「お願い」だけでは伝わらない:ビジネスマナー研修<メール編:件名>(4)
「お願い」とだけ件名に書かれているメールは、スパムなのか仕事の用件なのかが分かりません。後回しにされずに読んでもらうための件名の付け方とは?
※この連載は「メール文章力の基本」(藤田英時著)の第1章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。
一日に数十〜100通以上のメールを受け取るエンジニアの皆さん、優先順位はどのようにして付けていますか?
ビジネスのメールで最も工夫したいのが件名(Title)です。メールを開かなくても、件名で内容がすぐに分かるように具体的に書くことが大切です。すぐに読んでアクションを起こしてもらえるように、件名でしっかりとアピールしましょう。
お願い
先日のお礼
打ち合わせの件
これらは最悪の例です。内容が全く分かりませんし、迷惑メールと間違われかねません。ひと目で内容が伝わる件名を付けるには、「何の件」「いつの件」「自分がしたいこと」「相手に求めていること」などを具体的に表現することです。
悪い例
議事録をお送りします
↓
良い例
販促会議(10月26日)の議事録をお送りします
お互いが分かる「キーワード」や「固有名詞」、「日時」や「数字」などを努めて入れるようにしましょう。相手はピンときます。
普通の例
新製品販促の内容
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良い例
新製品販促の内容についてのご相談
こちらが相談や報告をしたい場合は「ご相談」「ご報告」を、相手に確認してもらいたいなら「ご確認」などを付け加えましょう。また、件名があまり長いと分かりづらくなります。
普通の例
ビジネスメールの作法に関する2010年度のアンケート調査の結果をお知らせします
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良い例
【お知らせ】ビジネスメール作法の調査結果(2010年度)
このように件名の頭に【お知らせ】が付いていると、分かりやすくなります。なお、【重要】や【至急】と付けた件名を見かけますが、それだけだと迷惑メールによくあるパターンなので、次のように書くと良いでしょう。
【重要事項】新規プロジェクトの費用概算
【至急ご確認】製作スケジュールの変更箇所
それでは冒頭の最悪の件名は、どう書けばいいでしょう。
お見積書(4月15日付け)確認のお願い
10日の講習会ご参加のお礼
プレゼン資料作成の打ち合わせ日時
最初の例のように「〜確認のお願い」など、相手にしてほしいことを意識して件名を書くのも効果的です。
添付ファイルを送る場合など、誰から来たものかを明確にしたい場合は、件名の最後に送信者の名前を追加します。
普通の例
ご依頼のお見積書をお送りします
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良い例
ご依頼の見積書をお送りします(@ITシステム・田中)
具体的な件名が思いつかない場合は、本文を書いた後に、その内容を表す件名を付けると良いでしょう。それを何度か繰り返すと、メールの内容を的確に表現した件名が書けるようになります。
- メール送信、その前に?
- メールの返信に部分引用を用いるのはマナー違反?
- 相手によって変えてもよいのは?
- 「取り急ぎ、お礼まで」は失礼か?
- 結論と理由は、どちらを先に書けば良いのか?
- メールの目的は、最初に書くべきか?
- メール冒頭の「お世話になっております」は必要か?
- 「鈴木課長様」「課長 鈴木太郎様」「課長殿」――正しい宛名の書き方は?
- メール文の正しい「起承転結」とは?
- ローマ字表記の送信者はスパムっぽい?
- 同じ相手に違う用件でメールするときの件名の付け方
- Re:はReplyの略ではない――返信メールの件名は変更してもいいのか?
- 用件が2つあるときは「など」や「他(ほか)」でまとめない
- 「お願い」だけでは伝わらない
- メールの返信は何時間以内に送るべき?
- 視点は「あなた」で伝えよう
- やりとりは1往復半で終わらせよう
書籍紹介
藤田英時著
日本実業出版社 1300円(税別)
仕事のできる人がやっている「短く」「分かりやすく」「見やすい」メールが書ける77のルールを「良い文例・悪い文例」を対比する構成で紹介する。
藤田英時
コンピューター、インターネット、英語を得意とするジャーナリスト、ライター。米国ベイラー大学でコミュニケーションを専攻後、西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。翻訳出版、書籍編集・執筆、マニュアル制作、プログラム開発、技術サポート、大学で情報処理の指導など、幅広く活躍中。
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