※この連載は「メール文章力の基本」(日本実業出版社刊、藤田英時著)の第1章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。
協力会社や社内メンバーに用事があって送るメールでは、「目的や理由」を本題に入る前に一文で伝えましょう。相手はメールの概要をすぐにつかめるので、その後の本文の内容がスムーズに頭に入ります。
悪い例
先日、営業会議が開かれ、貴社のご提案に関していろいろと意見が出ました。内容と時期の点ではこれといった問題はありませんでしたが、価格の点で賛否が分かれ……(以降省略)
良い例
貴社のご提案についての弊社の検討結果をお知らせ致します。先日の営業会議にて、次のような結論に達しました。
- 内容と時期は問題ありません。(以降省略)
悪い例のようにメールの冒頭から長い文章が続くと、相手はどのような意図のメールかがよく分かりません。良い例のように、前置きでメールの目的を一文で伝えるとはっきりします。他にも一文で伝える例を挙げましょう。
- 新製品の販売促進の件で、ご相談があります。
- 新規プロジェクトについて、ご提案致します。
- お見積書の内容に関して、ご説明致します。
- 先ほどの補足説明です。
- 先ほどのメールの追伸です。
メールの目的を簡潔に伝えた後、確実に早めに相手から返事をもらいたい場合は、次のようにその旨を伝えます。
例
- ご多用のところ恐縮ですが、ご返事を頂ければ幸いです。
- お手数ですが、折り返しご返事を頂きたくお願い申し上げます。
- それでは、ご回答をお待ちしております。
これで相手はメールの概要が分かり、本文の内容がスラスラと頭に入ってきます。また、このメールを読んで、どのような対応をすればよいかが分かります。「読むだけでいい」「検討して返事が必要だ」などを考えて読めるからです。
- メール送信、その前に?
- メールの返信に部分引用を用いるのはマナー違反?
- 相手によって変えてもよいのは?
- 「取り急ぎ、お礼まで」は失礼か?
- 結論と理由は、どちらを先に書けば良いのか?
- メールの目的は、最初に書くべきか?
- メール冒頭の「お世話になっております」は必要か?
- 「鈴木課長様」「課長 鈴木太郎様」「課長殿」――正しい宛名の書き方は?
- メール文の正しい「起承転結」とは?
- ローマ字表記の送信者はスパムっぽい?
- 同じ相手に違う用件でメールするときの件名の付け方
- Re:はReplyの略ではない――返信メールの件名は変更してもいいのか?
- 用件が2つあるときは「など」や「他(ほか)」でまとめない
- 「お願い」だけでは伝わらない
- メールの返信は何時間以内に送るべき?
- 視点は「あなた」で伝えよう
- やりとりは1往復半で終わらせよう
書籍紹介
藤田英時著
日本実業出版社 1300円(税別)
仕事のできる人がやっている「短く」「分かりやすく」「見やすい」メールが書ける77のルールを「良い文例・悪い文例」を対比する構成で紹介する。
藤田英時
コンピューター、インターネット、英語を得意とするジャーナリスト、ライター。米国ベイラー大学でコミュニケーションを専攻後、西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。翻訳出版、書籍編集・執筆、マニュアル制作、プログラム開発、技術サポート、大学で情報処理の指導など、幅広く活躍中。
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