福島編:「白虎」「AiCT」「わっぱ飯」――会津のエンジニアが2019年春に楽しみにしていること:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(60)(2/2 ページ)
市がオープンデータ基盤を運営、大学が学内通貨の実証実験を実施! 「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実」、福島編第2回は、産官学で先端技術活用に挑む、会津若松の「今」をお伝えします。
また、市内ではさまざまなハッカソンが行われています。
アクセンチュアのメンバーが2018年10月に行われた会津地域の「未来の暮らし」をテーマにした3日間のハッカソンに参加した時は、会津大学の学生や教授、地元の伝統企業のデザイナーなど約50人が市内をフィールドトリップし、地元の商売や食文化に触れながら、グループに分かれてプロトタイプを作成し、発表を行いました。優秀な成果物は製品化として検討されるため、自分が考え、作成した製品が世に出るかもしれません。こういうところもハッカソンのやりがい、面白さだと感じます。
この他にも、隔週ペースでエンジニア有志が集まり、「こういうサービスがあったらいいね」という気持ちでアイデアを持ち寄って事例を共有する場もあります。時には地元ITベンチャーの社長などからもアドバイスを頂き、PoC(概念実証)やAIアプリケーションなどの開発や改善につなげています。
街への波及効果も見逃せない
AiCTができることで、周辺の建物やお店にも変化が生まれています。
まず、住居に関しては、会津若松駅前に地上14階建ての高層マンションの建設が進んでいる他、新しいアパートなどが続々と建設されています。会津若松全体の地価も上昇傾向にあり、地価情報サイトなどによると、前年比で4%弱地価が上がっている区域もあります。
変化しているのは不動産市場だけではありません。
AiCT周辺の飲食店では、入居企業のランチ需要を見越して、キッチンカーによる移動販売の準備やメニューの見直しなどを進めているところが多いそうです。アクセンチュアの拠点が現在ある会津大学周辺は、歩いて行ける距離にお店が少ないため、私を含めた大半のメンバーは会津大学の学生食堂を利用するか、お弁当を持参してランチを取っています。AiCT周辺は徒歩圏内に飲食店が多く、会津地方を代表する郷土料理である「わっぱ飯」を食べられるお店をはじめ、ランチの選択肢が増えるので、今からとても楽しみです。
次回予告
今回はICTを活用し、地域振興を図っている会津若松市の取り組みをエンジニア視点で紹介しました。最終回は、会津での暮らしやエンジニアとしてのキャリアップ、地域のサポートについて、UターンとIターンそれぞれの視点でお伝えします。
@IT式 U&Iターンスタイル
全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えます。Uターン、Iターン、Jターンに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
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馬藤宏一(ばとうこういち)
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 シニア・アナリスト
1987年生まれ、石川県中能登町出身。大学時代を会津ですごしたことをきっかけに、慣れ親しんだ会津若松から全国に展開できるICTサービスの実現を目指し、2017年7月からアクセンチュア 福島イノベーションセンターに所属。「東京ではできないが、会津ではできることは何か」を日々考えながら、エンジニアとしての技術習得や新たなスキルアップにいそしむ毎日です。
アクセンチュア福島イノベーションセンター
2011年8月に東日本大震災の復興支援、および地域産業の活性化を目的に設立。国や会津若松市、会津大学や企業と連携し、IoTやアナリティクスなどの実証事業を数多く推進している他、国内開発拠点の一つとして地域の課題や実情を踏まえたイノベーションの創出などにも取り組んでいる。
添田智之(そえたともゆき)
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 シニア・アナリスト
1989年生まれ、福島県会津若松市出身。大学時代まで会津若松市ですごし、大学卒業後に東京で5年間エンジニア生活を送るものの、会津の人や土地のぬくもりが忘れられず、妻の妊娠を機にUターンを決意。2016年11月からアクセンチュア 福島イノベーションセンターでエンジニアとして勤務開始。妻と1歳の娘の3人家族で、プライベートではカメラや動画作成などが趣味。「会津の三泣き」に代表されるように、会津の自然は過酷だが、人の温かさがある会津で場所にとらわれない柔軟な働き方を確立し、東京と会津の垣根をなくしていきたいと考えている。
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