「取り急ぎ、お礼まで」は失礼か?ビジネスマナー研修<メール編:本文>(14)

「お客さまからお歳暮を戴いた! 早速お礼のメールを送らなくちゃ」というときのメール、末尾に何と書く?

» 2016年04月11日 05時00分 公開
[藤田英時@IT]

※この連載は「メール文章力の基本」(日本実業出版社刊、藤田英時著)の第1章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。

ビジネスマナー研修<メール編>のインデックス

連載目次

 電子メールにも存在するビジネスマナー、メール文の正しい「起承転結」で、メール本文の基本構成は「宛名→あいさつ→本文→結び→署名」であることを説明しました。今回は、この中の「結び」について解説します。

 メールの最初にあいさつをしたら、最後も「結び」のあいさつなどで締めましょう。「結び」がないと、メールが中途半端で終わっているようで、相手にぶっきらぼうな感じを与えます。

  • よろしくお願い致します。
  • どうぞよろしくお願い致します。
  • 以上、よろしくお願い致します。
  • 今後とも、どうかよろしくお願い致します。

 最も一般的なのが「よろしくお願い致します」です。先頭に「どうぞ」を付けるなどのバリエーションがあります。

 相手に期待することがある場合は、次のように相手にしてもらいたいことを書くと、効果的な結びになります。

返事を期待

  • ご返事をお待ちしております。
  • お手数ですが、ご返事を頂ければ幸いです。
  • それでは、ご回答をお待ちしております。
  • ご多用のところ恐縮ですが、ご返答頂ければ幸いです。

検討を期待

  • ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
  • ご検討の上、ご返事頂けますようお願い致します。
  • ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

連絡を期待

  • ご確認の上、何かミスなどがありましたらご連絡頂けますでしょうか?
  • ご不明な点がありましたら、お問い合わせください。

 なお、前置きで相手にしてもらいたいことを書いた場合は、結びは「よろしくお願い致します」などにとどめましょう。くどくなってしまうからです。次のような簡単なあいさつでも結構です。

前置きで目的を書いた場合

それでは、失礼致します。

 相手に取りあえず知らせておきたい、伝えておきたい場合は、「取り急ぎ」がよく使われますが、忙しく慌てている感じがします。「忙しい中でメールを書かせてしまった」という気持ちを相手に抱かせかねないので、このような場合「まずは」を使うと良いでしょう。

普通

取り急ぎ、ご案内(報告)まで。

良い

まずは、ご案内(報告)まで。

普通

取り急ぎ、用件のみにて失礼致します。

良い

まずは、用件のみにて失礼致します。

 お礼を言う場合は、「取り急ぎ」は不適切です。取りあえずお礼のメールを書いた、という印象を与えます。

悪い

取り急ぎ、お礼まで。

良い

まずは、お礼申し上げます。

 メールを読んだ後に返信したらいいのか、返信しなくてもいいのか迷うことがあるでしょう。あなたが返信を期待しない場合は、相手に迷わせてはいけません。次のように、はっきりと伝えましょう。

  • なお、ご返信は不要です。
  • ご確認頂ければ、ご返事は無用です。
  • 特に問題がなければ、ご返信にはおよびません。
  • 何か不都合がありましたら、お知らせください。
内容を確認し、リンクを追加しました(2016年4月11日)

書籍紹介

メール文章力の基本

メール文章力の基本

藤田英時著
日本実業出版社 1300円(税別)

仕事のできる人がやっている「短く」「分かりやすく」「見やすい」メールが書ける77のルールを「良い文例・悪い文例」を対比する構成で紹介する。

藤田英時

コンピューター、インターネット、英語を得意とするジャーナリスト、ライター。米国ベイラー大学でコミュニケーションを専攻後、西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。翻訳出版、書籍編集・執筆、マニュアル制作、プログラム開発、技術サポート、大学で情報処理の指導など、幅広く活躍中。


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