord }); }
今回のサンプルではtext/plainのみを扱っていますが、Uriやコンタクトとして書き込むことで、タグを読み出した際に対応するアプリを起動することも可能です。TNF_UNKNOWNを使用すればアプリの独自フォーマットとしてバイトデータを書き込むことも可能です。
メッセージの書き込みは以下の要領で行います。
boolean writeTag(NdefMessage message, Tag tag) { // 書き込むバイト数を控えておく。 int size = message.toByteArray().length; Ndef ndef = null; NdefFormatable format = null; try { // NDEFコンテンツを操作可能なNdefを取得。 ndef = Ndef.get(tag); if (ndef != null) { // I/O処理開始。 ndef.connect(); // 読み出し専用の場合は何もしない。 if (!ndef.isWritable()) { toast("Tag is read-only."); return false; } // サイズが足りない場合は何もしない。 if (ndef.getMaxSize() < size) { toast("Tag capacity is " + ndef.getMaxSize() + " bytes, message is " + size + " bytes."); return false; } // メッセージを書き込み。 ndef.writeNdefMessage(message); toast("Wrote message to pre-formatted tag."); return true; } else { // NDEFフォーマット処理可能なNdefFormatableを取得。 format = NdefFormatable.get(tag); // 取得できたら if (format != null) { try { // I/O処理を開始して format.connect(); // メッセージをフォーマットして書き込み。 format.format(message); toast("Formatted tag and wrote message"); return true; } catch (IOException e) { toast("Failed to format tag."); return false; } } else { toast("Tag doesn't support NDEF."); return false; } } } catch (Exception e) { toast("Failed to write tag"); } finally { try { // I/O処理終了(オリジナルのサンプルでは抜けているので注意)。 if (ndef != null && ndef.isConnected()) ndef.close(); if (format != null && format.isConnected()) format.close(); } catch (IOException e) {} } return false; }
以下は、AndroidManifest.xmlのintent-filterとアプリで動的に生成しているInetntFilterです。
<intent-filter> <action android:name="android.nfc.action.NDEF_DISCOVERED" /> <category android:name="android.intent.category.DEFAULT" /> <data android:mimeType="text/plain" /> </intent-filter>
IntentFilter ndefDetected = new IntentFilter(NfcAdapter.ACTION_NDEF_DISCOVERED); try { ndefDetected.addDataType("text/plain"); } catch (MalformedMimeTypeException e) { }
アクションとしてACTION_NDEF_DISCOVEREDを受け取り、MIME typeがtext/plainのNFCタグにのみ反応するようにしています。つまり、空のNFCタグやUriが入ったNFCタグではこのアプリは起動しません。
以上で、このサンプルの動作は大体説明できたと思います。300ステップぐらいの小さなサンプルなので、NFCタグへ読み書きを行うアプリを作る際には、参考になると思います。
次回は、Android 4.0の「Android Beam」をアプリに組み込む
FeliCaなどのカードが社会に浸透しており、書き込み可能なNFCタグの単価も手ごろ、NFCを読み書き可能なスマホも普及している今日、本記事が日常のルーチンワークをNFCを用いたシステムで完結に構築する参考になれば幸いです。
次回はAndroid 4.0で登場したAndroid Beamについて解説する予定です。
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